POSTED BY 倉田直子掲載日 FEB 3RD, 2021

【世界のニューノーマル最前線オランダ】ロックダウンでトイレが無い!?

こんにちは。オランダ在住ライターの倉田直子です。コロナ禍がなかなか沈静化しないオランダは、ロックダウンでさまざまなサービスが停止中。飲食店のイートインサービス禁止も、そのうちのひとつ。けれどそこで、本来なら飲食店の営業事情とはまったく異なるはずの問題までが芋づる式に浮き上がってきました。今回は、その「意外な問題」についてお話させてください。

目次

ロックダウンでトイレが無い!

アムステルダムには公衆トイレが少ない

欧州オランダでは、2020年春に引き続き2020年10月から2度目の飲食店閉鎖に見舞われています(持ち帰りとデリバリーはOK)。そのため、首都アムステルダムでは深刻な「公衆トイレ不足」が引き起こされてしまいました。

実はアムステルダムにはいわゆる「公衆トイレ」が少ないのですが、平常時は街にあふれる飲食店やデパートのような商業施設がその役目を担っていました。観光客がトイレを利用する際にコーヒーを注文したり、お店での「ついで買い」が発生するので、店舗のほうでもメリットはあったのです(もちろん無料でトイレを利用しようとする観光客も多く、それはそれで問題でしたが)。

しかし、ロックダウンで飲食店や商業施設が閉鎖され、トイレが利用できなくなると、道行く人々はトイレの問題に悩まされるようになりました。観光客も激減しましたが、必要があって街に出かける人も依然として存在します。筆者も外出の際は、常にトイレのことを頭の隅で意識するようになっています。

女性が利用できるトイレが少ない

アムステルダムの男性用公衆トイレ

そうはいっても、男性にとってはあまりこれは深刻な問題ではないかもしれません。実は上写真のような男性用の簡易トイレはアムステルダムのそこかしこに見つけることができるからです。

でも、女性用や車椅子の人が利用できるタイプの公衆トイレは本当に少なくて。

Gemeente Amsterdam Openbare Toiletten
(アムステルダム市公衆トイレ)

アムステルダム市が公式に作成したトイレマップを見ても、男性用を示す丸印は街の中心部にも点在していますが、女性も利用可を意味する四角マークは街のはずれにしか見当たりません。

女性用トイレ不足から事件発生

コロナ前から夜間のトイレ問題は取り沙汰されていた
コロナ禍前から夜間のトイレ問題は取り沙汰されていた

コロナ禍前から、アムステルダム市の公衆トイレ不足は問題になっていました。2017年には、「夜遊び中にトイレが見つからず路上で用を足した女性に罰金」という判決が下され、社会問題にも。夜中は、デパートもカフェも閉まっているので、その女性はトイレを利用するためにクラブに駆け込んだそうです。けれど運悪くそこのトイレが壊れていて、やむにやまれぬ状態だったのです。

その事件の裁判官の「女性であっても路上の男性用簡易トイレで用を足すことはできたはずだ」というコメントが報道され、オランダ中の女性が怒り心頭。インスタグラム上で「zeikwijf」(小便をする女性)というハッシュタグをつけ、「女性が男性用小便器で用を足そうと思うと、こんな体勢になりますけど!?」という意思表示の画像を続々と投稿していきました。

この抗議アクションはユーモアのあるものでしたが、そこから事態はほとんど改善していなかったようです。男性用簡易トイレは比較的安価で設置できるそうですが、女性用トイレは自治体との折衝なども必要になり、コストと手間がかかるのがネックになっています。

トイレ検索アプリも

トイレを探せるアプリも

上でリンクを貼ったトイレマップはアムステルダム市のみのものですが、オランダ全体の公衆トイレの位置を検索できるアプリもあります。

HogeNood

このアプリが2020年12月に発表した統計によると、登録があるオランダの自治体355の中で、首都アムステルダムのトイレ充実度は37位だったそうです。首都としては、もっと頑張って欲しいところです。

日本でも、頼りになる飲食店やコンビニのトイレがいつ利用不可になるとも知れません。コロナ禍時代は、外出先のトイレ位置把握が必須になってくるかもしれませんね。

※この記事は、2021年2月の状況に基づいています
[Rechter: Vrouw kan best in urinoir op straat plassen]
[Urinoiractie #zeikwijf door grote belangstelling nu landelijk]
[World Toilet Day 2020 - the rankings]
[All Photos by Shutterstock.com]

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倉田直子
クラタナオコ/ライター/タイニーハウス・ウォッチャー

2004年にライターとしてデビュー。北アフリカのリビア、イギリスのスコットランドでの生活を経て、2015年よりオランダ在住。主にオランダの文化・教育・子育て事情、タイニーハウスを中心とした建築関係について執筆している。著書「日本人家族が体験した、オランダの小学校での2年間」(https://www.amazon.co.jp/dp/B0758JCDTM/)

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