POSTED BY フレッチャー 愛掲載日 JUL 8TH, 2021

【世界のニューノーマル最前線・UK】Euro2020で新型コロナ感染急増中!イギリスの今

サッカーの欧州選手権Euro2020に沸くイギリスでは、連日のお祭り騒ぎから新型コロナ感染者数も急増中です。そのような状況を現地ではどのように報道されている?街の様子は?ロックダウン解除に踏み切る強気なイギリスの様子を、現地在住ライターがお伝えします。

目次

増え続けるデルタ株感染者数


イギリスでは、現在感染力が強いとされるデルタ株(インド株)の勢いが止まらず、連日2万5千人を超える新規の感染者が記録されています。

日本のニュースでも、数万人規模の人がスタジアムでサッカー観戦をしたり、パブやパブリックビューイングで、マスクなしでアルコールを飲みながら大声で応援するイギリスの様子が大きくとりあげられていました。

危機感のないイギリス

Euro 2020 準決勝。筆者撮影

確実にコロナ第3波が到来しているイギリスですが、なんと、Euro2020の観戦が起因していると考えられる感染拡大のニュースは、現地ではほとんど話題になっていません。

イギリスでは、「安全確保のために観戦者数を減らそう、パブリックビューイングをやめよう」などという声はほとんど聞かれません。また、テニスのウィンブルドン選手権も2021年6月末から始まっており、こちらも50%の観客動員からスタート、決勝が行われる2021年7月10日、11日には満員での観戦が予定されています。

イギリスでの報道は極めてポジティブ

ウインブルドン選手権。筆者撮影

現在(2021年7月初旬)イギリスでは、新型コロナウイルスの感染拡大中にも関わらずEuro2020やウィンブルドン選手権は極めてポジティブなイベントとして報道されています。

イングランドがサッカーのEuro(欧州選手権)で準決勝まで進出できたのは1996年以来の快挙。明るいニュースとして大盛り上がりなことはもちろん、ビールの売り上げや宅配サービスなどへの経済効果なども大きく、ポジティブなニュースとして報道されています。

新規感染者2万人以上でもロックダウン解除へ

ボリス・ジョンソン首相のテレビカンファレンス。筆者撮影

ボリス・ジョンソン首相は、予定通り2021年7月19日にイングランドのロックダウンを解除することを発表しました。これから数週間はまだ2回目のワクチン接種が終わっていない若者を中心にデルタ株の感染が増えていき、「1日の新規感染者数が10万人に届くかもしれない」と言われいるなかでの強気な決断と言えます。

ロックダウンが解除されれば、屋内外でのコンサートやイベントも制限なし、ナイトクラブやスイミングプールなどもオープンできます。さらには、現在は法律で公共の屋内ではマスクの着用が義務付けられているのも個人の判断へ、また、ソーシャルディスタンシングも撤廃されるという、ほぼ「コロナ以前」のライフスタイルが戻ってくることになります。

ワクチンの絶大なる効果、圧倒的な検査数からくるデータへの自信

イギリス政府が強気な決断ができるのはどうして? また、国民を不安にさせないその理由とは?

2021年7月初旬現在、イギリスはほとんどの大人が最低1回のワクチン接種をしており、約60%以上が2回の接種が完了しています。感染者数は増えても、死亡者と入院者数は微増にとどまっていることから、ワクチンが絶大なる効果を発揮していることが証明されています。そのため、今後も新型コロナウイルスの感染者数は増えても、医療崩壊につながるような重症者数の増加の可能性は低い、というのが専門家の見解です。

また、ワクチンへの絶大なる信頼を後押しするのは、イギリスの圧倒的に膨大な検査数をもとにしたデータへの自信です。イギリスは、日本と違い2020年の早い段階からの圧倒的な数の検査を進めていました。また、2021年に入ってからは中高生などを含めた在宅勤務以外の人は週2回の検査が義務付けられており、1日の検査数は100万件を超えていました。そのため、感染者の把握、また感染後の症状の変化などの大量の情報を得ることができ、今後の予測を立てることへの自信につながっているのです。

With コロナ:新型コロナを流行性ウィルス感染症のひとつととらえる

イギリスでは、新型コロナウイルスをできるだけ早くインフルエンザのような流行性感冒のひとつというとらえ方にしていきたいという思いが強く「今でないなら、いつ?(今でしょ?)」という強気なロックダウン解除に踏み切ります。賛否はありますが、(正解であったかどうかは別として)潔い決断力、リーダーシップ力という点でイギリス政府は評価されるべきでしょう。

在住者として正直な気持ち

ウインブルドンの観客。屋外のためマスクは少数。筆者撮影

2020年の2月ごろからほぼ1年半のコロナ禍からようやく普通の生活に戻れる、という解放感とともに「いくらなんでも早すぎない?」という不安が大きくあるのが正直なところです。マスク嫌いが多いイギリスでは、法律で義務化されていなければバスや電車、店内などでもマスクをする人は少数派となることは簡単に予想ができ、ソーシャルディスタンシングもなくなるので、初めのうちは慣れるまで時間がかかりそうです。

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フレッチャー愛
フレッチャーアイ/イギリス在住ライター

20代のころからイギリス在住。科学者。フットボールに夢中な男の子の母親として奮闘中。ヨーロッパ各地のマーケット(蚤の市)散策、ワイン、見晴らしのよい絶景スポット、特に海が大好き。

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