POSTED BY 熊本 沙織掲載日 JUL 4TH, 2021

【開発者に聞くイノベーション探訪】キユーピー『HOBOTAMA』は代替食品市場の開拓を推し進めるか?

いま、世界中で「アップサイクル」や「サスティナブル」、「SDGs」などの言葉が台頭し、さまざまな分野で新たな技術やサービスが生まれていますよね。当シリーズでは、毎回、イノベーションを起そうとしている人・モノ・体験にクローズアップして、その魅力をお届けしていきます。今回は、卵を使用していない、スクランブルエッグのような見た目と食感のプラントベースフード「HOBOTAMA」を開発したキユーピーさんにお話をうかがいました。

目次

近年、健康志向の高まりや地球環境への配慮の観点から、プラントベースフードへの関心が高まっています。ソイミートや大豆ミートなどの、植物性代替肉の話題を耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。

キユーピーのプラントベースフード第一弾として、2021年6月30日(水)から業務用市場に出荷が開始されたのが、見た目も食感もスクランブルエッグのようなのに卵を使用していないプラントベースフード「HOBOTAMA」。卵に精通したメーカーであるキユーピーの技術力が存分に活かされている商品です。

卵を使わない、ほぼスクランブルエッグ「HOBOTAMA」

「HOBOTAMA」は、豆乳加工品をベースにしたプラントベースフード。丁寧に手作りしたスクランブルエッグのような、とろりとした半熟感が楽しめます。プレーンな味わいでパンや野菜などさまざまな食品と相性がよく、鮮やかな色調で料理を彩ります。

冷凍食品のため、調理の際は解凍して使用します。流水解凍、冷蔵庫での解凍、スチームコンベクションオーブンでの解凍など、さまざまな解凍方法に対応していますが、おすすめは冷凍のまま40〜50℃のお湯で湯せんをすること。人肌程度になるよう温めることで、より卵に近い食感を体験できます。

卵代替食品「HOBOTAMA」開発のきっかけとは

「たまごを使わずに、たまごを作ろう」という提案から生まれた「HOBOTAMA」。サラダとタマゴのリーディングカンパニーとして、もっと卵のおいしさと魅力を届けたいと考えたとき、卵代替食品を作るというアイデアに至ったのだそうです。

アレルギーなどのさまざまな理由で卵を食べられない人も、普段は卵を食べている人も、皆がおいしく食べられる、より多くの人に寄り添う商品を作りたいという思いが「HOBOTAMA」には込められています。

また、開発途中でプラントベースフードの理念に共感することが、より一層の推進力となったそうです。

半熟にこだわった開発担当者の思い

開発に携わった梶聡美さん(左)と渡邊正記さん(右)

「HOBOTAMA」を開発した、キユーピータマゴ株式会社開発本部の渡邊正記さんと梶聡美さんにお話をうかがいました。

なぜスクランブルエッグの形状を選んだのでしょうか?

使えるメニューや食べ方が多いことが理由です。トッピングにする、何かと和える、そのまま食べるなど、さまざまな料理に活用できることから、スクランブルエッグを選びました。

「半熟にこだわった」とうかがいましたが、それはなぜですか?

開発担当の私(編集部注:梶聡美さん)が、半熟卵が大好きだからです! 半熟卵のオムライスが大好きなので、とろりとしたあの食感を再現したくて、半熟にこだわりました。

豆乳をベースに選んだ理由はとは?

安定的な供給があることや価格面に加え、大豆や豆乳は日本人にとってなじみのある素材であることが理由です。また、「HOBOTAMA」の材料として、コクがあり、豆臭さのない豆乳を採用することができたことも、後押しになりました。

開発にあたり、特に難しかった点は?

やはり、半熟感の表現です。固すぎず、軟らかすぎない理想の食感を求めて試行錯誤を繰り返しました。キユーピータマゴ株式会社では卵を使ったさまざまな固さのスクランブルエッグを取り扱っているので、それらも参考にしました。

おいしさを感じるには、彩りも重要です。「HOBOTAMA」が一番おいしそうに見える色味を見つけるため、薄い色から濃い色まで何色も試作し、比較検討しました。

どのようなトーンの色を「おいしそう」と感じるかは国によっても異なるのですが、ベストな半熟感のある色を選ぶことができたと考えています。

おすすめの食べ方を教えてください

サラダやパンと合わせる食べ方はもちろんですが、個人的な一押しはオムライスです。ケチャップライスの上にHOBOTAMAをのせて食べると、大好きな半熟卵のオムライスが再現できます。

醤油とも合うので、野菜と合わせて卵とじのようにするなど、和風に調理するのもおすすめです。

「HOBOTAMA」実食レポート

試食したのは、「HOBOTAMA」を使用したHOBOTAMAマヨコッペ。コッペパンの内側にキユーピーエッグケア(卵不使用のマヨネーズタイプ調味料)とホットマスタードを塗り、HOBOTAMAをはさみ、塩をふって味を調えたものです。

実際に目にして驚くのは、見事にとろりとした半熟の形状。卵を使ったスクランブルエッグの場合は、調理してから食べるまでに卵液がパンに染みこんでしまったり、卵にどんどん火が入って固まったりと、一定の状態を保つことが難しいものですが、HOBOTAMAはそういったことがなく、同じ状態を保つことができます。

食べてみると、食感はまるで卵。半熟のスクランブルエッグの、フライパンに触れて焼けている部分、やわらかく固まっている部分、とろりとした生っぽい部分がそれぞれ再現されています。

特に、今回試食したHOBOTAMAマヨコッペのようにキユーピーエッグケアやホットマスタードなどの調味料と合わせて食べると、本当に卵を使ったスクランブルエッグを食べているよう。言われなければプラントベースフードを食べているとは気がつかないほどでした。

HOBOTAMAのみをそのまま試食すると、ベースとなっている豆乳由来の香りをわずかに感じるものの、それでも卵を使用したスクランブルエッグに非常に近いという感想をもちました。

業務用市場での展開でより良いものに

キユーピーによると、「HOBOTAMAを食べてみたい!」という多くの反響が寄せられているとのことです。 新たな食の価値観が広がるなか、より多くの人が楽しめる卵の代替食品となっていると期待が寄せられています。

今後の展開については、まずは「HOBOTAMA」を業務用市場で展開し、使い心地や改良点を踏まえてさらに良いものにしていきたいと考えているそう。そのほかのプラントベースフードについても、キユーピーの技術を活かし、卵の代替食品に限らず開発していきたいという展望を聞かせていただきました。

取材協力:キユーピー株式会社

[All Photos by Masahiko Watanabe]

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熊本沙織
編集者/ライター

編集プロダクションと出版社での勤務を経てフリーの編集者・ライターに。ウェブメディア・書籍・雑誌・広報誌などで幅広く活動中。隙あらば航空券をウェブ検索し、旅のプランを練っている旅行好き。自宅に3台のたこ焼き機を所有する関西人。

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