POSTED BY 北 秀昭掲載日 JUL 14TH, 2021

このヤマト運輸の正体は?宅配に特化した「日本初の小型商用EVトラック」

最近、筆者の自宅周辺(千葉県)では、これまで見たことのない、ボンネットを設けたレトロな雰囲気の「クロネコヤマトの宅急便(ヤマト運輸)」が走っています。その正体を調べてみると…。この車は、宅配に特化した、日本初の小型商用EVトラック。2020年1月から、首都圏に順次500台を導入。ヤマト運輸では同車の導入により、CO2の削減や住宅街での騒音低減など、環境面での取り組みを積極的に推進中です。

目次

ドイツのメーカーによる懐かしさ漂う欧州風外観

ボンネットを設けたどこか懐かしさが漂う、欧州テイストのフォルムが特徴
荷物積載部の外観には「EV」のロゴを配置
ボディサイズは全長4700mm、全幅1830mm、全高2250mm。普通自動車免許で運転が可能(中型免許は不要)

写真の車両は、“クロネコヤマトの宅急便”でおなじみの「ヤマト運輸」が導入している、電動モーターとバッテリーで走行する、日本初の小型商用EVトラック。

このEVトラックを製造するのは、ドイツの物流会社「ドイツポストDHL」の傘下、「ストリートスクーター」というメーカー。現代の国産トラックとしては珍しい、フロントにボンネットを設けた、懐かしさも漂う欧州テイストの外観が特徴です。

ヤマト運輸を含むヤマトグループは、次の100年も国内外のユーザーに、よりよいサービスを提供し続けるため、物流業界に限らず、社会が直面している課題の解決に資する経営を推進。持続可能な社会の実現に向けた取り組みを、一層強化するそうです。その一環として採用されたのが、写真のEVトラックというわけです。

EVトラック導入の目的と今後の取り組み

ヤマト運輸はこれまでも、低公害車の導入してきました。また、都市部ではリヤカーを装備した電動アシスト自転車での集配を行うなど、宅配業界のなかでは率先して環境負荷軽減に向けた取り組みを推進しています。

また、無料会員制サービス「クロネコメンバーズ」を通じた、再配達の削減も実施。加えて幹線輸送では、「スーパーフルトレーラ25」という独自のシステムを活用し、複数の事業者の荷物を1台の車両で輸送するなど、CO2削減につながる、さまざまな取り組みを積極的に進めてきました。

都市部では、リヤカーを装備した電動アシスト自転車での集配を積極的に推進

宅配に特化した“小型商用EVトラック”は、ヤマト運輸が日本で初めて開発・採用したもの。2020年1月から1都3県(東京、神奈川、千葉、埼玉)の首都圏に、順次500台を導入。CO2の削減や住宅街での騒音低減など、環境面での取り組みを進めるための「メインヒッター」的な存在ともいえます。

EVトラックは、従来のトラックよりも小型で運転しやすく、ドライバーの立場に立った設計が特徴。車の運転業務に慣れていない人でも、セールスドライバーとして活躍できるように配慮されており、働き方改革の躍進を目指しているのもポイントです。

まず500台のEVトラックが2020年1月から1都3県(東京、神奈川、千葉、埼玉)で順次稼働中。今後はEVを含む次世代モビリティの開発・導入を積極的に進め、2030年までに小型集配車両の半数にあたる、約5,000台の導入を目指すと発表しています。

EVトラックのポイントは?

EVトラックを充電中

電動モーターとバッテリーで走行するEV(電気自動車)の導入により、CO2の排出量を削減。また、実際に集配を行うドライバーの立場に立った設計の追求により、快適性、機能性、作業性、安全性の向上を図っています。

小柄な女性でも乗り込みやすいシートを採用

女性でも働きやすい車体に設計

配達ドライバーは業務中、1日に平均200回もの乗降を繰り返します。これを考慮して、シート高を普通乗用車並みに設定。加えてドライバーズシートの側面をフラットにすることで、乗降性が向上されています。

さらに、冬場でも素早く温感を得ることができるシートヒーターを標準装備。乗り降りしやすく、身体への負担を低減した運転席としているのです。

ドライバーの配達効率も向上する「キーレスエントリー」

ドライバーが車両から離れると自動的にロックがかかり、近づくとロックが解除される「キーレスエントリー」を採用。キーを身に着けていれば、ドライバーの車両への接近離脱をセンサーが感知して、自動で運転席や荷室が施錠・開錠されます。

地上高90cmの荷室床面で負担も軽減

また、地上高90cmの荷室床面を実現しているのもポイントです。低すぎず高すぎない荷室によって、大きく屈むんだり荷室に乗り込むこともなく、荷物の積み下ろし作業ができるようにされているのです。

車両の死角を360°解消する「マルチビューモニター」

360°車両の死角を視認することができるモニター

車両を真上から見下ろした映像が映し出される「バードビュー」に加え、走行中、左右のドアミラーの死角となる側面下部がモニターに映し出されます。これにより、360°車両の死角を視認することができ、交通事故などを防ぐことに繋げられます。

ヤマト運輸のEVトラックは先進の宅配車か!?

EVトラックは、「カーボンニュートラル」への貢献はもちろん、ドライバーへの肉体的負担軽減、安全性の向上など、次世代の宅配車として開発・導入されているのが大きなポイントです。

写真左から、ドイチェポストDHLのトーマス・オグリビー取締役、ストリートスクーターのイエルグ・ゾマーCEO、ヤマト運輸の栗栖社長、ヤマトホールディングスの長尾社長

EVトラック発表時にヤマト運輸社長の栗栖氏は、「約2年の開発期間を経て、ようやく導入。EVトラックは環境負荷の低減に加え、現場で働くドライバーの立場に立った設計を追求。これにより、より多くの方々に活躍していただくことを実現しました」と語りました。

また、EVトラックを製造したドイツのストリートスクーター社のゾマーCEOは、「ヤマト運輸との親密なパートナーシップ。これは世界最高水準の環境性能を有する電気自動車を、日本の自動車市場へ推進していくための、新たな一歩となりました」と述べました。

電気自動車(EV)の波は、自動車輸送業の働きやすさや安全性の向上とともに、宅配運送業界にも広がっています。

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北秀昭
編集者/ライター

神戸~東京築地~横浜~兵庫姫路~大阪京橋育ち。瓦敷き職人助手、空手師範代助手、ダスキ〇のお掃除部隊等に従事しながら高校・大学を卒業後、旅行グルメの編プロを経て、車やバイクに特化した出版社に勤務。バイク専門サイト「4ミニ.net」運営。 https://4-mini.net/

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