POSTED BY アンダルシア掲載日 NOV 3RD, 2021

【論考】悪化する日中国民感情~世論調査による各国のイメージとは~

比較政治や国際政治経済を専門とする政治学者の筆者が、世界情勢の「今」を論考する当シリーズ。今回は、2021年10月下旬に発表された世論調査にみる、日本・中国の国民感情と、その悪化の理由、日本がとるべき対応を考えてみる。※写真はすべてイメージです

目次

世界に拡大を続ける中国離れ

新型コロナウイルスの感染拡大以降、米中対立は欧州やカナダ、オーストラリアなどほかの欧米諸国が参加する形で拡大している。新疆ウイグルや香港、台湾などの問題を巡って国際社会の中国への目線はさらに厳しくなり、最近は中欧東欧諸国の中国離れも目立つ。そして、それは最近日中の間で実施された世論調査の結果にも如実に表れている。

悪化する対日感情の理由とは

2021年10月下旬に言論NPOと中国国際出版集団が発表した第17回日中共同世論調査によると、中国へのイメージが「良くない(どちらかといえば良くないを含む)」と答えた人は、前年比1.2%増加の90・9%に達し、「良い(どちらかといえば良いを含む)」と答えた人は前年比1%減の9%となった。長年、日本の中国へのイメージは大多数が良くないと答えているが、今年はそれにさらなる拍車が掛かった。また、日中関係を「悪い」と答えた人は0.5%増の54・6%となった。

しかし、中国側の数字はもっと深刻だ。日本に対してイメージが「良くない(どちらかといえば良くないを含む)」と答えた人は66.1%に上り、前年比で13.2%も増加した。また、「良い(どちらかといえば良いを含む)」と答えた人は前年比13.2%減の32%に達し、日中関係を「悪い」と答えた人も20%増加の42.6%だった。

この数字から明らかになるのは、日本の中国に対するイメージが悪化した以上に、中国の日本に対するイメージ悪化が顕著だということだ。この背景には何があるのだろうか。

当然ながら、冒頭でも述べたように、悪化する中国と欧米諸国の関係がある。米国だけでなく、近年は日米豪印クアッドによってオーストラリアやインドだけでなく、日米豪による安全保障協力オーカスの創設もあり、英国やフランス、ドイツなど欧州諸国もインド太平洋への関与を強め、中国に対抗する姿勢を鮮明にしている。

日本は安全保障上、米国陣営であり、その対立軸の中で経済的に深い関係にある中国とどのように関係を維持していくかが課題であるが、欧米vs中国の対立が深まれば深まるほど、日本の立場は難しくなる。

注視される日本の動向

今後、日本がクアッドだけでなくオーカスやファイズアイズに加入するということになれば、中国の対日感情はいっそう悪化することだろう。日本の対中感情の悪化が1%あまりの増加にとどまった背景には、「安全保障上の問題はあるが、最大貿易相手国である中国との経済関係は維持したい」というビジネスマンの想いも影響しているのかも知れない。

一方、中国の対日感情が大幅に悪化した背景には、「日本はやはり米国や欧州とタッグを組む」、「日本はもう大した国ではない」という意見が影響しているのかも知れない。

コロナ禍によるコミュニケーション不足も

また、実際問題として、新型コロナウイルスの感染拡大によって日中間でビジネスマンや旅行者の往来がほぼ制限され、対面でのコミュニケーションや意見交換ができなくなったことも影響しているだろう。ほぼ2年間、日本には中国人観光客が来なくなり、中国人が日本を理解したり、日本に関する情報を入手する手段は国内のメディアやネットになる。

近年の米中や日中の状況を考えれば、中国国内で流れる情報がマイナス的なものになることは想像に難くなく、それが中国人の日本へのイメージ悪化に繋がっている可能性もある。

rafapress / Shutterstock.com

一方、これに危機感を感じたのか、最近、中国の孔鉉佑駐日大使は日中の相互理解を深めることなどを目的としてツイッターのアカウントを開設し、「皆様との交流のルートをまた1つ増やせたことをうれしく存じます」と日本語で投稿した。

中国当局としても、日本との必要以上の関係悪化は望んでおらず、米中対立が激しくなる中では日本とも一定の関係を維持しておきたいはずであり、今後もハードソフトの両面で日本に対応してくることが予想される。日本としても、この統計を1つのバロメーターとして今後の中国との関係を考えていく必要がある。

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アンダルシア
ライター/

政治学者 専門分野は比較政治、国際政治経済。特に近年は米中関係や経済安全保障などの日本の国益を左右する研究に従事する。また、学術研究に留まらず、NHKや共同通信、朝日や日経、産経など大手メディアで解説なども行う。

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