POSTED BY 熊本 沙織掲載日 JUN 1ST, 2022

【Z世代は何を想う】イケアで叶えた自分のための「しなやかな働き方」とは?

1990年代中盤以降に生まれた「Z世代」。この企画では、これからの会社や日本の発展を担うZ世代に焦点を当て、novice編集部のZ世代・山崎がインタビューを敢行。彼らならではの考え方や将来のビジョンなどを探り、その生き方を紹介していきます。今回は、イケア・ジャパン株式会社に2020年に入社した石塚史晃さんにお話を伺いました。

目次

「ワークマン」で活躍するZ世代に聞いた今と未来
>>>【Z世代は何を想う】急成長企業「ワークマン」に見る働き方と生き方とは?

【インタビューのお相手】

  • 氏名:石塚史晃(いしづか・ふみあき)さん
  • 生年月日:1998年1月
  • 出身地:埼玉県越谷市
  • 趣味:ラジオ聴取

【イケア入社の理由】友人の「働いてみたら?」がきっかけ

Z世代 IKEA イケア インタビュー
イケアの社風に魅力を感じ、未経験だった家具・インテリア業界で働くことを決めたそう
(注:撮影のため一時的にマスクを外しています。)
― 石塚さんは、どのような経緯でイケアで働くことにしたのでしょうか?

石塚さん:イケアに入社する前は別の仕事をしていましたが、2020年に新型コロナウイルスの影響で勤めていた会社を解雇されてしまったんです。そんな時に、イケアで働いていた友人が「求人募集をしているから、働いてみたら?」と声をかけてくれたのがきっかけでした。

友人の話を聞いたり、イケアのWEBサイトを見たりして、イケアはとても自由で寛容な会社だということを知り、それが魅力的に感じました。また、私が勤めているポジションは「ダブルワークも可能」で、柔軟な働き方が叶いそうだと感じた部分も、イケアへの応募の後押しになりました。

【ダブルワークについて】イケアに軸足を置きながら、映像制作の仕事も

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学生時代から出会った人達とのつながりを大切にしてきたと話す石塚さん。映像制作の仕事は前職でお世話になった先輩から依頼されることもあるのだそう
― ダブルワークが認められているところもイケア入社の決め手になったとのことでしたが、現在はイケアと並行してどのようなお仕事をなさっているのでしょうか?

石塚さん:フリーランスで映像制作をしています。企業のプロモーションやミュージックビデオ、ダンススタジオのPR映像などを撮影する仕事です。初めて就職したのが映像関係の会社だったので、その時に身につけた技術を生かした仕事をさせてもらっています。

イケアでは短時間正社員として勤務しています。短時間正社員は勤務時間によっていくつか種類があるのですが、私は週に25〜38時間の勤務をするという契約。このような個人の要望にあわせた働き方が選択できるのはとても魅力的だと思いますね。

短時間正社員といっても、フルタイム勤務の人と同じような賃金・労働条件で働かせてもらっているので、自分のライフスタイルの中での「仕事」はイケアでの時間をメインとしています。映像制作の仕事は、撮影日がイケアでの勤務と重なっていない場合は請ける、といったスタンスで、バランスをとって両立しています。

【現在の業務内容】収納と洗面エリアで販売を担当

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担当する商品の数は膨大なため、常に商品知識のアップデートは欠かせない
― 現在のイケアでの業務内容を教えてください。

石塚さん:販売の部署に所属し、収納用品と洗面用品のエリアを担当しています。商品としては、収納ボックスや洗濯用品、バスルームアクセサリー、洗面台、水栓などを扱っています。

主な業務の一つ目は、売り場でお客さまの相談を受けたり、質問にお答えしたりすること。二つ目は、商品の入荷情報を確認し、新しく入ってくる商品をどこに陳列するか検討し、そのスペースを確保するために売り場を整理することです。そのほかにも、倉庫を確認して足りないものがあれば補充したり、ショールームに設置する商品を届けに行くこともあります。

― 仕事で意識していることはありますか?

石塚さん:新しいことをどんどんやりたいと考えているので、商品の陳列方法のブラッシュアップを積極的に提案するようにしています。売り場で勤務しているときも、「ここにあの商品を置いたら、もっと売れるんじゃないか?」といつも考えながら働いています。

私のマネージャーは常に先を見据えた売り場作りを行うタイプなので、本当にすごいなと尊敬しています。今はマネージャーに少しでも近づけるよう、頑張っているところです。

【入社早々やっちゃいました】仕事での失敗は?

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イケアではミスをしても叱られるのではなく、次は改善できるようにと指導されるとのこと
― 入社して早々やってしまった失敗談があったら教えてください。

石塚さん:どの会社もそうだと思いますが、イケアにも社内用語みたいなものがあるんです。その用語の意味をきちんと理解しないまま指示を受け、「こういう意味かな?」と推測して行動したら、自分の思い込みと実際の指示の意味が全然違っていて。売り場にあるべきものがなくなってしまったことがありました。

それ以降、用語は確実に理解するようにし、あやふやなことはそのままにせず、必ず確認してから実行するようになりました。

【入社早々やっちゃいました】うまくいった仕事は?

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早く一人で洗面台を販売できるようになりたいと、先輩に教えてもらい猛勉強したそう
― 反対に、これはうまくいったな・・・!と感じる経験はありますか?

石塚さん:まだ入社して1年と少しなので、成功体験といえるものはそれほどありませんが、洗面台の販売でうれしい出来事がありました。

洗面台の前でお悩みのお客様がいらっしゃったので、商品選びの参考にしていただきたいと思い、「こちらの商品もいかがですか?」と、別の製品も特徴を交えながらおすすめしたんです。すると、「こっちのほうがデザインがきれいですね」、「丈夫そうですね」と言ってくださり、私がおすすめした商品をご購入くださりました。

お客様にご納得いただけるものをおすすめできたこと、そして売り上げにもつなげられたということで、これはうまく接客できたかなと。洗面台を販売するには水栓の知識なども必要なのですが、しっかりと勉強しておいてよかったと感じた出来事でした。

【イケア・ジャパンについて】どんな会社?

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チームのメンバーと相談しながら、仕事を進める石塚さん。時には後輩に指導することも
― イケアはどのような会社でしょうか?

石塚さん:何事にも寛容な会社ですね。とても柔軟な考えを持ったコワーカー※が多く、よほどのことがなければ、頭ごなしに「ダメ」と言われることはないと思います。

また、変化し続けている会社だとも感じますね。例えば、私の所属する販売の部門では季節ごとに売り場を変えたり、売り上げを予測して商品の置き場所を変えたりと、常に模索しながら売り場を更新し続けています。

※イケアでは、一緒に働く仲間をコワーカーと呼ぶ

― どんな人がイケアに向いていると思いますか?

石塚さん:ずっと同じことを続けたい、という人よりも、どんどん新しいことに挑戦していきたい!と考えている人に向いていると思います。特別なスキルは必要ありませんが、強いて言えば英語ができると良いですね。チームのメンバーが英語をメインで使用している場合、ミーティングが英語になることもあるため、英語力を活かせる機会がたくさんあります。

それから、「イケアバリュー」に共感できるか、という点も働く上で重要なポイントになると思います。

― 「イケアバリュー」とは何でしょうか?

世界中のイケアのコワーカーが大切にしている8つの価値観です。私自身、どの価値観も素晴らしいと感じていますが、そのなかでも一番大切にしているのが、「責任を与える、引き受ける」です。例えば、入社したての若い頃は、何をしていいのかわからなかったり、「私って全然頼りにされていないな」と感じたりすることもあると思います。そんな時、「これをやってみようか」とか「これをお願いしてもいい?」というふうに少しずつ仕事を任せてみると、どんどんできるようになり、組織に貢献できるようになっていくんです。チーム全員で前向きにステップアップしていけるのが、この考え方の良いところだと思います。

そのほかに、「連帯感」という価値観にも深く共感しています。他部署とも積極的にコミュニケーションをとって仕事をすることで、部署を越えたつながりが生まれ、ストア全体のレベルアップにつながります。これは、理想的な成長の形だなと感じますね。

【家具・インテリア業界について】最近の動向とイケアならではの取り組みとは?

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イケアの商品には成長の早い竹やコルクのような再生可能素材など、サステナブルな素材も使用されている
― ここ最近の家具・インテリア業界の動向を、石塚さんはどのようにとらえていますか?

石塚さん:新型コロナウイルスの影響もあり、業界全体として家で過ごす時間の大切さが謳われているかなと思います。イケアだけではなく、他社も注力しているテーマなので、そのなかでいかに売り上げを伸ばしていけるかが課題だと考えています。

― 最近のイケアでの取り組みを教えてください。

イケアは2020年に『IKEA原宿』と『IKEA渋谷』、そして2021年には『IKEA新宿』と、都心型の店舗を3店舗出店しました。こうした店舗が、特に若い人に対してイケアを知っていただく機会になればと思っています。どちらの店舗も駅の近くにあるので、「あ、こんなところにイケアあるんだ」と、気軽に入ってもらえたらうれしいですね。

そうしてイケアに興味を持ってもらえたら、次は郊外にある大型店舗やオンラインストアものぞいてみて欲しいです。オンラインストアには、イケア店舗のショールームを再現した「デジタルショールーム360°」もあるので、自宅にいながら商品の大きさを確かめたり、部屋のレイアウトのヒントを得たりできます。さまざまな形でイケアを利用してもらって、どんどん自分好みの自宅にしていってもらえればと。

また、イケアでは、再生可能素材である竹でできた「ランプシェード」やペットボトルでできた「ラグマット」など、サステナブルな商品もたくさん扱っています。ほかにも、家具の買取りサービスを展開したり、木材はFSC認証材またはリサイクル材を使用するなど、サステナブルな暮らしのための取り組みも積極的に行っているので、そうした点にも注目してもらいたいですね。

【会社と社会を引っ張る未来】1年後・5年後・10年後の自分

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ユニフォームの背中に書かれている「Hej!」は、スウェーデン語で「こんにちは」の意味
― 1年後の目標を教えてください。

石塚さん:まずは人をリードする力を身につけていきたいです。初めて直属の後輩ができたので、後輩に教えながら自分自身も成長していきたいと思います。

本当はすぐにでもマネージャーにステップアップしたい気持ちがありますが、そうやって「早く、早く」と急いでしまうのは自分の悪いところでもあるなと感じていて。周りを見ると、コツコツ継続している人はやっぱり強いなと思うので、焦らずに、力を磨いていこうと考えています。

― 5年後はいかがでしょうか?

石塚さん:直属のマネージャーのもとでもう少し学ばせてもらって、5年後にはマネージャーになっていたいなと。

イケアでは、新しいポジションに就きたい時は誰かに言われるのではなく、すべて社内公募制で立候補するシステムです。自分の意思でマネージャーを務めている人は「ついていきたいな」と思えるような素晴らしい人ばかりなので、良い制度だと感じています。自分のスキルやタイミングが整ったら、私もマネージャーに立候補したいですね。

― 10年後についても教えてください。

石塚さん:10年後は今よりもっと知識量も増えていると思うので、今は思いつかないような売り場のプランを立てたり、店舗だけでなくイケア全体として「それ、面白いね」と言ってもらえるようなアイデアを提案して実行したりなど、そういったことができたらいいなと。

― ほかにも、取り組みたいことはありますか?

石塚さん:イケアのコワーカーが働きやすい環境を大切にしていきたい、と考えています。もちろんお客様ファーストは大事ですが、それと同時に、コワーカーの幸福度も重要だと考えています。お客様に快適な生活をお届けするにあたって、まずは自分たちが快適に、有意義に働けていることが、いいサービスを生む秘訣だと思うからです。

【Z世代の特徴をふまえて】インターネットとの付き合い方・情報源・金銭感覚

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不特定多数に向けた発信の場で不用意なことは書かないようにしている、と石塚さん
― 「Z世代」は、「ネットリテラシーが高い」「情報源はインターネット」「節約家」といった特徴があるとも言われていますが、石塚さんは、ネットリテラシーは高い方でしょうか?

石塚さん:今はSNSで誹謗中傷も飛び交う時代ですが、私はそうした情報に左右されないよう心がけているので、リテラシーは低くはないかなと。私自身もSNSで発信はしていますが、愚痴などは絶対に書かないように気をつけています。

― 情報収集にはどのようなツールを利用しているのでしょうか?

石塚さん:最初にGoogleで調べて、あまり情報が出てこなければTwitterで調べることが多いです。Twitterは細かい情報が拾いやすいですね。ニュースもインターネットで見ることが多いです。テレビはあまり見なくなりましたが、Amazon Prime Videoで映画やアニメなどをよく見ています。

― 金銭感覚はどうですか?浪費型?節約型?

石塚さん:浪費型ですね。使ってしまいます(笑)。古着が好きなので古着屋で洋服を買うことが多いですね。あとは、映像制作の仕事で使う機材なども買います。

平日は欲を出さずに、休みの日ははっちゃける。そういったメリハリを大事にしています。

【将来のこと】どんな人間になっていたい?

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オフの時間は、ラジオを聞くのが好きなのだそう
― 将来、どのような人になっていたいですか?

石塚さん:インドアな人間なので、古本屋の奥で本を読みながら・・・という感じで、のんびりと老後を過ごしたいと思っています。

そのために、いま動けるときに動いておきたいですね。私の祖父がそうなのですが、経験や知識があると年齢を重ねてからも話が面白い人が多いと感じています。そんなおじいちゃんになれたらいいですね。

【Z世代を代表して一言】

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イケアと映像制作という2つの仕事を両立させ、新しい挑戦を続ける石塚さん
― 最後に、Z世代を代表して一言お願いします!

石塚さん:私たちZ世代は、デジタル化が進みつつある時代に生まれて、スマートフォンやSNSを身近に感じながら育ってきました。そのようなバックグラウンドからか、今までになかった柔軟な考え方を持っている人が多いと思います。

「今までこんなのなかったじゃん」と思うような新しい考え方やサービスを自分たちで開拓していって、世界を変えていけたら面白いなと思いますし、私もそこに貢献できるような人材になりたいと考えています。

インタビュアー山崎の「Z世代の想いに触れて」

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今回は、novice編集部のZ世代・山崎(右)が、イケア入社2年目の石塚さん(左)に想いや考えを伺いました

Z世代は、ずっと決まったことをやるよりもさまざまなことを体験したいという人が多く、それと同時に、SNSなどの普及によって承認欲求が満たされる感覚を強く意識している世代でもあると思います。新しいことを次々と提案できて、仕事を任せてもらえて、気持ちがあれば新しいポジションにも立候補できる。そんなイケアの働き方は、Z世代が納得しやすいものだと感じました。

石塚さんは一つの概念にとらわれず、凝り固まっていない柔軟さがある方で、そこがイケアの社風にマッチしているのかなと。ダブルワークで大変な部分もあるとは思いますが、同時に充実している様子も感じられ、自分に合った働き方が叶えられているんだなと、インタビューを通して強く伝わってきました。

取材協力:イケア・ジャパン株式会社

[All photos by 渡辺昌彦]

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熊本沙織
編集者/ライター

編集プロダクションと出版社での勤務を経てフリーの編集者・ライターに。ウェブメディア・書籍・雑誌・広報誌などで幅広く活動中。隙あらば航空券をウェブ検索し、旅のプランを練っている旅行好き。自宅に3台のたこ焼き機を所有する関西人。

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