POSTED BY アンダルシア掲載日 DEC 8TH, 2021
【論考】相次ぐ北京冬季五輪の外交ボイコット論~岸田政権はどうするのか~

比較政治や国際政治経済を専門とする政治学者の筆者が、世界情勢の「今」を論考する当シリーズ。今回は、世界的にボイコット論も見逃せなくなってきている「北京冬季五輪」について考えてみる。欧米諸国には外交的ボイコットを検討する国も少なくないなか、日本(岸田政権)がとるべき方策とはいったいどのようなものが考えられるのだろうか?※写真はすべてイメージです
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中国包囲網的動きが加速した2021年。岸田政権の舵取りは・・・

今年も12月になり、早くも2021年が終わろうとしている。今年の世界情勢にとって最も大きかった国際政治上の動きは、ひとつにバイデン政権が発足し、欧州やオーストラリアなど他の欧米諸国が足並みをそろえ、中国包囲網的な動きが加速化したことであろう。もちろん、欧米諸国は中国を包囲することを究極的な目標にはしていないが、中国を取りまく情勢が厳しくなっていることは間違いないだろう。
そして、それにより岸田政権による対中外交の舵取りはいっそう難しくなっている。日本は安全保障を米国、経済を中国に深く依存しているので、今後はどう上手くバランスを取れるかがポイントになる。これは2022年の日本外交の最重要課題であって、それはすぐに試されることになりそうだ。
迫る「北京冬季五輪」開催と「各国の動き」とは

2022年2月、北京で冬季五輪が開催されるが、昨今、欧米諸国では外交的ボイコット論が浮上している。米国議会下院議長は2021年5月、中国政府による香港国家安全維持法の施行やウイグル人権侵害などを背景に、北京五輪の開会式や閉会式を政府関係者が参加を見合わせるよう呼び掛け、EUの欧州議会も7月、同様の背景を理由に、習政権からの開会式招待などを辞退するよう加盟国に求める決議を採択した。バイデン政権はそれ以降、中国政府の姿勢を見極めることでボイコットするかどうかを慎重に検討していると思われる。
外交ボイコットを検討する国々と日本の立場

他の国々も外交ボイコットの動きを検討しているようだ。たとえば、オーストラリアの有力紙『シドニー・モーニング・ヘラルド』は2021年11月25日、モリソン政権が閣僚などの派遣拒否を検討していると報じ、英国の有力紙『タイムズ紙』も2021年11月20日にジョンソン政権が選手団以外の外交使節団を派遣しないことを検討していると報じた。

また、今後の行方は分からないが、エストニアを中心とするバルト三国やポーランド、チェコなど中東欧諸国も中国への懸念を強めており、こういった国々も外交ボイコット論に乗ってくる可能性もある。
このようななか、中国は岸田政権がどのような対中姿勢で挑んでくるかを見極めていると考えられる。中国政府は既に2021年11月25日、「我々は東京五輪の開催を強く支持してきたので日本は欧米によるボイコット論に乗らないよう」と釘を刺しているが、仮に日本がボイコット論に乗れば習政権が岸田政権の姿勢を見極め、日本に対して政治経済的に揺さぶりを掛けてくる可能性もある。輸出入制限や停止など経済的な分野での制裁をちらつかせてくるシナリオがあり得よう。

反対に、日本が閣僚などを派遣し、ボイコット論に乗らなかった場合、欧米との間で大きな亀裂が生じる可能性は低いが、少なからず距離ができる可能性はある。しかし、日本の国益を全体的に考慮すれば、中国側の反応が読めない分、外交的ボイコット論には乗らず、閣僚を派遣することを含め、日本は独自のスタンスを基本に政策判断することが最も望ましいシナリオだろう。
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政治学者 専門分野は比較政治、国際政治経済。特に近年は米中関係や経済安全保障などの日本の国益を左右する研究に従事する。また、学術研究に留まらず、NHKや共同通信、朝日や日経、産経など大手メディアで解説なども行う。 |
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