POSTED BY 倉田直子掲載日 JAN 6TH, 2021

【世界のニューノーマル最前線オランダ】レストラン席数を挽回した秘策とは?

こんにちは。オランダ在住ライターの倉田直子です。コロナ禍が発生してからもうすぐ1年、オランダでもさまざまな新ルールや習慣が誕生してきました。けれどそれは、時としてビジネスや商売に影響を及ぼし、生き残るための工夫を求められることも。今回は、オランダの飲食店に求められるルールと、とあるお店の工夫についてお話させてください。

目次

テーブル間もソーシャルディスタンス

広場にテラス席を展開しているカフェ
広場にテラス席を展開しているカフェ

オランダは2020年3月15日に最初のロックダウンを敢行し、飲食店のイートイン営業を規制しました(持ち帰りおよびデリバリーはOK)。その後、感染のピークは過ぎたと政府が判断し、2020年6月1日から再びイートイン営業も可能に。飲食店経営者はほっと胸をなでおろしましたが、無条件で再開できたわけではありません。

イートイン営業再開に際し、政府によってさまざまな新ルールが設けられ、多くの飲食店は対応に追われました。中でも一番影響を与えているのが、「テーブル同士に1.5メートルの間隔をあける」という規制。室内だけだと設置できる席数に限界があるので、多くの飲食店が屋外テラスの増設などを試みました。

席数確保にはテラス席が必要

首都アムステルダムから西に約20kmの街ハーレム
首都アムステルダムから西に約20kmの街ハーレム

けれど、スペースがふんだんにある郊外と異なり、都市部の多くの店舗はテラス席の設置に苦戦していました。そんな中、ハーレムという街で、2017年から営業しているカフェ・レストラン「デ・フォルクスルスト(De Volkslust)」が打ち出したコロナ対策は非常にユニークなんです。

アムステルダム他、オランダ国内に5店舗を構える人気店
アムステルダム他、オランダ国内に5店舗を構える人気店

「デ・フォルクスルスト」は、ハーレム駅からのにぎやかな目抜き通りに位置するため、テラス席を設けるには非常に不利な立地条件です。けれどその代わり、もうひとつの「立地条件」を活用することにしました。

浮桟橋をを水上のテラス席に

川床のような水上テラス
川床のような水上テラス

実はこのお店、目抜き通りと交差するように前に運河が流れているんです。お店の前の運河に、なんと浮桟橋(ポンツーン)を浮かべ、水上のテラス席を増設してしまったのです。すごい発想ですよね!

水上テラスには、貝殻が敷き詰められている
水上テラスには、貝殻が敷き詰められている

とはいえ、「デ・フォルクスルスト」は勝手にポンツーンを浮かべたわけではありません。運河は私道ではなく自治体の管轄となるため、しっかり必要な申請や許可は経ています。この奇抜なアイディアを発案してから、許可申請、設置工事とすべての工程を終えるまで約3カ月かかったのだそう。

大好評の水上テラス

運河の前をボートが通過していく
運河の前をボートが通過していく

満を持して2020年6月末に完成した水上テラス席は、利用者からの評判も上々。筆者の取材中も、カップルや家族連れ、若者のグループや老人おひとりさまなど、さまざまな客が水上テラスでくつろいでいきました。オランダ人は中世から運河を積極的に利用してきて、そこに浮かぶハウスボートに暮らすのが現代人の憧れだとも言われています。水際にいるのが大好きなオランダ人には、水上テラスは非常に魅力的に見えるのでしょうね。

人気の「クロックムッシュ」に、「カフェラテ」を添えて
人気の「クロックムッシュ」に、「カフェラテ」を添えて

ポンツーンはしっかり杭で係留されているので、揺れも特に気になりません。目の前をボートが通過しても、問題なく食事を楽しめました。

再ロックダウンで一時閉鎖中

「デ・フォルクスルスト」の店内
「デ・フォルクスルスト」の店内

肝心の座席数は、水上テラスを設けることでなんとかコロナ危機前とほぼ同じ水準に増やすことができたそう。店内にはかつて100席設置されていましたが、新ルールの下では50席に減らさざるを得ませんでした。けれど水上テラスと少々の路上席のおかげで、その分を補うことができたのです。良かったですね。

橋から眺める水上テラス
橋から眺める水上テラス

ただし残念ながら、この水上テラスは2020年10月で一度閉鎖されてしまいました。自治体から、2020年6月末から10月までの期間しか営業許可が下りなかったのです。さらに、オランダ政府が再びロックダウンを打ち出し、2020年10月14日からまたイートイン営業ができなくなってしまったのです(持ち帰りおよびデリバリーは可能)。この記事を執筆している2021年1月上旬現在、まだその措置は解除されていません。

せっかく水上テラスを作った「デ・フォルクスルスト」にとっては悔しい出来事だと思います。けれどポンツーンは撤去ではなく、まだ運河に残されています。もともと2021年春に再開する予定だったのだそう。地元の人々がこの素敵なテラスで再びお茶が飲めるよう、早くコロナ禍が沈静化して欲しいものです。

※この記事は、2021年1月の状況に基づいています

[De Volkslust Haarlem]
[All Photos by Naoko Kurata]

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倉田直子
クラタナオコ/ライター/タイニーハウス・ウォッチャー

2004年にライターとしてデビュー。北アフリカのリビア、イギリスのスコットランドでの生活を経て、2015年よりオランダ在住。主にオランダの文化・教育・子育て事情、タイニーハウスを中心とした建築関係について執筆している。著書「日本人家族が体験した、オランダの小学校での2年間」(https://www.amazon.co.jp/dp/B0758JCDTM/)

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