POSTED BY 林美由紀掲載日 JUN 15TH, 2021

生地の裁断くずから生まれた”土に還るハンガー”【ゴミを出さないものづくり】

私たち人間が生きていくなかで、まだ食べられるものや使えるもの、再生できるものなど、かなり多くの物が破棄されているという現状。食品ロスやファッションロスなどという言葉も一般的になり、それを解決する動きもたくさんでてきています。今、世界で取り組んでいる持続可能な開発目標「SDGs」の12番目の目標「つくる責任つかう責任」を達成するためには、企業だけでなく、消費者である私たちの考え方や行動も変わっていかなくてはいけないのです。今回は生地を裁断した時に出る裁断くずからうまれた再生可能なハンガーをご紹介します。

農林水産省のサイト（※1）によると、日本で1年間に捨てられているまだ食べられる食料は612万トンで、東京ドーム約5杯分なのだそう。また、環境省のサイト（※2）によると、日本で衣類がごみとして廃棄された場合、再資源化される割合は5%程でほとんどはそのまま焼却・埋め立て処分されており、その量は年間で約48万トンといわれています。また、売れ残りなど新品のまま捨てられてしまう衣類を入れると1年間に廃棄される衣類は100万トンともいわれてるそうです。

そんなファッションロスを解決するために、衣類をつくる時に出る生地をカットした余り生地「裁断くず」を使ったハンガーが誕生しました。

完全循環型プロダクト「UpcycleLino(アップサイクルリノ)」

服をつくる時に生地の約3割は裁断くずとなるそうで、これまでは埋め立てや焼却処分などで地球に負荷をかけてきました。

天然素材ファッションブランド「nest Robe / CONFECT (ネストローブ・コンフェクト)」が展開する「UpcycleLino」は、その課題を解決する完全循環型プロダクトです。

無染色のリネン生地の裁断くずを再び糸に戻し、その糸で生地を織り新しい洋服を作ることで、ゴミを出さないものづくりを実現している同社。

それでは、洋服にできない、色がついた裁断くずはどうなってしまうのでしょう。

染色済みの裁断くずはハンガーになる！

糸に戻すことができない染色済みの裁断くずはハンガー「UpcycleLino」として生まれ変わります。

天然素材ファッションブランド「nest Robe」と”サスティナブル”という言葉が今のように定着する前から、アップサイクルな取り組みを続けてきた「IWAO co.,ltd」代表の岩尾慎一さん、洋子さん夫妻、そして、繊維・紡績業が盛んな岡山県の高度な技術を有する工場よって「UpcycleLino」はつくられています。