POSTED BY オオモト ユウ掲載日 MAY 7TH, 2022

入門用のセット竿で楽しむ小サバ狙いのサビキ釣り【魚別釣り方指南vol.10】

携行性に優れた竿と糸付きのリールがセットになり、主に釣り未経験者の入門用として販売されているコンパクトロッドセット。そのセットを使用して狙えるターゲットやその釣り方を紹介していこう。今回のターゲットは世界中で食用魚として定着しているサバ。5月頃は15cmほどの小型が堤防周りに群れで接岸し、撒いたエサに群がって初心者でもたくさん釣れて楽しめる。小型ではあるものの、鋭く強い引きで竿を絞り込まれれば思わず興奮してしまうはず。誰でも簡単に、飽きずに楽しめるので、ぜひチャレンジしてみよう!

目次

釣りに行く前に覚えておきたい小サバの基本情報

一般的に「サバ」と総称されるが、日本近海には「マサバ」「ゴマサバ」の2種類が生息している。前者は東北や日本海沿岸など比較的水温が低い海域に、後者は関東以南の温暖な海域を広く回遊するなど、その習性には多少の違いが有る。今回取り上げる「小サバ」も地域によって種が異なるので、釣れた個体をよく観察してみるとおもしろい。

ちなみに、本記事のトップに掲載している魚体写真は「ゴマサバ」。成長すると腹側に明確化する黒い斑紋が「ゴマ」のように見えることがその名の由来で、基本的に「マサバ」にはこの模様は見られない。小型は腹の模様が薄いこともあるが、胸ビレから尾ビレにかけて黒い斑紋が続いていればおおむね「ゴマサバ」と思ってよい。なお、ノルウェーなどから輸入されている「タイセイヨウサバ」は日本近海には生息しない。

成魚は50cm近くまで育つが、初夏〜梅雨時期に堤防周りで釣れるのは15cm級が中心。アミエビなどのエサを撒くと水面が真っ黒になるほど群がり、他の魚を狙う釣り人からは嫌われている。盛夏になると成長して沖に出るのか、堤防や磯周りから姿を消す。誰でも数多く釣れる時期は限られているので、早めのお出かけをおすすめする。

小サバを釣るならこんな場所!

サバは「回遊魚」とも呼ばれ、小魚やプランクトンを追って常に移動している。これは小型も同様だが、小さな漁港内や湾になった場所に入り込みやすい点で成魚とはやや異なる。

堤防や漁港周りで最もおすすめなのは、潮の流れに富む先端周り。出入りする群れを足止めすれば、短時間で数釣りが楽しめる。ただし、先端周りは人気が高いので、混雑しているようならある程度スペースが取れる場所まで移動したほうがよい。小サバは奥まった場所まで回遊することも多く、エサを撒き続ければ群れが寄ってくる。水深は深いに越したことはないが、2〜3mの浅場でも問題なく回遊する。

これを揃えればあとは釣るだけ!必要な道具・仕掛け

使用する竿とリールはもちろん「コンパクトロッドセット」。道糸はナイロンの2〜3号が巻いてあれば十分だが、透明なものよりも黄色やピンクに着色されたもののほうが、糸筋が見やすく釣りやすい。

仕掛けは「サビキ」と呼ばれる専用品を使う。この仕掛けには5〜10本のハリが付いており、それを覆うように「バケ」と呼ばれる疑似餌が装着されている。「バケ」には薄いゴムや魚皮などいくつか種類があるが、小サバ相手ならそれほど釣果に差は出ない。

小サバ狙いに使うなら、ハリが4〜6号で全長が1m前後の商品を選ぶのがおすすめ。寄せエサを詰めるカゴとオモリが装着されているものを選べば、それだけで釣りが楽しめて便利だ。

サビキ仕掛けにはエサの代わりとなる「バケ」が装着されているので、ハリに付けるエサは不要。寄せエサに使うアミエビを2〜3kg分用意すれば、4〜5時間は楽しめる。アミエビはブロック状に冷凍されたものを解凍し、仕掛けに装着したカゴに入れて使うのが一般的。その際、滲み出る水分を切るためのザルを用意すると、水分が飛び散らず便利だ。

また、パック詰めされて常温保存が可能な寄せエサ用のアミエビも入門者にはおすすめ。冷凍品よりも割高にはなるものの、解凍の手間がかからず、短時間でも楽しめるのはありがたい。

釣り方の一連と覚えておきたいこの釣りの注意点

釣り方は、カゴの中に寄せエサを詰めてそっと海中に落とすだけ。仕掛け全体が海中に入ったら、竿先を上下させながら仕掛けを動かしてやる。こうすることで水流を受けた寄せエサがこぼれ出て、そのエサに反応した小サバが集まってくる。

小サバが掛かると竿先が「ブルルルルッ!」と勢いよく揺れるが、このタイミングでは上げずにもう1〜2尾掛かるのを待ってみよう。1度の投入で2尾、3尾と数を稼ぐことが、短時間で釣果を伸ばすコツだ。

サバは鮮度落ちが早く、昔から「生き腐れ」などとも称されるほど保管に気を使う必要がある。釣れた小サバは氷でキンキンに冷やした海水に入れ、小サバの体温を急激に下げてやるのがおいしく食べるポイント。バケツに汲んだ海水に入れたままの常温保存は、鮮度保持の意味では最悪なので、クーラーボックスと氷はあらかじめ用意して出かけよう。

この時期の小サバは脂が少なく、旨味も弱いので唐揚げやフライなどにして食べるのがベター。香ばしく揚がった身はビールとの相性もよく、酒の肴にはうってつけだ。

最後に、サビキ釣りで使うアミエビは炎天下に放置すると強烈な腐敗臭を放つ。釣りを終えたらこぼれたコマセを必ず洗い流し、仕掛けや食料のゴミなども必ず持ち帰って釣り場の美化を徹底してほしい。こういったマナーが徹底されず、釣りが禁止されるケースが各地で相次いでいるので、厳守をお願いしたい。

>>>「魚別釣り方指南」のバックナンバーはこちら

オオモトユウ
編集者/ライター/フォトグラファー

スポーツウエアメーカー勤務、雑誌編集などを経てフリーライターに。好きなことを仕事に選び続けた結果、周囲からは「ラクをして生きている」と思われているのが悩み。四国、北海道については愛車で単独周遊済みなので、九州に照準を定めている。旅先での酒場巡りとノルウェー旅行の再開に思いを募らせる日々。

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