POSTED BY 青山沙羅掲載日 NOV 18TH, 2020
【世界のニューノーマル最前線・NY】新型コロナウイルス抗体は永遠ではない!?
アメリカ合衆国ニューヨーク在住10年目のフリーランスライター青山沙羅が、現地のニューノーマルな生活をルポする当連載。前回は、新型コロナウイルスの抗体検査で「過去に感染したことがある」と判明(自覚なし)したことをお伝えしましたが、今回は、それを受けて依頼された血液(血漿)寄付の体験をルポします。
ニューヨークから血漿寄付の依頼が
前回のルポでお伝えしましたが、2020年5月と7月に新型コロナウイルスの検査を受け、2度とも「抗体持ち」という結果に。それを受けて、2020年9月末に血液(血漿)寄付依頼の手紙が届きました。
実は、筆者は日本で貧血気味と診断されたこともあり、献血の経験もありません。とはいえ、「ワクチン開発の役に立つなら!」と、張り切って予約を取りニューヨーク血液センターに向かうことにしたのです。
血液センターに到着すると、まずはパソコンで健康状態についての質問に答えます。次に簡単な問診を受けると、いよいよ献血開始です。
(責任者の了承を得て血液センター内の写真を撮らせていただきました)
長丁場&多量な献血に驚き!
献血に不慣れな筆者は、「せいぜい200mlくらいかな?」と考えていました。ところが、所要時間を聞いてみると「人によって異なるが、おおよそ40〜50分」と・・・。想像以上の長丁場に驚きつつモニターを確認すると、画面には610mlの文字が!
献血中に時間が潰せるようテレビが見られますが、ほとんどの人がスマートフォンを眺めていました。
とはいえ、もう後戻りはできないので、「コロナ収束のため!」と腹を括りました。献血がスムーズになるように血圧を上げるためのボールが手渡されます。軽く握ったり放したりするようにと指示されましたが、自分とっては結構な力が必要で悪戦苦闘・・・。
筆者は血管が細く、うまく献血できるのかと心配しましたが、同時に献血していたほかの誰よりも早く無事終了。係員から「グッドジョブ!」とお褒めの言葉をもらい、20分ほど待合室で休むように指示されました。
待合室では献血を終えた人たちがご褒美にもらったスナックを味わっていますが、テーブルがアクリル板で仕切られているので、感染拡大にも不安がありませんでした。
ご褒美のスナック類にご満悦
献血は寄付なので当然無報酬です。その代わり、体力回復のための高カロリーのスナック類をいただきました。持ち帰って内容を確認してみると、ポテトチップスの小袋(42g。プレッツェルも選択可能)、クッキーのミニサイズ2種、ミニサイズのアップルジュースがパックされていました。
もしかしたら、日本人にはコレステロールや高血圧に悪影響を及ぼしそうに感じる内容かもしれませんよね。自分もチラッと頭をよぎりましたが、結局は一人で全部食べました(笑)。
血液センターから来た手紙で、思いがけない展開に!
血漿寄付の2週間後、ニューヨーク血液センターから手紙が届きました。お礼状だと思い眺めていると、中央あたりに太字で強調した一文が。
そこには、「あなたの血漿から、新型コロナウイルスは検出されませんでした(筆者が赤線で強調した部分)」と書いてあるではないですか。
あれれ? 5月と7月の抗体検査では、陽性だったのに! コロナ収束を願って610mlも血漿寄付したのに(涙)。
自慢の抗体はいったいどこへ・・・。
抗体は永遠ではない
血液センターからの手紙を抱え、City MD(予約不要の検査機関)へ向かいました。
「ここで受けた2度の抗体検査で抗体陽性だったのに、血液センターでの献血で抗体なしと結果が出たんです」と、係員に尋ねてみました。すると、とくに驚く様子もなく「またここで抗体検査するの? 血液センターでの結果と同じように陰性になるだけだと思うよ」とつれないお言葉。
ただ、抗体が短期間で消えることも珍しくはないらしく「筆者もその一人だったのかな」と納得するほかありませんでした。
こちらがCity MDで受けた3度目の検査結果です。PCR検査は以前と変わらず感染なしの陰性。抗体検査はやはり前回の陽性から陰性(Negative 筆者が赤丸をつけたところ)に。筆者は1度目(2020年5月)の抗体検査で陽性、3度目(2020年10月)に陰性となったので、抗体の持続は5〜6ヶ月なのかもしれません。
抗体があるときは、水戸黄門の印籠よろしく、「下がれおろう、私を誰と心得る。畏れ多くも、抗体陽性であるぞ」と自慢し、「コロナに感染するリスクは低い(かも)」と心強くいたのに。
コロナの自覚なく(周りにもうつしていない)、知らぬ間に抗体持ちになり、知らぬ間に抗体は消え去りました。これから風邪のシーズンなので、「今冬は持って欲しかったな〜」と少しがっかりです。抗体よ、さようなら。もう会うこともないと思うけど・・・。
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青山沙羅 | |
はじめて訪れた瞬間から、NYにひと目惚れ。恋い焦がれた末、幾年月を経て、2009年ついに上陸。 旅の重要ポイントは、その土地の安くておいしいものを食すこと。 特技は、早寝早起き早メシ。人生のモットーは、「やられたら、やり返せ」。 プロ・フォトグラファーの夫とNYでふたり暮らし。共同著書『いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日(PIE International、2020年3月)』。 |
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