POSTED BY 倉田直子掲載日 DEC 18TH, 2020

【世界のニューノーマル最前線オランダ】マスク着用に戸惑う人々と街の様子

皮革でできたハードなマスク

こんにちは。オランダ在住ライターの倉田直子です。コロナ禍が発生してから数カ月、オランダでもさまざまな新ルールや習慣が誕生してきました。日本で生まれ育った筆者からすると、「この習慣を取り入れるのに、オランダ人はそんなに抵抗があるんだ!?」と驚くようことも。今回は、オランダ人にとってはまったく新しい習慣である「マスク」についてお話しさせてください。

目次

マスクをつけないオランダ人たち

マネキンが、スカーフをマスク代わりに
マネキンがスカーフをマスク代わりに

日本ではコロナ危機以前から、花粉症対策や体調管理の一環として、人々の日常生活にマスクが浸透していましたよね。けれど、ここ欧州オランダでは、去年まではまったくなじみのない存在でした。マスクをするのは「医療従事者」または「重病人」、はたまた「顔を隠したい後ろ暗いところがある人」という認識だったのです。

そのため、コロナ危機が始まったばかりの頃は、まだオランダのドラッグストアなどではマスクの取り扱いがほとんどありませんでした。テレビに出演する「有識者」が「新型コロナウイルスにマスクが有効かどうか分からない」とも発言していたので、国民たちにも慣れないマスクはしたくないという意見が優勢でした。気にしている一部の人々が、マフラーやスカーフを深めに巻いていた程度。

上の写真は、2020年4月にショーウィンドウに飾られたマネキンがスカーフをマスク代わりにしている様子です。この頃は、マスクはまだまだこの程度の存在でした。

公共交通機関でのマスク着用が義務化に

駅のホームに、マスク着用を促すマークが
駅のホームにマスク着用を促すマークが

そんな中、事態は好転していないけれどもロックダウンを徐々に解除したい政府が、ついに一部マスク義務化を決定しました。2020年6月から義務教育校を段階的に再開するのに伴い、6月1日から「13歳以上の大人は公共交通機関内でのマスク着用」を義務化したのです。感染対策として推奨されていた「1.5m」のソーシャルディスタンスが公共交通機関内では保てないため、(非医療用)マスクを使用することで安全性を高めようという算段でした。

ちなみに、この義務を怠った時の罰金は95ユーロ(2020年12月現在、約1万1970円)。なかなか厳しいですね。

オランダでもマスクが流通し始める

積みあがる不織布マスク
積みあがる不織布マスク

2020年6月1日からの交通機関内におけるマスク着用義務化を受け、その直前からオランダでも不織布マスクが流通し始めました。お店やメーカーによっても値段にはかなり幅がありますが、この写真は50枚入りで約7ユーロ(同約882円)です。

本来、オランダでは、食品や生活必需品以外の商品に21%の消費税が加算されます。けれどこのマスク一部義務化を受け、2020年5月25日から2021年3月31日までマスクは非課税になりました。こういった部分は、オランダは柔軟だなと感じます。

効果よりもコスパやファッション性

ショーウィンドウに飾られる布マスクたち
ショーウィンドウに飾られる布マスクたち
ショーウィンドウに飾られる布マスクたち
ショーウィンドウに飾られる布マスクたち

このように交通機関内マスク義務化から、徐々にマスクを着用し始めたオランダ人たち。けれど「コロナ対策というよりも、義務だから渋々つける」という姿勢がありありとにじみ出ていて、乗客が電車やバスを降りた瞬間にマスクを外す光景は、もはやオランダの定番となりました。

そういった事情から、使い捨ての不織布マスクよりも、洗って何度も使いまわせるマスクも人気です。オランダの大学に通う学生によると、「大学生は自由にできるお金が少ないので、コストパフォーマンスが高い布マスクのほうを好んで使っている」そうです。8ユーロから10ユーロ程度が定番のようです。

皮革でできたハードなマスク
皮革でできたハードなマスク

今まで見かけた中で一番傑作だったのが、このレザーマスク。防疫よりもファッション性を重視していますよね。このマスクを着けた人に電車で遭遇したら驚いてしまいそうです。

そして2020年12月1日からは、屋内の公共施設内でのマスク着用が義務化されました(13歳以上が対象)。つまり、スーパーマーケットや博物館など不特定多数の人が訪れる屋内施設では必ずマスクを着用しなくてはならないということです。

これから、ますますオランダ人の生活習慣として浸透していくと思われるマスク。この先、どのような進化を遂げていくのか楽しみです。

※記事の内容は2020年12月現在の情勢を反映しています

[All Photos by Naoko Kurata]
[De Nederlandse maatregelen: basisregels voor iedereen]
[Geen btw op mondkapjes vanaf 25 mei]

関連するタグ

倉田直子
クラタナオコ/ライター/タイニーハウス・ウォッチャー

2004年にライターとしてデビュー。北アフリカのリビア、イギリスのスコットランドでの生活を経て、2015年よりオランダ在住。主にオランダの文化・教育・子育て事情、タイニーハウスを中心とした建築関係について執筆している。著書「日本人家族が体験した、オランダの小学校での2年間」(https://www.amazon.co.jp/dp/B0758JCDTM/)

著者のプロフィールを詳しく見る

RANKINGランキング

  1. NOV 18TH, 2020BY 青山沙羅

    暮らし/生き方 > 海外

    【世界のニューノーマル最前線・NY】自覚なし!実は新型コロナに感染していた

  2. NOV 18TH, 2020BY 青山沙羅

    ライフスタイル

    【世界のニューノーマル最前線・NY】新型コロナウイルス抗体は永遠ではない!?

  3. NOV 18TH, 2020BY 佐藤 恭央

    ライフスタイル

    【ホンダCT125ハンターカブ】混雑嫌いも飛びついた注目通勤モビリティとは?

  4. NOV 18TH, 2020BY ノーヴィス編集部

    グルメ > おでかけグルメ

    【Go To Eat予約終了】各サイト受付状況速報&プレミアム付き食事券情報も

  5. NOV 19TH, 2020BY 北川菜々子

    ライフスタイル

    【世界のニューノーマル最前線・パリ】都会脱出で田舎暮らしが新常識になる?

  6. NOV 19TH, 2020BY まいてっと

    グルメ

    【東京・新デリバリーサービス】「Wolt」で楽しむ安い&可愛い宅配飯!限定食も

  7. NOV 19TH, 2020BY フレッチャー 愛

    ライフスタイル

    【世界のニューノーマル最前線・UK】意外と快適!? 2度目のロックダウン

  8. NOV 19TH, 2020BY sweetsholic

    ライフスタイル

    【世界のニューノーマル最前線・南仏】オンライン飲み会アペロスカイプとは?

  9. NOV 20TH, 2020BY 倉田直子

    ライフスタイル

    【世界のニューノーマル最前線オランダ】普遍化した非接触・キャッシュレス化

  10. NOV 20TH, 2020BY Mayumi.W

    グルメ > お取り寄せ

    正月に間に合う!材料&レシピ宅配「ちゃんとOisixおせち」が予約開始です

関連するカテゴリー