もう同じ昨日には戻れない

新型コロナウイルスの世界的感染拡大により、私たちの日常は大きく変わりました。クオモNY州知事が2020年4月に行った会見で、私たちは今までの日常とは異なる「ニューノーマル」の必要性に気付かされたのです。

When will we return to normal? I don’t think we return to normal. I don’t think we return to yesterday, where we were. I think if we’re smart, we achieve a new normal.

いつ、日常に戻れるかって？
もう、今までの日常に戻れるとは思わないよ。
同じ昨日には、戻れないだろう。
私たちが現状から学んで、これから新しい日常を生み出すんだ。

2020年4月8日　クオモNY州知事のスピーチから　意訳：青山沙羅

Video, Audio, Photos & Rush Transcript: Amid Ongoing COVID-19 Pandemic, Governor Cuomo Directs Flags to be Flown at Half-Mast in Honor of Those We Have Lost to COVID-19-New York State
https://www.governor.ny.gov/news/video-audio-photos-rush-transcript-amid-ongoing-covid-19-pandemic-governor-cuomo-directs-flags

コロナ禍以降「人生がどのように変わったか」教えてください

世界最多の感染者を抱える国アメリカで、コロナ禍が始まってから8カ月が経ちました。その中で「人生がどう変わったか」、「どう感じているのか」、ニューヨーカーに本音を語ってもらうことにしました。今回は、韓国系アメリカ人、西欧（ヨーロッパ）人、日本人の3名です。

ニューヨーカーA＜韓国系アメリカ人 30代女性／ライター＞

ライターとして活躍、著書を出版されている彼女は、幼稚園児の男の子とご主人の3人家族。マンハッタン在住。

会えないことで、相手を思いやる気持ちが強まった

新型コロナウイルスの大流行により、それまでと比べて友人や家族に会いにくくなりました。感染がピークの時には、ケアパッケージ（相手を思って食品や日用品を詰めた小包）を送ったり、フェイスタイム（iPhoneやiPadのビデオ通話装置)で連絡をとりあいました。

非常事態の不便さの中でも、工夫を凝らして気持ちを伝えようとしたことは、コロナ禍以前は思いつかなかったことです。

困難な状況でも、創造性と遊び心を失わないレストランに感激

コロナ禍の困難な時代に希望を持ち続ける、レストランやカフェのクリエイティブなダイニングスペースに感銘を受けています。店内には定員の25％しか収容できないため、屋外（歩道や通路など）にも人々が魅力を感じる空間をつくりあげていました。この創造性こそ、ニューヨークの本質だと感じますね。

アジア系に対するヘイトクライムが怖い。でも隠れるのは私らしくない

アジア系に対するヘイトクライムの増加により、不安を感じています（現大統領の「チャイナウイルス」などの発言で偏見がある一部の人を煽り、アジア系に対するヘイトクライムが起きている）。でも、ビクビクしたり、嫌われるのを怖がるのは私の生き方ではないので、隠れたりせず外へ出るつもりです。

■参照記事
ＮＹで暴行され重傷の日本人ピアニスト、手術受け回復中　-　CNN CO JP 2020年10月12日
https://www.cnn.co.jp/usa/35160789.html
アジア系差別やめてっ！　-　週間NY生活　 2020年11月12日
https://www.nyseikatsu.com/covid-19/11/2020/31055/

ハンドサニタイザーの使いすぎに注意！

手の皮膚にトラブル発生。皮膚科に行ったら、多くの人が同様にハンドサニタイザーの使い過ぎによるトラブルに悩んでいることが判明。ハンドサニタイザーの使いすぎに注意、ハンドクリームやローションで保護することを忘れずに。

ニューヨーカーB＜西欧（ヨーロッパ）人 30代女性／イラストレーター＞

マルチリンガル（複数言語を話せる）の美人イラストレーター。独身。マンハッタン在住。

交通手段を変更。地下鉄にはもう乗らなくなった

他人と乗り合わせる地下鉄には、もう乗らなくなりました。交通手段として利用しているのは、便利で快適なシティバイク（Citi Bike　貸し自転車）です。エクササイズにもなるので、地下鉄よりも健康的。コロナ禍以前よりも健康に気を遣うようになり、毎朝のストレッチとジョギングが習慣になりました。

減収によるやりくりに四苦八苦

イラストを描く時間や趣味に費やす時間は増えましたが、減収のため、やりくりに四苦八苦。一番頭の痛い問題です。

ニューヨーカーC＜日本人 30代女性／ヘアスタイリスト＞

西日本出身のヘアスタイリスト。独身。ニューヨーク市クイーンズ区在住。

マスク生活で、メイクアップはしなくなった

仕事中もマスクをする生活なので、メイクアップはしなくなりました。とはいえ接客業なので、アイメイクだけはします。マスクを長時間つけているためか、顔に吹き出物ができるのが悩み。

ニューヨーク市の治安悪化に不安

地下鉄内に物乞いに来るホームレスが攻撃的で、しつこくなり、治安が悪くなりました。特にダウンタウン方向は人が少なくなった（ニューヨーク市内から富裕層の人口流出）せいもあり、治安に不安があります。

トイレを利用させてくれないレストランやカフェ

利用客による感染および客席の長居防止のため、トイレを利用させてくれないレストランやカフェが多く、外出時に困ります。

ニューノーマルに向かい合うニューヨーカーたち

新型コロナウイルスの感染激震地とも言われたほど爆発的に広がったニューヨークでは、ニューヨーカーの感染予防意識は高く、マスク着用率はほぼ100％。2020年7月には、ニューヨーク州での陽性率は約1％の低水準になるほど、予防に努めました。（2020年11月末現在　陽性率は約3％）

減収や治安悪化の不安と闘いながらも、人との絆を大切にし、健康のありがたさを再認識する日々。便利さゆえに失ってしまった多くのものや感情を、制限のある生活で取り戻している気配も感じます。

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	青山沙羅 アオヤマサラ／ライター
	はじめて訪れた瞬間から、NYにひと目惚れ。恋い焦がれた末、幾年月を経て、2009年ついに上陸。 旅の重要ポイントは、その土地の安くておいしいものを食すこと。 特技は、早寝早起き早メシ。人生のモットーは、「やられたら、やり返せ」。 プロ・フォトグラファーの夫とNYでふたり暮らし。共同著書『いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日（PIE International、2020年3月）』。 著者のプロフィールを詳しく見る

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