“お菓子の自販機にマスク”の違和感

まだ自由に身動きがとれた2020年9月。南仏の自宅近くにあるショッピングモールへ足を運ぶと、入り口の自販機にお菓子に混じって、マスクや消毒液が販売されているのを発見！　地下鉄の駅構内でも、マスクや消毒液を扱う自販機を見かけるようになりました。

メジャーな都市では、9月より外出の際のマスク着用が義務化に。全土では屋内や職場などでも義務化されたこともあり、マスクを忘れたときに備え、自販機でも扱うようになったのでしょう。ヨーロッパでは長い間、“マスク＝医療従事者のもの”と考えられていたこともあり、マスクのある生活には不慣れなのです。

南仏のみなさんに聞いてみました

南仏のみなさんは、マスク着用義務についてどう思っているの？　リアルな声を聞いてみることにしましょう。

Dさん（30代男性／会社員）

マスクに慣れていないので、勤務中にずっとマスクを着用していなければならないのは、正直なところ不快です。一方で、感染を最小限に抑えるためには必要であるとも思います。僕はスーパーに勤めているのですが、2020年春のロックダウン時には、店内でのマスク着用義務はありませんでした。

店員もお客さんもマスクをしている人はほとんどいなかったから、常にウイルスの脅威にさらされている状況がとても怖かった。春先にはマスクが品薄だったし、医療従事者のために残しておくべきだという意見も多かったですしね。

現在は政府により屋内でのマスク着用が義務化されているので、1回目の春のロックダウン中よりは精神的にラクですね。

Aさん（40代女性／会社員）

今のフランスの状況を考えると、密な場所でのマスク着用は避けられません。ただ、使い捨てのマスクはとても環境に悪いですよね。買い物など、短時間の外出時には布のマスクを着けているのだけれど、息苦しくなるので、何時間もできません。なので、勤務中は使い捨てマスクを着用しています。

私の場合は使い捨てのものだと肌荒れしてしまうので、政府による義務化でなければ、マスクは着けないでしょうね。現に、1回目のロックダウンのときはマスクを着けなかったし。

Pさん（50代男性／ワインショップ店長）

拡大感染を防ぐには仕方のないことだと思いますが、マスクのある日常、いつまで続くのでしょうか···。コロナ禍以前は親しいお客さんにはビズ（頬に軽くキスをする、フレンチスタイルの挨拶）をしていたのに、今ではそれもできないし、マスクのせいでお客さんの表情を読み取るのが難しい。とても残念です。

今回ヒアリングした、40代女性の「政府による義務化、そして罰金が課せられないと、フランス人はマスクを着用しないでしょうね。同じヨーロッパでも、私たちはドイツ人やイギリス人のように規律を守る国民性ではないですから」という意見が印象的でした。

拡大感染を防ぐというのが大前提ではあるものの、「義務だから仕方ない」というのも自由を大切にするフランス人の本音なのでしょう。

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	sweetsholic ライター／パティシエ／ときどき通訳
	海外を放浪しながら気ままな人生を謳歌しているフリーライター、パティシエ。現在の居住地は南フランス。海外のライフスタイルや、各国で学んだお料理などをみなさまと共有できればと思っています。 世界の文化とスイーツ、地中海料理、マレーシアが大好き。 著者のプロフィールを詳しく見る

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