POSTED BY 倉田直子掲載日 NOV 20TH, 2020

【世界のニューノーマル最前線オランダ】普遍化した非接触・キャッシュレス化

はじめまして。オランダ在住ライターの倉田直子です。2020年の新型コロナウイルス感染拡大により、ここオランダでも飲食店が大打撃を受けてしまっています。それでもさまざまな工夫を重ね、なんとか安全な営業をしようと努力をしているのです。そんな中で浸透してきた、オランダの飲食店のニューノーマルなコトにクローズアップしてお話したいと思います。

オランダのロックダウン経緯と外食事情

オランダでは、2020年3月15日の夜に突然、即日開始でロックダウンが宣言されました。ロックダウンの期間は飲食店のイートイン営業は禁止となり、デリバリーや持ち帰りでのみの販売に。また、少し時間をおいた2020年6月1日からは、店内の人数制限や手指の消毒、座席間のソーシャルディスタンスなどの徹底化を条件とし、ようやくイートイン営業の再開が許可されたのでした。

他人との接触を減らすメニュー

安全なイートイン営業のためには、お店のスタッフと来店者の接触を極力減らすことが重要です。そのため、いくつかのお店では「メニューのペーパーレス化」が始められました。

入店時にQRコードが印刷された予約表を受け取り、これをスマートフォンで読み取ります。そうすると、自身のスマートフォン上でメニューが閲覧できるので、従来のように同じメニューを他人と共有して使い回すようなことにはなりません。これは便利なだけでなく、人との接触を減らせて安心できますよね。（ただし、すべての飲食店で導入されているわけではありません）

とはいえ、スマートフォンを持っていない人には不便なシステムかもしれません。お年寄りやQRコードの扱いに不慣れな人も戸惑うかもしれませんよね。

非接触型の支払い方法もさらに浸透

オランダでは、コロナ禍以前から既にキャッシュレス化が進んでいました。銀行のキャッシュカードと一体化したデビットカードが普及していたので、現金を持たずデビットカードのみを持ち歩く人も珍しくありません。そのため、決済はデビットカードまたはクレジットカードのみという店舗（飲食店に限らず）も少なくないのです。

そのような背景に加え、「現金がウイルスを媒介することもある」という報道がなされると、キャッシュレス化がさらに推奨されるようになりました。多くの飲食店やスーパーマーケットなどが、「カードまたはモバイル決済でお願いします」という案内を掲げています。

入店時の記帳もニューノーマルに

また、飲食店利用者は、お店に連絡先を残すことも推奨されるようになりました。店舗スタッフや、同じ日にお店を利用した人のなかに新型コロナウイルス感染症の陽性反応者がいた場合、ほかの接触者などに連絡を取りやすくするためです。

上の写真のテーブル上には、デビットカード読み取り機と入店者の連絡先記入カードが置かれています。コロナ禍以前にはなかった習慣ですが、オランダ人がその変化を粛々と受け入れている様子はどこか感慨深いものがあります。

再ロックダウンで外食はどうなるか？

このように、2020年の夏はニューノーマルな生活習慣を受け入れながら外食を満喫できたオランダ人。しかし、秋になると再び感染者が増加し、残念ながら2020年10月14日の夜より再度イートイン営業が禁止となってしまいました（前回と同様にデリバリーと持ち帰りはOK）。

この記事執筆時（2020年11月中旬）には、まだイートイン営業再開の目途はたっていません。2020年12月中旬に再検討されると政府がアナウンスしているので、今はじっと我慢して待つのみ。年末にはオランダ人の冬の最大の楽しみであるクリスマスが控えているので、なんとかこの困難を乗り越えて、家族や友人と再び外食を楽しめる状況になっていることを願っています。

※記事の内容は、2020年11月現在の情勢を反映しています

[All Photos by Naoko Kurata]