POSTED BY 青山沙羅掲載日 JAN 10TH, 2021

【世界のニューノーマル最前線・NY】ロックダウン中に入手しにくい生活必需品

2020年4月16日 NYC マンハッタン [Photo by Hideyuki Tatebayashi] Do not use images without permission.

アメリカ合衆国ニューヨーク在住のフリーランスライター青山沙羅が、現地のニューノーマルな生活をルポする当連載。
2021年1月8日から2月7日までの1カ月間、東京・神奈川・埼玉・千葉の首都圏1都3県を対象に「緊急事態宣言」が再発出されました。そこで今回は、参考までに、NYCのロックダウンにおいて手に入れにくかった生活必需品を見直してみます。

写真:2020年4月16日 NYC マンハッタン [Photo by Hideyuki Tatebayashi] Do not use images without permission.

目次

再びロックダウンの可能性も?必要な生活必需品を見直してみる

過去最多の感染者数を更新し、東京、神奈川、埼玉、千葉の首都圏1都3県を対象に、2021年1月8日から2月7日までの1カ月間「緊急事態宣言」が再発出されました。

ニューヨーク市では、2020年夏には約1%まで減少した感染率が冬になって再び上昇。2021年1月6日のNY州知事の記者会見によると、ニューヨーク市の感染率は6.39%まで上昇しています。

■参照記事
Governor Cuomo Updates New Yorkers on State's Progress During COVID-19 Pandemic - NY GOV 2021年1月6日

再びロックダウンの可能性があるNYCですが、2020年3月のロックダウン当時、入手に苦労した生活必需品を見直してみました。

2020年3月のNYCロックダウン当時のスーパーマーケットはどうだったか

NYCは2020年3月12日に非常事態宣言が発出されました。その当時のNYCの様子とは?

NYC非常事態宣言前 2020年3月11日

2020年3月11日 スーパーで買い物 NYC非常事態宣言の前日
2020年3月11日(NYC非常事態宣言の前日) NYCクイーンズ区スーパー"Aldi"での買い物(二人家族)

まずNY州が、2020年3月7日非常事態宣言を出しました。今まで生きてきた中で、日本及びアメリカでも非常事態を経験したことなどなく、一体どんなことになるのか不安になりました。モノ余りのアメリカで、商品がなくなるなど想像もつきません。

この時ニューヨーク市はまだロックダウンになっていませんでしたが、早めに食品や生活必需品は買っておいたほうが良いのではとスーパーマーケットに走りました。ドイツ人の友人から、「故国(ドイツ)のスーパーではすでに棚が空の状態」と聞いたためです。

筆者愛用のスーパーでは、NYC非常事態宣言の前日まで商品は不足することなく、レジの混み具合も日常通りで、いつものように買い物ができました。品不足になりやすいバター・チーズ、賞味期間の長いベーコン・ソーセージ、保存食のパスタ、缶詰、スナック類を購入。ロックダウンになったらどれ程の期間になるのか、想像もついていませんでした。

非常事態宣言の翌日 2020年3月13日 

2020年3月13日 NYCクイーンズ区のスーパー 非常事態宣言の翌日
2020年3月13日(非常事態宣言の翌日) NYCクイーンズ区のスーパー"Aldi"

それから2日後の非常事態宣言の翌日、同スーパーに行ってみると様子が一変していました。非常事態宣言の前日(2日前)に購入したような商品はもう店頭にはなく、商品の棚がガラガラ。非常事態宣言が出てから、皆が買い物へ殺到したようです。

2020年3月13日 NYCクイーンズ区のスーパー 非常事態宣言の翌日
2020年3月13日(非常事態宣言の翌日) NYCクイーンズ区のスーパー"Aldi"

パンの売り場なども、転がっているのは空箱ばかりで商品がありません。

他のスーパーに行ってみると、同様に商品棚はガラガラで、賞味期間の長いベーコンやハム、チーズ、保存食の缶詰、パスタ類、インスタントヌードルなどの棚は空になっており、かつて見たこともないありさまに。これから未経験のことが始まるのだと青くなりました。

多くの店が閉まった2020年3月下旬

2020年3月29日 NYCクイーンズ区 雨の中スーパーマーケットの入2020年3月29日 NYCクイーンズ区 雨の中スーパーマーケットの入店を待つ利用客店を待つ利用客
2020年3月29日 NYCクイーンズ区 雨の中 中華系スーパーマーケットの入店を待つ利用客

特に買い物が大変だったのは2020年3月下旬でした。新型コロナウイルス感染症拡大を恐れ(または感染者が出て?)、多くのミニスーパーや個人食料品店(小売店)が閉鎖してしまったのです。営業している店舗は10分の1程度になり、商品を求めて多くの人が列を成しました。

上記写真はNYCクイーンズ区にある中華系スーパーマーケットの様子。通常の正面入り口を閉じてしまい、裏から少しずつ利用客を入れていました。コロナ禍の2カ月のほどの間は、ワンブロックを一周して200人ほどの人が、雨の中でじっと待っていたことを思い出します。

ロックダウンのNYCで手に入りにくかった食料品は?

ニューヨーク市の約3カ月に及んだロックダウン(2020年3月中旬〜6月上旬)で手に入れ難かったものは、筆者の経験では下記の通りです。価格も通常より2割程度高かったのですが、コロナ禍のリスクでの営業かつ人手不足なのでやむなしとも思いました。

新鮮な野菜・果物

ロックダウン中に一番欲しかったのが、新鮮な野菜や果物。缶詰や保存食には飽きており、新鮮なビタミンを身体が要求していました。輸送トラックの人手不足で納入が間に合っていなかったようで、商品の種類が減少。また、営業しているスーパーには長蛇の列で、1時間待ちはザラ。その一方で、客の足元を見て野菜や果物に通常の2〜3倍の値段をつけたスーパーは空いていました。日頃から庭での家庭菜園や、部屋内でのプランターでミニトマトやリーフ類を育てるのも手かもしれないと思いました。

精肉・ソーセージ・ベーコン

寒い職場環境の食肉処理工場ではクラスターが起こり肉を廃棄、また、感染を恐れての人手不足などで、スーパーの売り場では、精肉・ソーセージ・ベーコンは常に売り切れていました。

ミルク・チーズ・ヨーグルトなど乳製品

オーガニック系や全乳が不足し、ローファット(低脂肪)や豆乳は残っていました。

卵や水など

保存のきかないもので、皆が欲しいもの。価格も上がっていました。

パンケーキミックス・クッキーミックス・小麦粉・粉末ゼリー・冷凍パイ皮などデザート用食材

家にいる時間が長いため、コロナ禍前までは手が回らなかったデザートに力を入れる人が増加。

トイレットペーパーなど日用消耗品はどうか

2020年8月15日 NYCクイーンズ区のスーパー
2020年8月15日 NYCクイーンズ区のスーパー"Target"

多くの人が気になるのが、トイレットペーパー、ペーパータオル、ティッシュペーパーなどの紙類。各国では品薄になっていると聞いていましたが、筆者の住むNYCクイーンズ区では、棚が空になるのを見たことはありませんでした。

エッセンシャルビジネス(生活で必須の職種)のため休みなく営業していた米系大型スーパーTargetでは、コロナ禍最中の3月や4月にもトイレットペーパーが目につく場所に山と積まれ、客がパニックにならないよう商品補充もマメに行われていました。ただし、現在に至っても「一人につき1個(1パック)まで」と制限されています。

2020年8月15日 NYCクイーンズ区のスーパー
2020年8月15日 NYCクイーンズ区のスーパー"Target"

ロックダウンのNYCで手に入りにくかった生活必需品は?

ニューヨーク市での約3カ月のロックダウン(2020年3月中旬〜6月上旬)で食料品以外で手に入れ難かった生活必需品は、筆者の経験では下記の通りです。

マスク(主に紙製の使い捨て)

アメリカでは元々医療関係者以外がマスクを着用する習慣がなく、在庫が少ないところへ求める人が殺到。2020年2月末頃にはどのドラッグストアや薬局でも、マスクは品切れ。ニーズに付け込み、2020年3月初旬には1箱20枚で150ドル(約15,500円!2021年1月8日現在換算)の高値をつける小売店も。

悪徳業者が増えたため、NYCではPPE(マスク、ハンドサニタイザー、使い捨てビニール手袋など感染を防ぐもの)に一般価格以上の値をつけてはいけないと行政命令が下りました。それでも、小売店ではないストリートでは、まだ法外な価格のマスクが売られていました。筆者はマスクの手持ちがなくなり、4月にオンライン注文しましたが、品薄で2カ月後の6月まで到着を待たされました。マスクは一時希少品となり、価格はコロナ禍以前の4〜6倍で販売されていました。

ハンドサニタイザー、ハンドソープ、石鹸

2021年1月7日 NYCクイーンズ区のスーパー”Target“ ハンドサニタイザー
2021年1月7日 NYCクイーンズ区のスーパー”Target“ 現在は豊富にあるハンドサニタイザー

また、2020年2月末頃からハンドサニタイザーやハンドソープ、石鹸がドラッグストアや薬局、スーパーですっかり姿を消し、店員に入荷を尋ねても「わからない(I have no idea)」ばかり。筆者はストックで間に合わせました。絶対必需品のため、4月頃から商品入荷が増えた記憶があります。

2021年1月現在でも手に入りにくいもの

2020年9月3日 NYCクイーンズ区のスーパー
2020年9月3日 NYCクイーンズ区のスーパー"Target"

NYCで今でも品薄なものは「住居用スプレー洗剤」。コロナ禍以前は売り場の棚の上から下まで、各メーカーのものが用途別にカラフルにそろっていたのですが、現在では選べるほど商品がなく、「一人につき1本まで」と制限されています。他にクレンザー、トイレ用洗剤などの掃除用洗剤が品薄。なぜか洗濯洗剤は豊富にあります。

品薄の理由は、リモートワークによる在宅時間の増加で室内の汚れが気になる、感染防止のため今まで以上に拭き掃除を行う、引越しの際に使用するなど、家庭および店舗での消費増大が考えられます。

2021年1月現在、英国やドイツなどでロックダウン中です。感染率が増加しているNYCも再度のロックダウンは他人事ではありません。前回の経験を踏まえ、ストックすべきものは何かを考慮しています。

All Photos by Sara Aoyama

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青山沙羅
アオヤマサラ/ライター

はじめて訪れた瞬間から、NYにひと目惚れ。恋い焦がれた末、幾年月を経て、2009年ついに上陸。 旅の重要ポイントは、その土地の安くておいしいものを食すこと。 特技は、早寝早起き早メシ。人生のモットーは、「やられたら、やり返せ」。 プロ・フォトグラファーの夫とNYでふたり暮らし。共同著書『いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日(PIE International、2020年3月)』。

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