POSTED BY アンダルシア掲載日 JAN 18TH, 2022

【Z世代向け】米国と中国はなぜ対立しているのかをわかりやすく解説

近年の世界情勢といえば、多くの人が「米中対立」と考えるだろう。しかし、そもそもなぜ米国と中国は対立しているのか。特にZ世代のなかには、「米国も中国も対立するより仲よくした方が双方にとっていいのに！」「中国に進出する米国企業や米国に進出する中国企業も多いのに、なぜバイデンと習近平はいがみ合っているの？」と、疑問に思っている人も少なくないだろう。しかし、米国と中国が喧嘩をする背景には多くの理由があるのだ。そこで今回は、「米中対立」についてわかりやすく解説していこう。

【要因1】香港をめぐる争い

米中対立の要因は数多く存在し、ここで全部を記載すると長くなってしまうため控えるが、まず1つに香港の問題がある。

香港は1997年7月にイギリスから中国に返還され、以降中国は、香港の高度な自治「一国二制度（たとえば、中国は社会主義だが香港では資本主義を維持する）」を50年は維持することを英国との間で約束した。それは数字でいえば2047年までということになるが、中国は2021年７月に香港国家安全維持法を導入し、民主派議員などを香港政治の世界から追い出すなど「香港の中国化」を急速に進めている。その動きに対して、英国や米国などは約束違反ではないかと怒っているのだ。

中国本土と違い、これまで香港ではラインやフェイスブックなど我々が日常的に使うSNSを使用することができたが、今後はそういったものへの締め付けが強化されるかも知れない。香港の中国化が進むことで、2021年以降香港から外国に進出する香港人や外国企業も増えているのも実情である。

【要因2】台湾をめぐる争い

また、一世を風靡したタピオカでおなじみの台湾を巡っても、近年は米中間の火花が散っているのだ。台湾には親日家が多く、政治や経済の制度は日本や米国と似ている部分が多い。それもあって、台湾と中国は違う国のようなイメージがあるが、中国は台湾を自国の一部と定義しており、そこには大きな隔たりがある。

しかも、近年台湾では中国からの独立を目指す蔡英文政権が米国や欧州諸国との関係を強化していることから、中国はそれに対して強く台湾を非難している。中国は2021年から台湾産パイナップルの禁輸を発表するなど、台湾を経済的に苦しめるだけでなく、中国の戦闘機を台湾に接近させるといった軍事的な威嚇も強化しているのである。米国もまたこれに対して強く中国を非難しており、2022年も台湾を巡る米中対立が激しさを増しそうだ。

激化する米中対立

米中は経済的にも相互依存関係にあり、片方の経済破綻はもう片方の経済を直撃する。しかしながら、それでも譲れない価値観や考えというものが双方にあるのも事実。米国としては、「中国よ、自由や民主主義、人権といった人間にとって当たり前の権利を重視した大国になれ」と思っているが、中国には「我々の成長に対して米国にとやかく言われる筋合いはない」との思いがあり、今日も双方が歩み寄りできる関係ではないのだ。