POSTED BY 倉田直子掲載日 DEC 6TH, 2020

【世界のニューノーマル最前線オランダ】2021新年のお祝い花火は禁止に!

こんにちは。オランダ在住ライターの倉田直子です。コロナ禍が発生してから数か月、オランダでもさまざまな新ルールが誕生してきました。その新ルールは、おめでたい年末年始の過ごし方にも影響を与え、楽しみ方にも変化を及ぼしています。今回は、その「年末年始の新ルール」に関してお話したいと思います。

目次

大晦日は例年、花火が炸裂!

大晦日は、花火で盛り上がる(画像はイメージです)

オランダでは例年、大晦日の夜は街のそこかしこで花火がパンパンと打ち上げられています。実はオランダには厳しい花火規制があり、子どもでも扱えるような花火(手持ち花火など)以外は普段は使用を禁じられています。

けれど、それが大晦日の午後6時から元旦午前2時までは解禁になるので、大晦日はちょっぴりフライング気味な夕方頃から人々は花火に点火し始めるのです。

こちらからオランダの大晦日の様子がご覧になれます。
2016 HELEMAAL GESTOORD vuurwerk
https://www.youtube.com/watch?v=5-1IgewKMKo

ちなみに、通常の花火規制は販売側にもあります。前述の子どもでも扱えるような花火(カテゴリー1)は通年販売できますが、それ以上のもの(カテゴリー2以上)は、年末の3日間(12月29日から31日)しか販売できません。とても厳しいですね。
※年末の3日間に日曜日が含まれる場合は、日曜日は販売を禁止し、その代わり28日が販売日に当てられる。

2020-21の年越しは花火禁止

花火による急患は、コロナ禍の医療従事者にとって負担に(画像はイメージです)

それがなんと、このコロナ禍のせいで2020年から21年にかけての年越しは、花火禁止とオランダ政府が発表したのです。花火打ち上げのために人々が「密」になるのを防ぎたいのはもちろんですが、もっと意外なところに理由がありました。それはなんと、医療機関の保護のため。

実は例年、慣れない花火を取り扱ったために怪我や火傷を負った人々が、大晦日に大量に医療機関に運び込まれてくるのです。オランダ政府の発表によると、2019年から20年にかけての年越しの際には国内で1,300人もの人々が負傷したのだそう。コロナ危機でただでさえ数が不足気味の病床と、疲弊している医療従事者を保護するために、オランダ政府は「年越し花火禁止」に踏み切ったのです。

それに伴い、年末3日間の花火の販売も禁止されます。ただし、前述の「カテゴリー1」に属する小規模な花火は、引き続き販売も使用も許可されています。それがせめてもの慰めでしょうか?

それでも、例年のカテゴリー2以上の花火の売り上げが利益の大部分を占めるという販売店もあり、それをどのように補償するのかという問題は残っています。オランダ政府には、ぜひその点も考慮して欲しいものです。

年越し花火がなくて安心するのは誰?

花火の音と光は、動物たちにとってはストレス(画像はイメージです)

「年越し花火禁止」を受けて安心しているのは、オランダの医療関係者だけではありません。実は、ペットのいる家庭や動物愛護団体からも安堵の声が出ています。

住宅街などで夕方から始まる花火の破裂音と光の炸裂はすさまじく、事情を理解できないペットたちは例年ひどくおびえてしまうのです。猫愛好家のホームページには、大晦日に、いかに猫のパニックを抑えるかといったアドバイスも書かれたりしています。

また、パニックになるのは飼われているペットばかりではありません。「オランダ鳥類保護の会」(Vogelbescherming Nederland)によると、花火の音と光に驚いた野鳥たちが夜間に暴れまわり、寒い冬を越すためのエネルギーを使い果たしてしまう危険性もあるのだとか。
2020年の大晦日は、動物たちは心穏やかに過ごせそうですね。

この「年越し花火禁止」は、ひとまず2020年から21年にかけてのみ発令されています。翌年以降にも持ち越されるかどうかは、新型コロナウイルス感染症の状況次第。恒常的な「ニューノーマル」になるかどうかを、見守っていきたいと思います。

[All Photos by Shutterstock.com]
[Vuurwerkverbod tijdens Oud en Nieuw 2020-2021]
[In welke periode mag ik vuurwerk afsteken?]
[Zonder knallen 2021 in: je huisdier zal blij zijn]


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倉田直子
クラタナオコ/ライター/タイニーハウス・ウォッチャー

2004年にライターとしてデビュー。北アフリカのリビア、イギリスのスコットランドでの生活を経て、2015年よりオランダ在住。主にオランダの文化・教育・子育て事情、タイニーハウスを中心とした建築関係について執筆している。著書「日本人家族が体験した、オランダの小学校での2年間」(https://www.amazon.co.jp/dp/B0758JCDTM/)

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