POSTED BY 林美由紀掲載日 MAY 25TH, 2021

【開発者に聞くイノベーション探訪】コーヒーかすを再利用してつくられたブーツ「Panto」

世の中には「アップサイクル」や「サスティナブル」、「SDGs」などの言葉が台頭し、世界中のさまざまな分野で努力が行われていますよね。そこで当シリーズでは、毎回、クラウドファンディングなども活用しながら新たなイノベーションを起そうとしている人・モノ・体験にクローズアップして、その魅力をお届けしていきます。今回は、年間約2,500万トンほど捨てられているコーヒーかすを有効利用して開発された、全天候型防水ブーツ「Panto」をご紹介します。チル・ジャパン社長の弓長さんにお話を伺いました。

そろそろ梅雨の季節がやってきます。レインコートやレインブーツなどの準備は万端ですか？　もし、機能的でおしゃれ、それでいて地球にも優しいサステナブルなレインブーツを探しているのなら、「Panto」はいかがでしょうか。

「Panto」とは

「Panto」は、人々のストレスを足元から解放することをミッションとして2011年に設立されたシューズブランド「ccilu®（チル）」が、今までの重くて、そして通気性、耐滑性がなく、あまりおしゃれなものがない・・・というイメージを覆すレインブーツをつくろうと開発されました。

コーヒーかすの優れた機能に注目

「Panto」の最大の特徴は、コーヒーかすを再利用してつくられていること。

現在、世界のコーヒー消費量は年間約8,500億杯で、年間約2,500万トンのコーヒーかすが埋め立てられてきたのだそうです。しかし、このコーヒーかすは発酵すると温室効果の高いメタンガスをつくりだすため、環境に悪影響を及ぼしてしまいます。

そんなコーヒーかすを有効利用すべく、国外特許取得済のXpreSole®という技術を駆使し、コーヒーかすの優れた消臭や除湿効果に着目して防水や耐滑効果などの機能面を充実させ、コーヒーかすをアッパーからソールまで丸ごと、シューズにしたのだそう。

「Panto」ここがすごい！ 8つのポイント

消臭力・除湿力・通気性・速乾性

「Panto全天候型防水コーヒーブーツ」はアッパーからソールや糸まで丸ごと、15杯分のコーヒーかすでできています。そのため、コーヒーかすならではの消臭力・除湿力・通気性・速乾性が備わっていて26％の臭い物質を除去することが可能です。着用時に足から発生する汗や蒸気などの蒸れを解消することもでき、衝撃も吸収してくれます。

抜群の防水性と防汚性

「Panto全天候型防水コーヒーブーツ」のアッパーは70％のEVA防水素材と30％のコーヒーかすを練り合わせて作られています。これにより100％の防水性とコーヒーかすの吸汗・除湿力を実現しています。検証試験でPantoで深さ6cmの水中を連続10万歩歩いても水が浸み込まなかったそうですよ。

Pantoの裏材は天然防水ゴム、コーヒーかすでできた糸、そして優れた保温と伸縮性を有するライクラ®弾力繊維が採用されており、コーヒーかすの通気性と、ライクラ®弾力繊維の保温性を兼備しているため、一年中履くことができます。

さらに、インソールにはコーヒーかすとOrthoLite®が採用されており、優れた消臭力と履き心地が実現されています！

耐滑性は国際基準の130%！

アウトソールには、EVA防水素材とコーヒーかすに加え、滑りにくい天然ゴムが使用されています。SATRA耐滑性試験で国際基準の130％以上を記録し、強いグリップ力で雨の日に傾斜が45度の道でも滑りにくいという特徴があります。アウトドアシーンや雪道でも安心して履けますね。

洗濯機で100回の丸洗いができる！

「キャンプに行ったら汚れた靴の洗濯が大変」といった悩みを持っている方はいらっしゃいませんか？

シューズは洗濯機で洗えないことが多く、特にレインブーツは拭いて陰干しするのが一般的。しかし、「Panto全天候型防水コーヒーブーツ」は認証試験でPantoを連続100回洗濯しても、色落ち、色染め、変形は発生しないことが認められました。さらに、Pantoの素材は紫外線を82％カットするので、色あせや黄ばみが起こりにくく、耐久性抜群なのです。

「Panto」担当者にインタビュー

チル・ジャパン社長の弓長さんにお話を伺いました。

コーヒーかすに注目した思ったきっかけは？

ccilu（チル）はWilson Hsu氏により2011年に設立したシューズブランドです。
Wilson氏は大のコーヒー好きで、毎朝通勤前にコーヒーショップに立ち寄り、ある日、仲良しの店員さんとの何気ない会話の中から、コーヒーを入れた後のコーヒーかすは日々大量に（年間約250億キロ）捨てられていることを知り、再利用はできないかと考え始めたことがきっかけです。

なぜコーヒーかすを再利用した「Panto」を開発したのでしょうか。

コーヒーかすの廃棄には温室効果ガスの排出による環境破壊への影響があると知り、消臭力・除湿力のあるコーヒーかすを再利用し、cciluの定番人気シリーズ『Panto』を作ることができないかと研究を重ね、素材となるXpreSole®を開発しました。

開発の過程で大変だったことや苦労したことはありますか？

各地から集めたコーヒーかすは、水分含有量や種類もばらばらで、それらをまとめることが大変でした。また、靴にするための各パーツの素材を研究し、10種類以上の項目の国際特許を取得したことも苦労しました。環境に良い素材の制作は難しく、不良率が高いため、製品にするまで非常にコストもかかり、市場が受け入れられる価格帯に落とし込むことに苦戦し、開発までに3年かかりました。

クラウドファンディング終了後はどこで購入できますか？

ccilu公式オンラインショップで販売いたします。発売時期はメルマガでお伝えいたします。

「Panto」を通して、どのような社会になって欲しいですか？

晴れの日も雨の日もPantoで快適に過ごしてほしいと思っています。
また、近年cciluも目を向けていた持続可能な開発（Sustainable Development）として耐久性にもこだわり"長く履ける靴"を実現しました。サスティナブルな社会を目指す活動が広がるなか、何から始めていいか迷っていませんか？　それなら、身近なアイテムである靴を通してエコ活動に貢献していただければと思います。

「Panto」の今後の展開やメッセージがありましたらお願いします。

これからもPantoのような機能的でファッショナブルなシューズを開発していきます。靴を生産する代表として、歩きながら地球環境に貢献できるよう今後もエコへの取り組みにも推進していきますので応援よろしくお願いします。

現在、CAMPFIREでクラウドファンディング中です。リターンは「ハイカット、ローカット」2型と「ブラウン、ブラック、アイボリー、全黒」4色展開で、それにメンズサイズ（24.5～29.5cm）とレディースレディースサイズ（22〜25.5cm）が用意されていますので、気になる方は、ぜひ、お早めにアクセスしてみてくださいね。お得な先行発売は2021年6月7日（月）までです。

私たちが毎日コーヒーを飲んでほっとひと息ついて幸せを感じているその裏側で、多くのコーヒーかすが廃棄されています。また、土に埋めるという廃棄方法では、温室効果の高いメタンガスをつくりだし、環境に影響を与えてしまう・・・。

しかし、そんなコーヒーかすに注目し、それらが持つ消臭力・除湿力・通気性・速乾性を活かして、雨の日やアウトドアを快適にしてくれるブーツに変身させた「Panto」。

私たちも地球もハッピーにしてくれる素敵な取り組みですね！

「Panto」の予約はこちらから。