POSTED BY オオモト ユウ掲載日 SEP 25TH, 2021

【釣りの今を斬る】無知は危険! 釣り人の身近に潜む要注意な危険生物vol.2

自然界には生存戦略の一貫として、他の生物にとっては有害な物質を体内に保持している種が多くいる。獲物を捕るためにそれを使う種もいれば、外敵から身を守る際の切り札としてその物質を使う種もいる。それゆえ、釣り人が何の知識もないまま不用意に触れたり扱うようなことがあれば、痛い目に遭うのは確実である。せっかくの休日に苦い思い出を残さないためにも、あらかじめ知識として仕入れておきたいところ。前回に引き続いて、釣り人との遭遇率が高い水辺の危険生物を紹介していきたい。

目次

優雅な姿でダイバーに大人気の“華のある”毒魚「ミノカサゴ」

長く大きなヒレを広げ、ヒラヒラと泳ぎ回る姿からダイビング愛好者に人気が高いミノカサゴ。岩礁と砂地が入りまじるような地形の海域に多く生息する。シロギス狙いの投げ釣りで時折ハリに掛かるが、釣れても単発で複数釣れることは珍しい。

その華麗な外見とは裏腹に背、腹、臀(しり)の各ヒレに毒を持ったトゲがあり、刺されると強い痛みに襲われる。前回紹介したハオコゼやゴンズイ、アイゴよりも毒魚としてのランクは上位であり、素手では絶対に触らないこと。ヒレが長いので、メゴチバサミでつかむ際も注意が必要。

毒針付きの尾を振り回し河口や港湾部を闊歩する「アカエイ」

地球上には500種類を超えるエイの仲間が生息しているが、日本国内でもっともポピュラーなのがこのアカエイ。内湾や河口部、漁港内など人間の身近な水辺に生息しており、都市部の運河筋などでも姿が見られる。

ちなみに、この記事トップの写真は東京のド真ん中、浜離宮庭園近くの水路を泳いでいた個体を筆者が撮影したものである。大きいものは10kgを超えるまでに成長し、甲殻類や小型魚類、貝類などを旺盛に捕食する。

エイの仲間は日本では古くから食用とされ、保冷を用いた流通が確立する以前は山間部での貴重なタンパク源として珍重された。現在も食材としての需要は根強く、酒のツマミの定番「えいひれ」の材料として利用される。

アカエイで注意が必要なのは、長い尾の付け根部分。ここにナイフのような毒トゲを忍ばせており、刺されると激しく痛む。まれにではあるがショック症状で死に至った例もあるほどで、その扱いには慎重さが求められる。釣り上げたアカエイは尾を激しく振り回すので要注意。無理に引き上げずに糸を切ってしまうのが安全策と言える。

美しく見えるキラキラが実は危険な有毒毛「ウミケムシ」

投げ釣りのハリに時折掛かってくる毛玉のような不気味な生物。太陽光を浴びてキラキラと煌めくことから、自虐を込めて「クリスタル」と呼ぶ釣り人もいる。その名のとおり海中に生息する毛虫で、釣りエサとして使われるゴカイなどの仲間に属する。大きさは5〜10cm程度。

刺激を感知するとキラキラと煌めく毛を逆立て、うっかり触れるとその剛毛が皮膚に刺さり込む。硬い毛質ながら意外なほど脆く、引き抜こうとすると崩れて患部に毛が残ってしまう。万が一刺さってしまったらガムテープなどを用いて除去するとよい。

毛の中には毒液が仕込まれているとされ、腫れや痛み、痒みといった症状が起こる。場合によっては症状が長引くこともあり、ハリに掛かった際は糸を切って海に帰すのが無難だ。

ナマズに似た癒し系の外見も淡水では珍しい毒魚「ギギ」

胸ビレにあるトゲと基底部の骨を擦り合わせてギーギーと音を出すことからその名が付けられたとされる淡水魚。西日本に多く生息し、ナマズに似て愛嬌のある容姿は釣り人にもなじみが深い。夜行性の淡水魚という特徴から、ウナギ釣りの外道として掛かることが多い。食用魚としても人気があり、蒲焼きや煮付けで食されてきた歴史を持つ。

背ビレと胸ビレにあるトゲに毒腺があるとされ、刺されると痛みに襲われる。毒性についてはその有無を巡って諸説がとびかっているものの、食用として持ち帰る場合はトゲを切り落とすなどして扱いに注意したい。

日本の夏に欠かせないスタミナ源「ウナギ」の血が有毒!?

夏の暑さを乗り切るためスタミナ食材として、古くから日本人に愛されてきたウナギ。近年は絶滅の危機が叫ばれるなど、何かと話題にのぼる身近な存在である。

広く食される魚ゆえ有毒なイメージは持たれていないが、実はその血液は人体に有害とされている。普通は血液を摂取することはないので正式な食中毒の記録は残っていないとされるものの、厚生労働省のホームページにおいて注意喚起(※)がなされており、知っておいて損はない。

食中毒よりも注意が必要なのは、人体の粘膜への血液の付着。口内や眼の粘膜、傷口から血が入ると局所的な炎症が起こる危険性がある。ウナギ調理を行う料理人の間でも広く知られており、釣ってきたウナギを自ら下処理する場合は注意してほしい。

※https://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/poison/animal_det_06.html

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オオモトユウ
編集者/ライター/フォトグラファー

スポーツウエアメーカー勤務、雑誌編集などを経てフリーライターに。好きなことを仕事に選び続けた結果、周囲からは「ラクをして生きている」と思われているのが悩み。四国、北海道については愛車で単独周遊済みなので、九州に照準を定めている。旅先での酒場巡りとノルウェー旅行の再開に思いを募らせる日々。

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