【世界のニューノーマル最前線オランダ】休暇は国内のタイニーハウスで

こんにちは。オランダ在住ライターの倉田直子です。元々オランダ人は旅行が大好き。コロナ禍発生以前のデータでは、「オランダ人の85パーセント以上が休暇中に旅行し、その約4分の3は海外に行く」と言われていました。けれど2020年以降は気軽に海外旅行に行かれなくなり、新たな休暇のトレンドが生まれてきました。今回は、オランダのコロナ禍時代における休暇の過ごし方を紹介させてください。

コロナ禍でキャンプの人気が上昇

オランダメディアによると、コロナ禍で海外旅行を自由に楽しめなくなったオランダ人たちは、今まで以上に国内での休暇を楽しむようになったのだそう。ただしそれにも制限があり、国内でのコロナルールも日々変化しているものの、一時はホテルに宿泊してもホテル内のレストランですら食事をできないというタイミングもありました。
（2021年4月28日より、レストランやカフェの屋外テラスでなら食事可能に。それまでは配達と持ち帰りのみ）

徐々に規制が緩んできているとはいえ、感染者数次第では、またいつルール変更が行われるか分かりません。そういった事情もあり、オランダでは街中の旅行よりも、「郊外でのキャンプ」が注目されるようになったのです。
オランダの旅行協会「ANWB」の調査によると、2020年以降は従来よりキャンプ人気が高まっているのだとか。

タイニーハウスも立ち並ぶキャンプ場

「キャンプ場」と聞くと、ついテントが林立している光景を想像してしまいますよね。けれどヨーロッパのキャンプ場は、そういったテントエリアとは別にキャンピングカー・エリアなどが設定されていることがあります。その他に、「バンガロー」や「キャビン」と呼ばれる木造の小屋も人気です。

近年では、キャンプ場に「タイニーハウス」や「トレーラーハウス」と呼ばれる小ぢんまりとした可愛らしい家を設置することも流行になっています。前述のオランダの旅行協会「ANWB」によると、今年キャンプを計画している人の約28％が、こういった郊外のキャビンやタイニーハウスに宿泊しようと計画しているのだとか。

そもそもタイニーハウスとは？

「タイニーハウス」はさまざまなとらえかたがある言葉ですが、だいたい20平方メートル程度の小さな家を意味します。主に車でけん引して運ばれてくるので、動かせるという意味の「トレーラーハウス」や「モバイルハウス」と呼ばれることもあります。リーマンショックをきっかけにアメリカでムーブメントが生まれ、その人気が既に世界中に広がっています。

オランダでもタイニーハウスを定住するための家として居住している人も出てきていて、筆者もコロナ禍発生以前にさまざまなタイニーハウスに見学に行きました。けれど筆者の取材によると、まだまだ居住用タイニーハウス設置許可の出る場所が少ないことと、収納場所が制限されることによる断捨離に踏み込めない人も多く存在するようです。

キャンプ場のタイニーハウス宿泊

実は筆者も、コロナ禍以前にそういったオランダのキャンプ場のタイニーハウス（トレーラーハウス）に宿泊したことがあります。その時の様子をご紹介いたしますね。

ちなみにこのタイニーハウスは、床下部分が板で覆われていますが、牽引用のタイヤが付いているので家に入るためには数段の階段が必要です。

ほとんどのタイニーハウス同様、入り口を兼用する窓から中に入ると、リビング・ダイニングが広がっています。

キッチンの充実度は設計者の好みによるのですが、このキャンプ場のタイニーハウスは4口もあるガス台に中型冷蔵庫、電子レンジまでついていました。

ちなみに、この家のエネルギーはオフグリッド（自家発電での電気供給）ではないようです。太陽光パネルは見かけませんでしたし、ガスもプロパンではないようでした。けれどその分エネルギー供給が安定していて、筆者のようなトレーラーハウス初心者には扱いやすい仕様です。

2つのベッドルームと清潔な水回り

多くのタイニーハウスは、寝室スペースをロフトにしていることがあります。けれどこのキャンプ場の場合は、ドアで分かれた寝室が2部屋もありました。

画像にはおさまりませんでしたが、荷物の収納場所もしっかり考慮されていたので、長期滞在者でもすっきりと過ごすことができそうです。

意外だったのが、シャワールームとトイレがそれぞれ独立していたこと。夜シャワーを浴びる時もさることながら、朝に洗面台（シャワーブース前）とトイレを別々に使用できるのは、家族連れにとってありがたいデザインです。清潔感も違いますね。

タイニーハウスの前には、椅子を置いてくつろげるスペースも — タイニーハウスの前には椅子を置いてくつろげるスペースも　ⒸNaoko Kurata

都会と異なり「密」になりにくい郊外で、こんな素敵なタイニーハウスに滞在できる休暇は、オランダ人でなくても魅力的に感じられるのではないでしょうか。オランダ国内では、もうしばらくはこの人気が続くと筆者は考えています。

そして日本でも近年はキャンプがブームとなり、芸能人やYouTuberもその魅力にはまっていると聞いています。日本にも徐々にタイニーハウス（トレーラーハウス）を設置するキャンプ場もできているようですので、これからは日本でもタイニーハウスで過ごす休暇が人気になるかもしれませんね。

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