POSTED BY 青山沙羅掲載日 NOV 30TH, 2020

【世界のニューノーマル最前線・NY】変化したストリート・ベンダーのビジネス

アメリカ合衆国ニューヨーク在住10年目のフリーランスライター青山沙羅が、現地のニューノーマルな生活をルポする当連載。コロナ禍以降、私たちの日常は大きく変わりました。今までと同じつもりでいても、「違った、今は前とは違うんだ」と日に何回思うことでしょう。リモートによる勤務や学校、感染防止の安全のため、日々変わっていくライフスタイル。

コロナ禍により変わっていくニューヨークのライフスタイルを、NYC現地からお届けします。今回は、ニューヨーク市の生活でお馴染みのストリート・ベンダー(屋台)について。
[Photo by Hideyuki Tatebayashi ] Do not use images without permission.

目次

経済再開以降ニューヨーク市に増えた「八百屋のストリート・ベンダー

新鮮な野菜や果物が山積みされたベンダー 2020年6月 Photo by Sara Aoyama
新鮮な野菜や果物が山積みされたベンダー ニューヨーク市クイーンズ区 2020年6月 Photo by Sara Aoyama

2020年3月、ニューヨーク州、ニューヨーク市、アメリカ合衆国は続いて非常事態宣言を発出し、筆者の住むニューヨーク市では、エッセンシャルビジネス(生活に必要不可欠なスーパーマーケットや食料品店、地下鉄やバスの交通機関、病院、救急車、消防署、警察、清掃局など)以外は閉鎖。その後、経済再開が始まりだしたのは3カ月後の2020年6月でした。

2020年は春の訪れを喜ぶ機会もなく自宅に籠り、初夏の6月に経済再開で街が動き始めたときに目立ったのは、八百屋のベンダーでした。商品が新鮮で安くレジに並ぶこともないので、ニューヨーク市ではお馴染みでニューヨーカーに人気です。リンゴ1個、バナナ1本から買える気軽さも魅力。スーパーマーケットでも野菜や果物は買えるのに、路上やガード下に八百屋のベンダーが増加したのでした。

ニューヨーク市クイーンズ区の八百屋のストリート・ベンダー 2020年11月 Photo by Sara Aoyama

ただし、八百屋のベンダーには長所もあれば、短所もあります。

【八百屋のベンダーの長所】
●屋外で短時間で購入できる(買い物客の新型コロナウイルス感染のリスクが低い)
●スーパーマーケットの商品より安く、新鮮
●多くの人が商品に触っていない(ベンダーの店主だけが商品を管理している)
●リンゴ1個、バナナ1本から気軽に買える

【八百屋のベンダーの短所】
●ニューヨークの冬は寒さが厳しく(氷点下になる)、屋外での営業は厳しい
●寒冷地のニューヨークでの冬の気温では商品が凍る
●店主ひとりで多数の顧客対応をするため、店主には新型コロナウイルス感染のリスクがある

2020年3月 ニューヨーク市非常事態宣言3日前までタイムズスクエアではベンダーが賑わっていた

NYC非常事態宣言3日前のタイムズスクエア 2020年3月9日午後7時頃 Photo by Sara Aoyama

タイムズスクエアやミュージカルの劇場街には、新型コロナウイルス感染拡大によるニューヨーク市の非常事態宣言(ニューヨーク州は2020年3月7日非常宣言済み)が発出されるまで、まだ多くの観光客で賑わっていました。

上記の写真はニューヨーク市が非常宣言を出す3日前のもので、タイムズスクエアには人が集まり、観光客目当てのプレッツェルやソーダを売るベンダーが出ていました。

このときはまだ、皆新型コロナウイルスの怖さをわかっていなかったのです。

タイムズスクエアに観光客はいなくなり、ベンダーは閉鎖

タイムズスクエア 観光客向けのベンダーは閉鎖 2020年5月2日 [Photo by Hideyuki Tatebayashi ] Do not use images without permission. 

2020年3月12日ニューヨーク市の非常事態宣言が発出されたあと、転がるような早さで感染者が増えていき、ついに外出禁止令が出されました。アメリカはあっという間に新型コロナウイルスの世界最多感染国となり、その中でもニューヨーク市は世界最多感染都市に。毎日救急車のサイレンがストリートに響き、何百人もの人が亡くなり、街から人影が消えました。

2020年5月のタイムズスクエアはベンダーが閉鎖され、人が集まれないようにブロックされていました。

リモートワークや観光客減少により、消えた朝食やランチ用のベンダー

コロナ禍以前は、朝食用のベーグルやドーナッツのベンダーが街角に止まっていた

コロナ禍以前、ベーグルやドーナッツ、コーヒーが買える街角のベンダーは、マンハッタンのオフィス街の朝の風物詩でした。

オフィスワーカーが出勤の途中、朝食用に買い求め、コーヒーの香りで目を覚ましたものです。

しかし、リモートワークや企業倒産によりオフィス街からは人影が消え、駅やオフィス近くの朝食用ベンダーも多くが姿を消したのでした。

コロナ禍以前は、ミッドタウンのオフィスワーカーや観光客目当てにランチ用のベンダーが集中した

マンハッタン・ミッドタウンのお昼時には、オフィスワーカーや観光客目当てに、ランチのベンダーが集った lazyllama / Shutterstock.com

マンハッタン・ミッドタウンでは、ニューヨーク名物のホットドッグやチキンオーバーライスをはじめ、メキシカン、韓国、日本風などさまざまなトレンドを先取りしたフード・ベンダーが集まり、選り取りみどりのランチが楽しめたのです。

ミッドタウンに出店していたランチのベンダーは、オフィスワーカーや観光客が消えたことにより、多くが姿を見せなくなってしまいました。

大きく変わったニューヨーク市のレストランやバーの営業形態

ニューヨーク市クイーンズ区アストリアのレストラン 屋外テーブル席 2020年11月 [Photo by Hideyuki Tatebayashi ] Do not use images without permission.

2020年11月現在、ニューヨーク市は経済再開していますが、行政による新型コロナウイルス感染拡大防止のため、従来とは大きく異なっています。

ニューヨーク市のレストランやバーの営業について(2020年11月28日現在)

●店内飲食は客数25%まで(2020年9月30日より)
●ストリートにテーブルを出す店外飲食が可能
●営業時間は午後10時まで(感染率が上がったため、2020年11月13日より午後10時から午前5時までは営業禁止)

感染防止の措置とはいえ、年末にむけて稼ぎ時のレストランやバーにとっては大きな打撃。客席数の多いファミリーレストラン、富裕層を狙った高級レストランは、多くの店がクローズしていきました。

ニューヨーク市マンハッタンのレストラン 屋外テーブル席 2020年11月 [Photo by Hideyuki Tatebayashi ] Do not use images without permission.

2021年1月までにニューヨーク州で約3分の2のレストランが倒産する可能性も

米口コミサイトのYelp(イェルプ)によると、2020年7月時点で休業していた飲食店のうち、6割が閉店。2020年9月30日よりニューヨーク市のレストランは店内飲食が客数25%以下を条件に許されましたが、収益を稼ぐには厳しく、ニューヨーク州のレストランの約3分の2は2021年1月までに倒産するのではないかと言われています。

■参照記事 
Audio & Rush Transcript: Governor Cuomo Announces Restaurants, Bars & Other SLA-licensed Entities Must Close In-person Service From 10 PM to 5 AM 2020/11/11 NYS Gov
米飲食店、休業中の6割が閉店 新型コロナで  2020/7/28 2:29 日本経済新聞
レストランの約3分の2、1月までに倒産か 米NY州 2020/09/05 CNN.CO.JP

フードトラック(Mobile Food Vendor)で生き残りをかけるレストランも

ニューヨーク市クイーンズ区 コロンビアとメキシコ料理のレストラン 2020年11月 Photo by Sara Aoyama
上記のレストランは、店前のフードトラックでも営業 2020年11月 Photo by Sara Aoyama

ニューヨーク市の店内飲食は客数25%以下、これから本格的な冬を迎え気温が下がる中で屋外飲食の客を見込むのも厳しい状況。起死回生の策で、フードトラック(モバイル・フード・ベンダー Mobile Food Vendor)で、食事を提供するレストランもあります。

トラックの屋台であるフードトラックは、提供側が車内にいるので利用客との距離がとれ、双方の感染も低リスク。アツアツの作りたてをいただけるのも魅力です。店舗側もキッチンから屋外席へ運ぶ手間や後片付けをすることもなく、便利といえるでしょう。

ニューヨーク市クイーンズ区レストランのフードトラック 2020年11月 Photo by Sara Aoyama

屋内での営業が難しい中、慣れたレストランの味を求める贔屓客や、入ってみようかなと興味を持っていた新規客も気軽に利用できそうですね。ローカルのレストランもコロナ禍で生き残るため、思考錯誤の日々です。

コロナ禍による「ニューノーマル」が模索される中、ストリート・ベンダーのビジネスはまだ変化していきそうです。

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青山沙羅
アオヤマサラ/ライター

はじめて訪れた瞬間から、NYにひと目惚れ。恋い焦がれた末、幾年月を経て、2009年ついに上陸。 旅の重要ポイントは、その土地の安くておいしいものを食すこと。 特技は、早寝早起き早メシ。人生のモットーは、「やられたら、やり返せ」。 プロ・フォトグラファーの夫とNYでふたり暮らし。共同著書『いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日(PIE International、2020年3月)』。

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