POSTED BY フレッチャー 愛掲載日 APR 25TH, 2021

【世界のニューノーマル最前線・UK】家族がイギリス型変異種に感染した!

日本ではイギリス型の変異種の感染拡大が大きく報道されていますよね。そこで今回は、イギリス在住ライターの筆者が、家族が一斉に新型コロナウイルスに感染してしまい不安に過ごした日々を振り返ってみます。

目次

感染力の高いイギリス型変異種

2021年4月現在、厳しいロックダウンと大がかりなワクチン政策の成果もあり、危機的な状況を脱しつつあるイギリス。今回は在英20年になる筆者が、イギリスで変異種が猛威を振るっていた2020年年末の出来事を振り返ってみたいと思います。義理の家族が続々と感染し、不安な日々を過ごしていたのです。

(注)イギリス在住の筆者が周りの体験談や、実際に感じた個人的な体験を記事にしています

ロックダウン中に義理の両親が感染


2020年11月、北イングランド(マンチェスター、リバプール)などを中心に感染が拡大し、イギリスは2度目のロックダウンに入りました。この頃にはイギリスの変異種が従来型に置き換わり、今までにない拡大の速さと、ロックダウンでも抑え込みがあまり効いていない雰囲気をじわじわと感じていました。

そんななか、イングランド北部に住む義理の両親(イギリス人、60歳代後半)が新型コロナウイルスに感染。ロックダウン中なので外出はほとんどしておらず、また、仕事もしていないため、感染ルートの可能性は買い出しに出かけたスーパーマーケットのみ。もちろん、マスクや除菌ジェルを使用していたにも関わらずで、感染力の強さを思い知らされました。

従来の代表的なものとは異なる症状も

義理の両親には、ともに「熱、せき、味覚の変化」はありませんでした。義理の父の場合は、「とにかく体がだるい、気分が悪い」という症状での検査にて陽性が発覚。入院には至りませんでしたが、おなかの調子がずっと悪く回復に1カ月ほどかかりました。義理の母は幸いにも、まったくの無症状で終わりました。

同じように、感染した知人たちが訴えた症状に「関節などが痛む、おなかの調子が悪くなる」というものが多くありました。芸人のノンスタイル・石田明さんも、PCR検査で陰性と判定された後、これまで一般的とされていたものとは異なる症状で番組を欠席。その数日後に陽性が判明したと報じられましたよね。その例を鑑みても、体調不良の際は「もしかしたら?」と注意する必要があるのかもしれません。

同時期に義理の妹夫婦が感染

義理の両親が新型コロナウイルスに感染し自宅療養をはじめた直後、次は義理の妹夫婦(30代後半)も感染してしまいした。その家には小学校低学年の男子が二人いますが、ちょうどその時、担任の感染による休校のため子どもたちは自宅待機していたのです。幸い、子どもたちには症状はなく、妹夫婦は自宅での療養を続けました。

子どもから大人へ。避けがたい家庭内感染

子どもにも感染しやすいとされるイギリスの変異種ですが、私が実際に見て感じたことは、「子どもが親にうつしてしまう」ケースも非常に多いということです。

子どは、従来型・変異型ともに、感染しても無症状かもしくは風邪よりも軽い症状となることが多いようです。また、変異型は感染力が強いので、学校などで濃厚接触をしていても、知らず知らずのうちにウイルスを家に持って帰ってきてしまうことも。それによって両親など家庭内の大人全員に感染させてしまった例を頻繁に聞きました。

若い人でも一気に重症化することも

自宅で療養していた妹夫婦ですが、2~3日のうちに義理の弟(30代後半、いたって健康)がウイルス性肺炎で一気に重症化してしまい酸素吸入が必要なほどになってしまいました。幸い抗ウィルス剤がよく効き2週間ほどで退院できましたが、特に1週間目は最悪な場合も考えてしまうほど不安な日々となりました。

夫婦で入院したら子どもは誰が見る?

TreasureGalore / Shutterstock.com

重症化して入院した義理の弟に続いて、義理の妹もなかなか回復せず病院に行った方がいいのではないか?という状態に。ところが、仮に入院が必要となった場合、小学生の子ども二人の面倒を見る人がいなくなってしまいます。感染させてしまう可能性を考えると、高齢の両親に面倒を見てもらうことはできません。また、濃厚接触者である子ども二人を隔離しつつ面倒を見てくれる施設もあまり整っていないこともあり、義理の妹は病院になかなか行きたがりませんでした。最終的には、入院することになった場合は車で2時間ほどの距離に住む私たち夫婦が迎えに行くことにして、妹は病院に向かうことに。

幸いにも、入院には至らず引き続き自宅で療養することができましたが、感染自体はさほど恐怖に思っていなかった筆者も、「もし夫婦ふたりで感染した場合、子どもはどうする?」という、二次的な恐さを感じることになりました。

最後に

筆者の家族は時間はかかったものの、全員回復して2020年のクリスマスも皆そろってお祝いすることができました。

イギリスでも新型コロナウイルスが猛威を振るったこの1年、筆者自身もまったく他人事ではありませんでした。これまでも「○○さんインフルエンザになったんだって」という会話もありましたが、それよりもずっと頻繁に近所の人や職場の同僚、親せきなどが次々と新型コロナウイルスに感染していきました。いつでも誰でも罹ってしまう可能性が高いということですよね。

新型コロナウイルスは「ものすごく怖い病気」ではなく、多くの人は無症状か風邪のような症状を経て回復しています。ただ極まれに、若くて健康な人でも肺炎のように重症化することがあること、また、夫婦そろって入院してしまう場合の対処法も想定しておくこと。実際に罹ってしまった身近な人の経験を見たり関わるうちに、そのように強く感じるようになりました。

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フレッチャー愛
フレッチャーアイ/イギリス在住ライター

20代のころからイギリス在住。科学者。フットボールに夢中な男の子の母親として奮闘中。ヨーロッパ各地のマーケット(蚤の市)散策、ワイン、見晴らしのよい絶景スポット、特に海が大好き。

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