POSTED BY オオモト ユウ掲載日 OCT 26TH, 2021

東京五輪で日本選手団を支えた特別食「For ATHLETE」ギョーザとは?Vol.1【開発者に聞くイノベーション探訪】

2021年夏、17日間に渡って熱戦が繰り広げられた2020東京五輪。世界的な感染症蔓延による開催延期、会場の無観客措置、開催直前の感染再拡大など、開催前はネガティブな意見が多かったものの、日本選手団の活躍もあり、人々を大いに高揚させる契機となった。

その活躍を「食」で支えた味の素冷凍食品株式会社から発売されたのが、「For ATHLETE」ギョーザである。トップアスリートが監修した特別品が家庭でも食べられるとあって、大きな話題を呼んでいる。この画期的な取り組みはいかにして実現に至ったのか。開発の経緯や商品化に至るまでの紆余曲折、冷凍にこだわった理由に至るまでを担当者にうかがった。

目次

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おいしさとスポーツ栄養を両立した「For ATHLETE」ギョーザ

2020東京五輪の興奮冷めやらぬ2021年8月25日、味の素冷凍食品株式会社から「For ATHLETE」エナジー ギョーザⓇと「For ATHLETE」コンディショニングギョーザの2品種が新たに発売された。

この商品は、フィギュアスケートの羽生結弦選手や卓球の伊藤美誠選手、柔道の阿部一二三選手、阿部詩選手、バドミントンの奥原希望選手といった日本のトップアスリートと共同開発したスペシャルな逸品。異なる特徴を持つ2種類のラインアップにより、体調や目的に応じた食べ分けを可能にしている。また、焼きギョーザとして調理の際は油と水が不要で、誰でも簡単においしく焼けるのもいいところだ。

まずは開発者へのインタビューに入る前に、商品の特徴について簡単に紹介しておきたい。

「For ATHLETE」エナジー ギョーザⓇ

運動する際にエネルギーとなる炭水化物を効率よく摂取できるよう、厚みがあって食べ応えがあり、それでいて低糖質を実現した特製の米粉皮を採用。具には糖質をエネルギーに変える働きをするビタミンB1が配合され、体内で効率よくエネルギーに変わるのも特長である。

また、従来の冷凍ギョーザと比較して脂質はほぼ半分。対人競技の際も臭いが気にならないようニンニクは使わず、それでいてタレなしでも食が進むパンチの効いた味わいに仕上げられている

【栄養成分(100gあたり)】

  • エネルギー:170kcal
  • たんぱく質:7.4g
  • 脂質:5.1g
  • 炭水化物:23.5g
  • 食塩相当量:0.94g

【販売価格】
1,200円(税込 1袋30個入り)
※送料は別途。税込4,800円以上の購入で送料無料

「For ATHLETE」コンディショニングギョーザ

ニラやキャベツ、たまねぎ、ニンジン、ホウレンソウなど6種類の野菜をたっぷりと具に使い、ビタミン類(A、C、E)を摂取できるのが特徴。野菜と肉の比率が1対2の配合で、野菜嫌いの子どもにもおすすめする。

また、従来の冷凍ギョーザと比較してたんぱく質に富み、トレーニング後のリカバー目的で食するにも好適。脂質が控えめで味わいはあっさり。疲労時でも食が進み、身体のコンディションを整える効果が期待できる。

【栄養成分(100gあたり)】

  • エネルギー:137kcal
  • たんぱく質:8.5g
  • 脂質:4.3g
  • 炭水化物:16.1g
  • 食塩相当量:1.2g

【販売価格】
1,500円(税込 1袋30個入り)
※送料は別途。税込4,800円以上の購入で送料無料

【購入方法】
味の素冷凍食品株式会社
公式オンラインストア(https://shop.ffa.ajinomoto.com/)にて

アスリート向けがなぜギョーザ? その理由とは

「For ATHLETE」ギョーザの紹介にあたり、製造・販売を行っている味の素冷凍食品株式会社を訪門。開発や発売までの準備などに携ったご担当者3名にインタビューを行った。

取材に応じていただいた味の素冷凍食品株式会社マーケティング本部 新事業開発部の皆さん。左から吉田哲洋さん、石原敏章さん、岩﨑裕さん

― 今日はよろしくお願いします。さっそくですが、なぜアスリート向けの食品として「ギョーザ」が選ばれたのでしょうか?

石原:
「味の素」と「スポーツ」の関係から説明しますと、2003年から「ビクトリープロジェクトⓇ」という活動をスタートしています。主な活動としては、「アミノ酸の力を使ってアスリートの健康課題を解決しよう」、「日本代表やその候補選手を食や栄養面でしっかりサポートしよう」というものです。ですから、「味の素」と「スポーツ」の関係には歴史と蓄積があるんです。

それで、そのプロジェクトチームのリーダーをしている栗原(秀文)から「ギョーザを作りたい!」という依頼が岩﨑のところに来ました。その出来事がきっかけですね。

岩﨑:
そもそもすべての始まりは、フィギュアスケートの羽生結弦選手なんです。栗原は彼と長い付き合いなのですが、2人の間でギョーザについての話が出ていたらしいんです。羽生選手は「食欲がなくてもギョーザなら食べられる」、「ギョーザはテンションが上がる」という話をしていたようなんですね。

それを栗原が覚えていて、別の機会に100人のアスリートにヒアリングしてみたら、90%以上がギョーザが「好き」と答えたそうです。でもね・・・。

― でも?

岩﨑:
「ギョーザは好きなんだけど、試合前はちょっと・・・」という答えが多かったそうです。

学生時代だったら、練習後に街中の食堂に行って好きなものを食べたりしますよね。でも、プロのアスリートとしてトップを目指す過程では、食事や栄養面にも気を遣うようになります。そうなると「本当はギョーザを食べたいけど、脂も多いし・・・」と諦めざるを得なくなる。そういった声が多かったんです。

また、柔道のように相手と至近距離で試合をする競技の場合は、ニンニク等の臭いを気にする人もいます。そういった理由から「食べたいけど食べられない・・・」という声も聞かれました。

2020東京五輪・柔道男子66 kg級金メダリストの阿部一二三選手(左)にヒアリングを行う栗原秀文さん(右)。こういった密なコミュニケーションから得られた情報が「For ATHLETE」ギョーザのベースとなった 写真提供:味の素冷凍食品株式会社

― スポーツ選手ではなくとも、ギョーザを食べるにあたって脂とニンニク臭は気にする方が多いですよね。

岩﨑:
そこで栗原はあくまでサポートの一貫として、アスリートのためのギョーザを作り始めたんです。2種類ある「For ATHLETE」ギョーザのうち「コンディショニングギョーザ」には、ニラなどの野菜がたっぷり入っています。

実はこの商品、羽生選手が実家で食べていたニンニク抜きのニラ餃子がヒントになっているんです。栗原はそれをベースにして自宅のキッチンで試作を重ね、担当しているアスリートに振る舞いながら研究を続けていたらしいんです。

ただ、そのやり方では一度に多くのアスリートには提供できません。そこで、我々のところに相談が持ち込まれたわけです。我々にとってギョーザは得意な商品ですから、いろいろな引き出しを持っている。同じ味の素グループでの話ですから、これはお手伝いしようと。

― では、ほかの料理と比較して選ばれたわけではないんですね。

岩﨑:
初めからギョーザ一本ですね。ただ、2種類作って選手に提供することは当初から決まっていました。

そもそもギョーザって「たんぱく質」「脂質」「炭水化物」という3つの栄養素がバランスよく摂取できる、よく考えられた食べ物なんですよ。

石原:
ギョーザは人間のテンションを上げる不思議な食べ物なんです。

それを我々が手がけるにあたっては、「おいしさ」はもちろんですが、そこに「楽しさ」や、今回で言えばスポーツ栄養を意味する「健康」をプラスして提供する。こうした取り組みにより、付加価値の高い商品が完成したと考えています。

アスリート向けのギョーザがなぜ「冷凍」? その理由とは

「冷凍食品に対して否定的な見方をする人もいますが、冷凍だからこそ可能になることは多い。常に冷凍することのメリットを真剣に考えている」と岩﨑さん。高い保存性と安定した品質、調理する際の簡便さを備える食品作りには冷凍食品のノウハウは欠かせない

― なぜアスリート向けの料理を冷凍食品で出そうと思ったのでしょうか? 今や日常生活に定着してファンも多い冷凍食品ですが、極端なイメージを持つ人も少なからずいると思いますが。

岩﨑:
調理師を雇ってレシピを渡し、その都度作ってもらえる環境なら手作り品を提供できるでしょう。でも、合宿やオリンピックのような大会では、会場に設営された食堂で多くの選手やスタッフが一斉に食事を取る。そういう環境下では一度に、大量に、そして誰が作っても同じ味やクオリティを保つことが求められます。もちろん、衛生面にも気を配らねばなりません。

そういった条件をすべて満たそうと考えたときに、「やはり冷凍食品でなければできない!」という結論に至りました。

誰が調理しても同じように焼けておいしく食べられる。一般家庭向けの商品で培われた冷凍食品の技術は、忙しいスケジュールのなか栄養管理を行うアスリートはもちろん、一度に多くの大会関係者をもてなす食堂運営スタッフにとっても大きな助けとなる

石原:
話を聞いていくと、アスリートの方も普段はけっこう自炊しているんです。ただ、自炊するといっても材料をそろえて、レシピを考えて、実際に調理をしてと手間と時間がかかります。一般の家庭と同じ悩みを抱えているんです。

アスリートにとっては、コンディションを整えるための「休息」も練習や食事と同じくらい大切です。練習をして、必要な栄養を食事から取って、なおかつ十分な休息も確保する。そう考えると、調理にかかる時間や手間はなるべく省きたいんです。

だからこそ、我々のような冷凍食品の会社がお手伝いできると考えました。簡単に調理できて栄養価の高い料理を提供する。これは、我々だから提案できるソリューションだと思っています。

― アスリートが自宅で作って食べる際のことも考えると、冷凍食品がベストなんですね。

岩﨑:
そうなんです。プロじゃないとうまく焼けないギョーザでは意味がありません。フライパンに並べてフタをしたら、あとは火をつけて待つだけ。途中で水を入れる必要もありません。我々の主力商品であるオリジナル冷凍「ギョーザ」と調理方法は同じです。失敗が起こらないように作られていますから、誰に調理を任せても安心です。

アスリート向けの食品としては「焼く際に油が不要」という点も意味があります。焼き油によるカロリー増が起こりませんから、摂取カロリーを計算して食べる個数を決められる。そのとき食べられる必要分だけ使えて、残りはそのまま冷凍。もちろん、生ギョーザと比較して賞味期限を長く設定できるので、食品ロスを抑えることもできます。こういった点は冷凍ギョーザならではの強みではないでしょうか。
(Vol.2へ続く)

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オオモトユウ
編集者/ライター/フォトグラファー

スポーツウエアメーカー勤務、雑誌編集などを経てフリーライターに。好きなことを仕事に選び続けた結果、周囲からは「ラクをして生きている」と思われているのが悩み。四国、北海道については愛車で単独周遊済みなので、九州に照準を定めている。旅先での酒場巡りとノルウェー旅行の再開に思いを募らせる日々。

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