2021年7月31日より、ワクチン接種者に100ドル支給実施

2021年7月28日、デブラシオNY市長は「2021年7月31日よりワクチン接種者には100ドルを支給する」と発表しました。対象は「ニューヨーク市住民または職員のみ」であり、ワクチンツアーで訪れる観光客は含まれません。

ワクチン完全接種をしていない人が、4割以上いるニューヨーク

2021年8月5日時点のデータ では、NYCを含むニューヨーク州内で18歳以上の75.9％（CDC 米国疾病予防管理センターによる統計数）が新型コロナウイルスのワクチンを少なくとも1回接種しています。ただし全人口になると、ニューヨーク州内ワクチンの完全接種者（ジョンソン＆ジョンソンは１回、ファイザーとモデルナは2回）は57.4％（CDC 米国疾病予防管理センターによる統計数）。

逆にいうと、1回目及び2回目の「ワクチン接種をしていない人が全人口の4割以上」いることになります。

■参照
COVID-19 Vaccine Tracker　-　NY State Gov

あれこれとおまけを試した挙句、ついには現金を提供

ニューヨークではワクチン接種率を高めるべく、野球観戦や動物園、博物館の無料チケット、メトロカードの1週間乗り放題の無料乗車券、シェイクシャックのハンバーガーやポテトフライ、クリスピークレームのドーナッツなど、各企業と連携してワクチン接種者にサービスを提供してきました。

これらのように、あの手この手で「ワクチン接種しようかな」と思わせるような施策を打ち、さらにはテレビやインターネットでも「ワクチン接種は安全、簡単、無料。滞在資格は問いません（ニューヨーク市には不法滞在者が多い）」と連日広告を流しています。

それだけではなく、ついには最後の手段「現金100ドル（プリペイドカード）」で勝負。ワクチン接種率が低いのは、20代以下の若い人、宗教的なこだわりや決まりがある人、個人的見解がある人などのようです。100ドルという分かりやすい報酬は、未接種者の心を動かすことができるのでしょうか。

■参照
NY市　ワクチン接種の市民に“100ドル”プレゼント - テレ朝ニュース　2021/07/29 10:56
https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000223990.html

バイデン大統領も地方政府に100ドル支給の要請

2021年7月29日、バイデン米大統領は、新型コロナウイルスワクチン接種を促進するため、新たに接種する国民に100ドルを支給するよう地方政府に要請するとともに、連邦政府職員にワクチン接種の証明を義務付け、証明できない場合は定期的なコロナ検査などを要求する方針を発表しました。

■参照
バイデン氏、ワクチン接種で100ドル支給を要請　政府職員に新規則　-　ロイターJP 2021年7月29日5:56 午後

開始から4日間で8,300人以上が100ドルの報酬を獲得

2021年7月31日からワクチン接種の100ドル報酬がスタートしましたが、2021年8月3日の全米ネットワークNBCによる記事では、すでに8,300人以上に100ドルの報酬を提供済みと伝えられています。

■参照
No New Mask Order: NYC Mayor, Gov Encourage But Don't Require Universal Indoor Masking　-　NBC New York News 2021年8月2日

コロナ感染率が上がりだしたニューヨーク

お金を支給してでもワクチン接種させたいのは、デルタ株を始め変異種による感染率が上昇し始めたからです。

2021年5月6日から観光客のワクチンツアー誘致が始まり、2021年5月19日、ニューヨーク州においてワクチン接種者は「マスクの着用」及び「ソーシャル・ディスタンス」の義務が解除されています。そして、2021年6月24日には緊急事態宣言を解除。ニューヨーク市は収束へ向かったはずですが・・・。

7月から感染率がじわじわと上がりだしている

ニューヨーク市保健局のデータを見ると、2021年6月23日には7日間の平均が0.36％まで減少した感染率が、2021年7月4日の独立記念日あたりから上昇していることがわかります。アメリカ最大の祝日である独立記念日は、皆がバーベキューパーティをしたりバケーションへ出かける、最も羽目を外す時期。

2021年8月3日時点の感染率は3.27％（7日間の平均）

直近の感染率データを見ると、2021年8月3日時点の感染率は3.27％（7日間の平均）まで上昇しています。2021年6月23日時点の0.36％から、1カ月強の間で10倍まで増えていることになります。

公共交通機関内ではマスク着用必須なのに

ワクチン接種完了者の店内飲食や屋外でのマスク着用義務は解除されましたが、実際には誰がワクチン接種完了者なのかはわかりません。「地下鉄やバス内でのマスク着用は必須」と車内及び構内アナウンスも流れていますが、マスクを外している人を散見します。見ていると、ほとんどがニューヨーク州外の人のように見えます。

コロナ感染者は、ワクチン低接種率7州が半分を占める

2021年8月5日、ホワイトハウスの新型コロナウイルス対策調整官を務めるジェフ・ザイエンツ氏は、ワクチン接種率の低いフロリダ、テキサス、ミズーリ、アーカンソー、ルイジアナ、アラバマ、ミシシッピの7州が過去１週間の米国全体の新規感染者と入院者の半分を占めたと発表。

7州のなかでも、フロリダとテキサスの両州が、全米の新規感染者数及び入院者数の約3分の1を占めました。

また、米疾病対策センター（CDC）のワレンスキー所長によると、感染者数は前週比約43％、死者は39％超それぞれ増加したという心配な結果が伝えられています。

■参照
米コロナ感染者、ワクチン低接種率7州が半分占める　フロリダなど　-　ロイターJP 2021年8月5日

100ドル提供するワクチン接種場所は市内438カ所

2021年8月5日現在、100ドルが提供されるワクチン接種場所はニューヨーク市内で438カ所あります。100ドル提供（プリペイドカード）対象は「ニューヨーク市住民または職員のみ」であり、ワクチンツアーで訪れる観光客は含まれません。

最後の手段の現金提供で、頭打ちになっているニューヨークのワクチン接種率は上がるのでしょうか。

■ニューヨーク市内で100ドル（プリペイドカード）提供されるワクチン接種場所
https://vaccinefinder.nyc.gov

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	青山沙羅 アオヤマサラ／ライター
	はじめて訪れた瞬間から、NYにひと目惚れ。恋い焦がれた末、幾年月を経て、2009年ついに上陸。 旅の重要ポイントは、その土地の安くておいしいものを食すこと。 特技は、早寝早起き早メシ。人生のモットーは、「やられたら、やり返せ」。 プロ・フォトグラファーの夫とNYでふたり暮らし。共同著書『いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日（PIE International、2020年3月）』。 著者のプロフィールを詳しく見る

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