POSTED BY 青山沙羅掲載日 DEC 19TH, 2020
【世界のニューノーマル最前線・NY】コロナ禍でもウィンドウの灯りは消さない
アメリカ合衆国ニューヨーク在住のフリーランスライター青山沙羅が、現地のニューノーマルな生活をルポする当連載。
2020年コロナ禍でのクリスマス。それでもニューヨークのホリデーウィンドウは、新型コロナウイルスに負けず、明るく輝いています。
目次
コロナ禍だってクリスマスはやってくる
気がつけば、2020年は終わろうとしています。例年なら年末年始は最も華やかなシーズンですが、2020年はコロナ禍による感染拡大防止のため、世界的にイベントは中止あるいはバーチャル開催になりました。
多くのファッションブランドやデパートがロックダウンにより営業できず、高額な賃貸料が嵩んで、経営破綻。そのため、年末の五番街を彩るデパートのホリデーウィンドウは、今年は行われないのではないかという心配がありました。最もゴージャスな年末のニューヨークに、2020年は灯りが消えてしまうのではないかと。
コロナ禍でも、ウィンドウの灯りは消さない
失業や減収、将来への不安がニューヨーカーの心に影を落とす中、ブルーミングデールズ・デパート(Bloomingdale’s)の経営トップは、「困難な年だからこそ、ウィンドウの灯りを消してはいけない」と決めました。最高級デパート、バーグドーフグッドマン(Bergdorf Goodman)のファッションディレクターも、「コロナ禍の2020年だから、今まで通りに行う必要性がある」と賛同したそうです。
ブルーミングデールズ・デパート(Bloomingdale’s)の2020年ホリデーウィンドウのテーマは"Give Happy"、幸福感を感じる華やかな色合いのウィンドウになりました。
ホリデーウィンドウはニューヨーカーにとって、来る年を迎えるための希望の灯りでもあります。
■参照記事
Holiday Windows Aren’t Over. Neither, They Say, Is New York. - The New York Times 2020年11月25日
経営難に苦しむメイシーズ・デパートのホリデーウィンドウは
アメリカのメイシーズ・デパートは、コロナ禍以前から業績が悪化しており、リストラや店舗の閉鎖で、なんとか生き残ろうとしていました。独立記念日の花火やサンクスギビングパレードはメイシーズが主催しているのですから、メイシーズが閉鎖すると、ニューヨークの名物イベントもともに消えてしまいます。
コロナ禍前は、開店時間にスタッフ全員が店内で列になって拍手で出迎え、買い物客に喜んでもらおうと、歌ったり踊ったりするのを見かけました。涙ぐましい地道な努力を感じ、メイシーズには生き残って欲しいと願ったものです。
■参照記事
Macy’s to Shut 125 Stores to Survive in New Retail Era - Bloomberg 2020年2月4日
2020年のテーマは、”Give, Love, Believe”
メイシーズ・デパートのウィンドウにも、灯りがともりました。2020年のテーマは、"Give, Love, Believe"。例年は「34丁目の奇跡」(34丁目店のメイシーズが舞台)や、スヌーピーなど子ども向けのディスプレイが多かったのですが、2020年はちょっと違っています。
ニューヨーカーへの感謝状 16カ国語の「ありがとう」
メイシーズ・デパートのウィンドウは、「コロナ禍に活躍してくれた、救急隊員や警察官、消防士などのファーストレスポンダー(緊急事態に真っ先に対応する人)、医療関係者などエッセンシャルワーカー、人種差別撤廃を訴え平等のために行進した人たち、そしてすべてのニューヨーカーへの感謝状」を表現しているそうです。
ウィンドウを覗くと、NYCのアイコン・エンパイアステートビルディングの背後に花火が上がり、皆からは拍手が湧き上がり、16カ国語のありがとうが溢れています。コロナ禍で自粛続きの2020年を我慢したニューヨーカーにもありがとう、そしてよく頑張りました。日本語の「ありがとう」も左下に見えますよ。
年末に見上げる「信じる」の文字
メイシーズ・デパートは、筆者が10年間ほぼ毎日、横を通って仕事や学校へ通った場所。ホリデーシーズンに建物に掲げられる、"Believe(信じる) "の文字が大好きでした。年末に"Believe "の 文字を見上げると、「生きていく上でいろいろなことがあっても、信じる気持ちがある限りなんとかなる」と、いつも思ったものです。
信じる気持ちが世界に魔法をかける
来る年に願う「新しい年が希望に満ちた、良い年でありますように」は、私たちが明日を信じているから。
2021年へ希望をつなぐ
ワクチンが開発されても、まだ経済不安や治安悪化など先行きの不安はあります。それでも明日を「信じる」希望があり、「ありがとう」と感謝する気持ちがあれば、再興の道へつながると信じています。
[All Photos by Hideyuki Tatebayashi ] Do not use images without permission.
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青山沙羅 | |
はじめて訪れた瞬間から、NYにひと目惚れ。恋い焦がれた末、幾年月を経て、2009年ついに上陸。 旅の重要ポイントは、その土地の安くておいしいものを食すこと。 特技は、早寝早起き早メシ。人生のモットーは、「やられたら、やり返せ」。 プロ・フォトグラファーの夫とNYでふたり暮らし。共同著書『いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日(PIE International、2020年3月)』。 |
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