【NYに衝撃】1日の感染者が過去最高の2万1千人に

ニューヨークではブースターショット（追加接種）が全年齢対象となり、収束への道を歩んでいると信じていた年末、ニューヨークに衝撃が走りました。2021年12月17日、ニューヨーク州の新型コロナウイルス新規感染者が2万1千人（1日あたり）と過去最高をマークしたのです。

始まりは、2021年12月2日に確認された、オミクロン株感染の米ミネソタ州在住男性。その男性は、2021年11月19日～21日にニューヨーク市マンハッタンの大型展示場で約5万3,000人が集結した「アニメNYC」に参加しており、デブラシオNY市長は「市内でオミクロン株が拡大していると想定すべきだ」と発表。それから約2週間後、市長の警告が現実となりました。

【検査会場に長い列・・・】検査キットは品切れ状態

筆者が異変に気付いたのは、2021年12月16日。マンハッタンの勤務先の近くで100人を超す長蛇の列が出来ており、「評判のおいしいお店でもあるのかな？」と呑気に歩いていると、列の先頭はチェーン店のファーマシー（薬局）でした。

「これはブースターか、PCRテストの列？」と、筆者がブースターショットを受けた時にはこれほど混んでいなかったため、一体どういうことかとびっくり。

翌日に感染拡大のニュースを聞き、なるほど、あの人たちは今のニューヨークの状況を知っており、検査を受けていたのだと納得しました。

気がつけば、自宅近くのPCRテスト会場にも長蛇の列。職場や学校で感染者が激増しているためなのでしょう。検査をするのに3時間待ちは当たり前、検査キットが品切れのところも多いと聞きました。検査会場は日を追うごとに、列が長くなっています。

この前までガラガラだったワクチン接種会場は、さらに長蛇の列。ブースターショット（追加接種）の全年齢対象の解禁は1カ月も前に行われていたため、なぜもっと早くワクチンを打たなかったのかと、少し残念な気持ちに（筆者はブースターショットも接種済み）。

この緊急事態に対して、ニューヨーク市は、「検査会場の増設」「自宅でできる検査キット50万個の無料配布」「KN-95マスク100万枚の無料配布」を発表しています。また、なかにはワクチン接種すると100ドル（プリペイドカード）の特典がある接種会場（ニューヨーク市内5か所のみ）も。

KN-95マスクが欲しい筆者は、どこかで配布されていないかなと学校や教会、駅などへ行ってみましたが、2021年12月22日現在、配布している様子はありませんでした。

感染力最強？感染者の92％がオミクロン株

CDC（米疾病対策センター）発表の2021年12月18日のデータによれば、ニューヨーク州や隣のニュージャージー州などのエリアでは92％がオミクロン株感染。残りの7.9％はデルタ株で、圧倒的にオミクロン株の感染力が強いことがわかります。

ブースターショット（追加接種）をしていても感染する可能性はあるとのことですが、重症化は避けられるとのこと。重症化するのは、やはりワクチン未接種者だそうです。

ニューヨーク市のワクチン接種率はどうか

NY州知事もNY市長も口を酸っぱくして、「ワクチンを打とう」と推奨しています。そこで、実際のワクチン接種率はどうなっているのかを調べてみました（2021年12月22日時点）。

ニューヨーク市の保健局のデータによると、ニューヨーク市居住者のワクチン完全接種率は71.4％。ファイザーやモデルナで1回のみ接種した人が8.4％、未接種者は20.2％でした。

ニューヨーク市ワクチン完全接種率

【人種別】
ネイティブ・アメリカン（インディアン）やアラスカ先住民　99％
アジア系など　87％
ラテン系　64％
白人　57％
アフリカ系　50％

【年齢別】
18歳以下　28％
18-24歳　79％
25-34歳　76％
35-44歳　87％
45-54歳　87％
55-64歳　89％
65-74歳　87％
75-84歳　76％
85歳以上　61％

人種別で見てみると、ネイティブ・アメリカン（インディアン）やアラスカ先住民が99％、次がアジア系などが87％と完全接種率が高く、年齢では35歳以上が9割近く接種済みという結果に。

米ファイザー製の飲む治療薬が承認された

「コロナに効く飲み薬ってないの？」と思っている人も多いのではないでしょうか。ニューヨークが感染再拡大の渦中、2021年12月22日米ファイザー製の飲む治療薬がFDA（米食品医薬品局）に承認されたというグッドニュースが飛び込んできました。

経口治療薬については、また日を改めてレポートしたいと思います。それでは、また。

[Photos by Hideyuki Tatebayashi ＆ Sara Aoyama]　Do not use images without permission.

参照記事
NYでオミクロン株の感染相次ぐ　アニメイベント出席者を追跡調査へ　2021年12月3日　朝日新聞デジタル
【新型コロナ】ＮＹ州の１日当たり新規感染2.1万人超、過去最多更新　Bloomberg News　2021年12月18日
New York officials announce Omicron strategies, including at-home tests by mail.　2021年12月16日
COVID-19 Vaccine Incentives　NYC GOV
COVID Data Tracker　CDC 2021年12月18日
FDA authorizes Pfizer's Covid treatment pill, the first oral antiviral　CNBC 2021年12月22日

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	青山沙羅 アオヤマサラ／ライター
	はじめて訪れた瞬間から、NYにひと目惚れ。恋い焦がれた末、幾年月を経て、2009年ついに上陸。 旅の重要ポイントは、その土地の安くておいしいものを食すこと。 特技は、早寝早起き早メシ。人生のモットーは、「やられたら、やり返せ」。 プロ・フォトグラファーの夫とNYでふたり暮らし。共同著書『いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日（PIE International、2020年3月）』。 著者のプロフィールを詳しく見る

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