POSTED BY オオモト ユウ掲載日 JUN 10TH, 2021

釣り人が犯罪者に!?水辺のレジャーで注意すべき禁止行為【釣りの今を斬る】

コロナ禍により「3つの密」が生まれにくいアウトドアレジャーへの注目が高まった昨今。川や海で釣り糸を垂れつつ、日常では味わえない「開放感」や「癒し」を求める人が増えている。多様な生物が息づく日本の水辺では釣りを初めとしてさまざまなアプローチで生物採取が楽しめ、特に子どもにとっては貴重な体験学習の場となっている。しかし、実は水辺の生物採取には厳格な規則が設けられており、違反者には重い罰則が科せられるケースもある。また、コロナ禍の影響と思しき新たな問題も聞こえ始めた。遊びのつもりが犯罪に・・・とならぬよう、水辺で遊ぶ際のルールを紹介していきたい。

目次

軽い気持ちでも「ダメ、ゼッタイ!」 水辺で遊ぶ際の基本ルール

釣りや潮干狩りなど、一般の人がレジャー目的で楽しむレベルに限って「遊漁」という扱いで水生生物の採捕が黙認されている。それに対し、生業として営利目的でそれを行う行為については「漁業」の扱いとなる。いずれも「漁業法」や「水産資源保護法」、各都道府県が定めた「漁業調整規則」等の厳格なルールが存在する。これらのルールは水産庁や都道府県のホームページにてその内容を確認できるが、ここではレジャー目的の遊漁者が気をつけるべき点を中心に取り上げたい。

海では竿を使った「釣り」は禁漁区や禁止区域を除けばほぼ全国的に楽しめる。

基本的には、「竿や手で糸やハリを操って行う釣り」は全国各地で楽しめる。また、タモ網(柄が付いた円形の網)による採捕も遊漁者に許可されている。ただし、灯火を用いて魚を寄せたり、夜間に網による採捕を行うことは、地域によって規制されているので注意が必要である。

老若男女を問わずに人気の潮干狩りは、場所や使う道具(熊手など)、持ち帰ってよい大きさや量が地域ごとに定められている。資源保護の観点からも重要なルールなので必ず守ること。悪質な場合は没収など強い措置も執られている。

川や湖などの「内水面」では、特定の場所や生物の捕獲に際して許可を得る必要がある。その場合は、漁協や都道府県漁連で販売している「遊漁券」を購入すれば問題なく楽しめる

また、川や湖沼など「内水面」と呼ばれる水域には、地域ごとに漁業権が設定されている。その地域内で対象生物を採捕する場合は、管理する漁協が定めた期間と料金に従って遊漁が可能。代表的な対象生物としてアユやイワナ、ワカサギ、ウナギなどが挙げられる。遊漁券(料金を払って受け取る許可証)は当日限りのものから、そのシーズンの解禁期間中はいつでも利用可能な「年券」と呼ばれるものまで種類がある。

例外的な存在として、川に入ったサケの捕獲は法律によって禁止されている。河口周辺に限っては、海であってもサケの禁漁区が設定されている地域がある。

なお、遊漁者が守るべきルールは水産庁ホームページ内の「遊漁の部屋」(※1)にまとめられている。水辺で遊ぶ際に気になることがあれば目を通してみよう。

法改正で格段の厳罰化。もはや「出来心で・・・」は通用しない!?

2018年、「漁業法」の一部が改正された。その内容は多岐に渡るが、そのなかに密漁に対する罰則強化が盛り込まれている。

法改正により罰則が強化されたのがウナギの稚魚の採捕。「白いダイヤ」とも称されて高値で密漁・密売が行われたため、国も厳罰化に踏み切った

まずは「特定水産動植物」の密漁について。アワビ、ナマコ、シラスウナギ(ウナギの稚魚)の3種については、組織的な密漁、流通を抑止するために「3年以下の懲役又は3,000万円以下の罰金」という重い罰則が設定された。個人に対しての罰金額としては最高額であり、国としての本気度がうかがえる内容である。筆者自身も経験があるが、ナマコに関しては期せずして釣りバリに掛かってしまうことがある。持ち帰らずにそっと海に返してあげよう。

またこの法改正では、「漁業権侵害」に対する罰則も強化された。これは上記の3種以外に、その地域で設定された魚介藻類を密漁した場合に適用されるもので、これまで20万円だった罰金の上限が100万円まで引き上げられた。対象生物は地域によって異なるものの、サザエやイセエビ、ハマグリ、タコ、ワカメなどの海藻類が主な対象となる。

取り締まり強化は危機感の証左。密漁対策強化の背景とは?

海辺でよく見かける「密漁禁止」を訴える看板。近年は摘発が盛んに行われており、厳罰に処される事例が後を立たない

水産庁のホームページ内「密漁を許さない ~水産庁の密漁対策~」(※2)には、海面での密漁に関する検挙件数の推移がグラフ化されている。それによると、漁業者の検挙数はこの30年で4分の1程度まで低下したのに対し、漁業者以外に関してはおよそ3倍に増えている。流通ルートまで確保した組織的な密漁に加えて、個人で消費する目的で密漁を行う一般の市民が増えていることがその要因であろう。それを実証するかのような記事(※3)も、検索すると容易に見つけられる。

私事で恐縮だが、ここでその近年の密漁増加を実感した体験談を紹介したい。

まずは、千葉県の某漁港でアジを狙って夜釣りをしていたときのこと。そのエリアに精通した釣り人と竿を並べていたところ、背後に数人の男性が現れて声をかけられた。

「最近このあたりでイセエビの密漁が横行しているので確認にきました。もし釣れたら海に返してくださいね」

聞けば彼らは海上保安庁の職員。柔和な表情で雑談にも応じてくれたが、我々の道具や釣果が入ったバケツ、クーラーボックスなどをくまなく確認していった。

別のケースは伊豆半島で釣りをした帰りのこと。保冷用の氷を補充しようとスーパーマーケットに立ち寄ったところ、パトロール中と思しき警察官に声をかけられた。

「釣りの帰りですか? すみませんが、念のためクーラーボックスの中を見せてもらえますか?」

変に疑われても困るのですべて見せたところ、協力を感謝されて平穏に終了。こちらもイセエビやサザエを狙って横行する密漁対策としてのパトロールだったようだ。

このように、密漁被害の増加に伴って取り締まりも本気度を増している。それでも状況が悪化するようだと、漁港や磯場への立ち入りが制限される事態になりかねない。一部の不届き者による悪行ではあるが、遊漁者のモラルが問われていることを自覚したい。

ごく稀にではあるが、釣りバリにイセエビが掛かってしまうことがある。持ち帰れば立派な密漁なので、そっと海に返してやろう

「無知」か「故意」か。全国各地で相次ぐ困った大人による摘発事例

では、そんな悪行を行うのはどんな人間たちなのか。以下の記事を見ていただきたい。

「密にならないアウトドアレジャーが人気、困ったのはイセエビ密漁の増加」 (※4)

「銚子漁港で伊勢エビ密漁か タイ国籍の男逮捕」(※5)

「葉山の海でサザエなどを乱獲する悪質密漁団 中国人密漁者も多数」(※6)

「県北部「密漁」大半がレジャー客 自己消費が目的」(※7)

これらの報道についてどんな感想を抱くかは読者諸兄におまかせする。ただ、こういった不法行為によって海辺の利用が制限される事態になれば多くの人が楽しみを奪われる可能性がある。釣りだけでなく、海水浴やサーフィンなど水辺のレジャーを愛好する人間にとっては非常に迷惑な話である。

シュノーケリングによる海中観察も近年人気が高まっているが、それを装った密漁も多いと聞く。疑われるような行為はくれぐれも慎みたい
被害の増加を受けて、警察や海上保安庁、地域の漁協も警戒活動を強化している。「知らなかった」では通用しません!

コロナ禍と密漁増加に関連性?「新しい日常」下で目撃された海辺の光景

早いもので1年以上が経過したコロナ禍だが、その影響は思わぬところにまで及んでいる。

昨年は海岸の利用について制限をかける自治体が多く見られ、夏場の海水浴場開設を見送る例が続発した。海水浴自体を禁止する措置ではないものの、監視員や遊泳区域の設定などが行われず、結果として密漁に手を染めやすい環境が生まれてしまった。海中の環境を整備したり、地域によっては種苗放流を行うなどして水産資源の維持に努めている漁業者からすれば、看過できない事態であろう。

またしても筆者の体験談になるが、昨夏に千葉県某所の磯場で釣りをしていたときのエピソードを紹介したい。

磯場の隣に小さな砂浜があり、その裏手には数台分の駐車スペースがあることから海遊びをする人が多数訪れていた。我々は海遊びの人から少し離れた磯場から竿を出したのだが、我々がいる磯の沖にシュノーケルを装着した数人が泳ぎ着き、時折潜るようにして上下動を繰り返し始めた。しばらくして海から上がってくると、ポケットからトコブシと思しき貝類を取り出してすぐに布袋へ。その後も同様の行為を繰り返していたことを見ても、出来心とは思えぬ光景であった。

地域によっては都市部からの観光客が白眼視されていた時期だったこともあり、「遠からず問題化するのでは?」と狼狽したものである。彼らがその地区の漁協組合員であれば、私の取り越し苦労で済むのだが・・・。

梅雨が明ければ本格的な水遊びシーズンを迎える。いつまでも気軽に水辺のレジャーを楽しむためにも、ルールは必ず守りたい

いずれにしても密漁は立派な犯罪行為であり、取り締まりや罰則が一段と強化されている。これから夏の水遊びシーズンが本格化するが、くれぐれもルールを守って楽しんでほしい。

※1 https://www.jfa.maff.go.jp/j/enoki/yugyo/
※2 https://www.jfa.maff.go.jp/j/enoki/mitsuryotaisaku.html
※3 https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/494898 京都新聞 2021/2/6
※4 https://www.yomiuri.co.jp/national/20210112-OYT1T50266/ 読売新聞オンライン2021/01/13
※5 https://www.chibanippo.co.jp/news/national/734292 千葉日報 2020/10/24
※6 https://news.livedoor.com/article/detail/18989444/ ライブドアニュース 2020/10/2
※7 https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202010/0013807330.shtml 神戸新聞NEXT 2020/10/24

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オオモトユウ
編集者/ライター/フォトグラファー

スポーツウエアメーカー勤務、雑誌編集などを経てフリーライターに。好きなことを仕事に選び続けた結果、周囲からは「ラクをして生きている」と思われているのが悩み。四国、北海道については愛車で単独周遊済みなので、九州に照準を定めている。旅先での酒場巡りとノルウェー旅行の再開に思いを募らせる日々。

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