POSTED BY 北 秀昭掲載日 AUG 18TH, 2021
佐川急便が7200台の軽自動車をEVに!IT流の生産方式で物流業界に激震か
国内の物流大手・佐川急便が、軽自動車の配達車7,200台を2030年までに電気自動車(EV)へ移行することを発表しました。公開された電動仕様の軽自動車は、2020年6月に設立された日本のベンチャー企業「ASF」が佐川急便の共同で手掛けたものです。既存の自動車メーカーには馴染みのない、iPhonでおなじみ・米国のアップルも採用の生産方式「ファブレス」を導入しているのが大きな特徴とされています。今、物流業界に激震が走っているのです。
目次
クロネコヤマトや日本郵政に続き「佐川急便」も電気自動車(EV)化へ
佐川急便は、全国で展開している配達用の軽自動車7,200台を、2030年までに電気自動車(EV)へ移行すると発表しました。物流・宅配のライバル社である ヤマト運輸や日本郵政は、すでにデリバリー車として電気自動車(EV)を導入しています。
環境先進国であるヨーロッパの各国は、地球温暖化を阻止するため、CO2の排出のない電気自動車(EV)の普及を積極的に進めています。これに伴い、日本でも「2050年を目標に、国内の温暖化ガス排出を実質ゼロにする」と表明。この動きは「カーボンニュートラル」と言われ、国内でも知られるようになりました。
今、世界全体がカーボンニュートラル=脱炭素に向け、動き出しています。当然、日本の自動車メーカーや関連会社も、これを無視するわけにはいきません。そのようななか、佐川急便もヤマト運輸や日本郵政に続き、世界基準であるカーボンニュートラルの推進に向けて動き出したというわけです。このことで佐川急便は、グループ全体の二酸化炭素排出量を1割削減できるとしています。
宅配用の軽自動車&女性ドライバーの需要がますます増加
佐川急便が導入するのが、写真の電気自動車(EV)です。佐川急便の場合、トラックでの配達は、基本的に企業などの法人を対象とした大口の顧客が対象としています。一方、個人などのいわゆる小口が対象の「宅配」には、小回りが効いて燃費の良い軽自動車が多く使用されています。
ちなみに、佐川急便のドライバーといえば・・・
・配達を終えトラックに戻る時も走って戻る驚異的な体力
・プロレスラー並のマッチョで屈強な漢(おとこ)
・ほとんどのドライバーは中途半端な格闘家よりも強い(はず)
というふうに、「僕には絶対に無理」などとリスペクトの意を含め揶揄されることがありますよね。しかしこれも今や昔のお話です。
軽自動車を利用した佐川急便の宅配では、現在、女性ドライバーも多数活躍しています。「自宅に配達に来てくれるのが女性なので安心」、「マッチョな男性よりも親しみを感じる」などと、とても好評なのだそうです。
これらのことからも宅配業務においても、女性の需要増と活躍の場がますます増えると見ても間違いないのではないでしょうか。
佐川急便が導入する電動自動車(EV)の特徴とは
軽自動車の規格は、全長3,400mm以下、全幅1,480mm以下、全高2,000mm以下、排気量660㏄以下とされています。
佐川急便が導入予定としている電気自動車(EV)のボディは、全長3,395mm、全幅1,475mm、全高1,950mm。つまり、上記の軽自動車のサイズ内で設計されています。タイヤサイズは145幅の12インチに設定。ボディもタイヤも、日本の狭い路地などでもスムーズに走れる、コンパクトで機動性の良いものとされているのです。
乗車定員は運転席・助手席のみの2名。最高速度は100km/h。満充電時の航続距離は200km以上。最大積載量は350kgです。
すべてが新設計となる軽自動車規格のこの電気自動車(EV)は、開発にあたり、実際に現場で配達している佐川急便のドライバーたちにアンケートを実施し、生の声が反映されているそうです。作業のしやすさや疲労感の少ない荷台位置、台車の収納位置、運転席の快適性、ナビゲーションなどの運転席周りの操作性などが、とことん重視されているのです。
その他仕様
写真の電気自動車(EV)には、下の最新装備も採用し、今どきの最新モデルと同様、安全性、利便性、作業効率性が確保されています。
- 衝突被害軽減ブレーキ
- 後退時被害軽減ブレーキ
- バックソナー
- バックアイカメラ
- 自走事故防止装置
- ドライブレコーダー
- 運行データ
- 車両データクラウド管理
- ウェアラブル端末による健康管理
- タブレットナビ
- 太陽光発電パネル
- 台車収納スペース
生産体制は中国の“IT系のしくみ”を導入
佐川急便が導入する電気自動車(EV)のもう一つの注目点といえば、日本の大手自動車メーカー製でないところです。
これまで佐川急便を含めた物流・宅配業界では、日本の自動車メーカー(例えばトラックならば日野自動車やいすゞ自動車など)と提携し、車両を導入するのが一般的でした。
しかし、今回の電気自動車(EV)を佐川急便と共同開発したのは、ASF株式会社(以下ASF)という、2020年6月に設立された日本のベンチャー企業です。
ASFは、電気自動車(EV)の普及と促進を目指して設立された新進メーカー。同社の大きな特徴は、既存の自動車メーカーとは異なり、自社の生産工場を一切持たないこと。設計はASFで行い、生産は中国・広西に本拠地を置く広西汽車集団傘下の「柳州五菱汽車」で行われます。
「ファブレス方式」は宅配業界にとっての新たな挑戦か?
自社工場を持たず中国などで生産するメーカーは、「ファブレスメーカー」と呼ばれ、iPhoneでおなじみのアップル社(本社はアメリカ)、国内の大手ゲームメーカーである任天堂(本社は日本)などが、このシステムを導入しています。
ファブレス方式は、IT業界やゲーム業界などでは定番の生産システムですが、電気自動車(EV)の分野ではまだまだ手探りの状態。
今回、佐川急便が発表した、軽自動車の大幅な電動自動車(EV)への転換は、カーボンニュートラルの貢献と同時に、ファブレス方式を駆使した、宅配業界としての新たな挑戦とも言えます。コロナ禍以降、宅配の需要や重要度はますます高まっています。佐川急便の電動自動車(EV)と同様、今後の宅配事情の転換や発展には目が離せないところです。
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北秀昭 | |
神戸~東京築地~横浜~兵庫姫路~大阪京橋育ち。瓦敷き職人助手、空手師範代助手、ダスキ〇のお掃除部隊等に従事しながら高校・大学を卒業後、旅行グルメの編プロを経て、車やバイクに特化した出版社に勤務。バイク専門サイト「4ミニ.net」運営。 https://4-mini.net/ |
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