POSTED BY くわばら掲載日 OCT 5TH, 2021
【バーチャルファッション最前線】スニーカーが150万円?加速するデジタル資産の行方を先駆者「1Block」に聞いてみた
2021年春、日本初のバーチャルスニーカーが北米にて約150万円の値をつけ、世界中で話題となりました。この1足は、ニューノーマル時代を象徴する最新技術(NFT)を取り入れた、世界初のファッションアイテム。ということで、今回は、一体なにが新しいのか、そしてここから何が始まろうとしているのか、スニーカーを作った「1Bock(ワンブロック)」の代表・宮地洋州さんにお話を伺ってみました。
目次
バーチャルスニーカーが150万円で売れた理由
「NFTのファッションアイテムとしては世界初です」
― 基本的なことですが、バーチャルファッションとはどのようなものでしょうか?
日本では“デジタルファッション”と呼ばれることも多いですが、簡単に言えばデジタルで作られたファッションアイテム全般を指す言葉です。
例えば、アバターやゲームのキャラクターに着せる衣装やアイテムもそれに当たります。そのため今までもWeb上には存在しましたが、そこにブロックチェーンという新しい技術を備えることで、これまでとはまったく違う価値が生まれたんです。
それが、弊社がリリースした1Block(ワンブロック)のオリジナルスニーカー、「AIR SMOKE 1」になります。北米のオープンシーというマーケットプレイスに出品して、9分ほどで150万円の値が付きました。
もちろんデジタルなので実際に履くことはできません。ただ、デジタルだからこそできるエフェクトとして、色調が変化して煙が出ます。そしてブロックチェーンを活用したNFT(Non-Fungible Token)という一点モノになるんですよ。
― ブロックチェーンとは、どのような技術でしょうか?
簡単に言えば、デジタルの制作物の所有権を明確にする技術です。そして絶対に複製できません。コピーが容易だったデジタルのデータに、唯一無二な資産的価値を付与することで、新しい売買市場を生み出すことができます。
しかも誰から幾らで購入したのかも、すべて履歴として残っていきます。それがチェーン上に繋がっていくから、“ブロックチェーン”なんですよ。
「デジタル領域でさまざまな可能性を秘めています」
― 所有権と売買履歴が、制作物の中にデータとして蓄積されていくわけですね。
その通りです。これは今までのWebにはなかった仕組みで、そうして作られたデジタル資産をNFT(Non-Fungible Token)と言います。アニメーションが備わったデジタルスニーカーという部分でも世界初になると思います。
― それは 9分で150万円の値が付いたのも納得です。
もちろん投資目的もあると思います。実際にNFTのファッションアイテムはさまざまな可能性を秘めているんですよ。
例えばARの技術を活用して、実際に履いているような気分が味わえたり、所有者がゲームのキャラクターに履かせたり、その中で売買することも可能になります。フィジカル的には履けませんが、デジタル領域では、かなり幅広いマーケットに対応していけるんですよ。
それと、おもしろいのが転売における利益の分配です。例えば、リアルの世界で僕が作ったスニーカーを誰かが買い、その人が転売しても僕に利益はありません。
でも、このデジタルスニーカーは、転売される度に僕というかこの会社にも利益が生まれるんですよ。ブロックチェーンで契約を繋いでいくので、そこで発生した利益も自動的に分配されていくわけです。
ブロックチェーンの革新性と魅力
「クリエイターの権利を守る技術になります」
― とても画期的ですね。普及したら凄いことになりそうです。
実はNFTの最大のメリットはそこにあるんです。チェーン上でクリエイターの権利を守ってくれる技術なのです。だから世界で注目されているんですよ。
今まで制作物の権利は、第三者の団体や企業が間に入って管理をしてきましたが、これからは各個人がテクノロジー上で所有権を明確にでき、その売買における利益の分配なども、最初から決めておくことができるんです。それは絶対に改ざんやコピーができません。
そして二次流通、三次流通はもちろん、五次、六次と転売されていくなかで、それを作り出したクリエイターだけでなく、売買に関わってきた各所有者にも少しずつ利益が分配されていく。永遠にそれが続いていくわけです。
― デジタルスニーカーのことを聞きにきたら、とんでもない話になってきました(笑)
僕が個人的にスニーカーが大好きってのもありますが(笑)、親しみやすいファッションアイテムとして、最初にスニーカーを選ばせてもらいました。それで、「なんでこれが150万円なの?」 ってところからNFTやブロックチェーンに興味を持っていただければと思っています。
おかげさまで実際に話題となり、この半年の間にさまざまなクリエイターの方々からコンタクトをいただくことができました。
でも大袈裟ではなく、ここから社会が変わっていく動きがはじまりつつあります。実際にアメリカではそうした動きが加速していて、どんどん個人の力が強くなっています。しかも有名無名関係なく、オリジナルのアイデンティティが評価されはじめているんですよ。
それに向けて日本からアプローチしていくためには、各クリエイターがデジタル上で世界に発信できる場所や、ポテンシャルを最大限に発揮できるテクノロジーが必要だと感じました。僕は本気でそういう新しいカルチャーを根付かせたいと思っているんですよ。
「企業よりも各個人にチャンスがある時代に」
― ではその土壌となる1SEC(ワンセック)という会社と、1Block(ワンブロック)について教えてください。
1SEC(ワンセック)は、2019年1月にLAと東京で設立しました。今お話したブロックチェーンに関連する事業をメインに展開しています。1Block(ワンブロック)は、弊社が運営するファッションレーベルみたいなものですね。ブランドというより、ラボやハブに近いかもしれません。
そこでさまざまなクリエイターたちやブランドと一緒に、デジタル領域に向けて新しいことを展開していきたいと考えています。今秋には、PCやスマホのバーチャル空間上でブロックチェーン技術を基盤とした新しい体験を楽しんでいただくプラットフォーム「1Block LAND」も用意します。
― つまり、1Block(ワンブロック)をハブに、さまざまなデジタルの制作物にブロックチェーンを付与していくと?
そういうことです。実際にブロックチェーンの普及によって、さまざまなことが大きく変わっていくと思います。もしかするとツイッターやフェイスブックに変わる、NFTのコミニケーションツールが新しく出てくるかもしれない。
本当に今は転換期なんです。しかも今度は企業よりも各個人にチャンスがあるっていう。
ブロックチェーンが社会にもたらすモノ
「すでにイノベーションが起きています」
― 今後は、どのように変化していく思いますか?
Webに限らず、世の中の仕組み自体が変わっていくと思います。20年、30年先ですが、会社という組織や団体みたいなものが無くなるんじゃないかと。
各個人が独立した状態で権利も分散されていくけど、ビジネスは成り立っていく。そんな未来に進んでいることを感じています。
― 組織や団体が個人の権利を管理する時代は終わるということですか?
そうです。ブロックチェーンが仕組化されると、組織が管理する必要がなくなりますから。例えば、スマホとSNSの登場がインフルエンサーという言葉を生み出しました。それによりさまざまな物事が民主化されたと思うんですよ。国や企業よりも、個人の発信力が強くなってきたわけで。
それも歴史的なことですが、インターネットは、そこからさらに個人に力を持たせていくわけです。そしてSNSは写真と動画の二次元ですが、これからは三次元のバーチャル空間で活躍していくんじゃないかと。15年ほど前に話題になった『セカンドライフ』のイメージがわかりやすいと思います。
もしかすると僕が寝ている間に僕の分身がジタル上で屋台を開いて、デジタルラーメンを売って稼いでくれるかもしれない(笑)。でもそうなってくると、もう24時間の概念も変わってきますよね。バーチャル上には時間の制限もありませんから。
バーチャル空間の発展、時間軸の変化、個人で勝負する時代。この3つはイノベーション的な現象として、すでに始まっています。正直、もっと時間がかかると思っていましたが、昨今のパンデミックが、それを加速させましたね。
「“次の当たり前”を作り、企業や人々にパワーを与えたい」
― なるほど。では変わっていく社会のなかで、1SEC(ワンセック)の今後の展開や目標を教えてください。
やはり1人でも多くのクリエイターと一緒に、世界が注目する作品を生み出していきたいです。そのためにも1Block(ワンブロック)のプラットフォームを大きくしていくことですね。
それは世界基準で考えていますが、個人的には日本のカルチャーに特化していきたいんです。日本人のアイデンティティは世界でも類を見ない個性がありますから。特にポップカルチャーにおいては、世界で勝負できる大きな可能性を秘めていると思います。それもあり日本に拠点を置いているんですよ。
ニューノーマル時代の中長期のビジョンとしては、それが1番大きいです。でも会社のミッションとしては、1SECのあらゆるテクノロジーで“次の当たり前”を作って、世界を加速させていくことです。そのためにも、企業や人々にパワーを与えていきたい。もちろんゴールはひとつではありませんが、可能性は無限に広がっていると感じています。
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サブカル全般が守備範囲の、文化系外遊びライター&編集者。アメリカンカルチャーやアウトドアを軸にしたファッション誌やWEB媒体で執筆。広告案件のディレクションやアドバイジングも担う。 |
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