POSTED BY アンダルシア掲載日 JAN 6TH, 2022

【論考】中国・ロシアから見る2022年のグローバルリスクとは?

遂に幕を開けた2022年。世界情勢はどのように動くのだろうか。ちょうど1年前、ミャンマーではクーデターが発生し、アフガニスタンではタリバンが実権を握ることを予想できた人はほとんどいなかったと思われるが、それと同じように、今年も予想困難な出来事が各地から表面化するだろう。しかし、ここまでの世界の動きを十分に把握していれば、今年の展開を読めるトピックも少なくない。そこで今回は、昨年の世界情勢を踏まえた2022年の世界の展望を考えていく。

目次

【続く米中対立】台湾有事は日本有事?

まず特筆すべきは「米中対立」。2022年も間違いなく米中対立が続くと考えられる。昨年、米中は備蓄石油の放出で足並みをそろえ、地球温暖化については協力できる可能性も示唆したが、基本的にバイデン大統領も習主席も、台湾や香港など核心的な部分で譲歩や歩み寄りの姿勢はまったく示さなかった。

台湾も米国の政治的バックを盾に中国に対してこれまでなく強気の姿勢を示しており、中台間の対立も昨年以上に激しくなるだろう。正に、台湾有事とは日本有事となる可能性が高いことを考慮すると、日本も邦人退避やシーレーンの安全を現実問題として考える年になりそうだ。

対中国における欧米諸国の動きは?

また、昨年は英国やフランスなど欧州と中国との対立も先鋭化したが、今年のポイントとしては、米国以外の欧米諸国がどこまで対中で米国と歩調を合わせるかも見逃せない。

来月2月には北京五輪が迫っているが、これまで外交的ボイコットを表明したのは米国に続き、英国とカナダ、オーストラリアとニュージーランドのファイズアイズ加盟国、そしてバルト三国のリトアニアのみで、フランスやドイツなど非アングロサクソン系の欧米諸国は便乗していない。反中国色が強いドイツのショルツ新政権が今後それに乗る可能性は否定できないが、マクロン大統領は外交的ボイコットをしないと表明。習政権も反中国包囲網が拡がることは避けたいはずで、非アングロサクソン系の欧米諸国に接近することで米国の思惑を切り崩す戦略を強化してくる可能性もあるだろう。

今年、米中や台中の間で軍事的な衝突が発生する可能性は低いが(偶発的衝突は除く)、その分経済や貿易の領域での対立が昨年よりも激しくなり、経済制裁の発動などエコノミック・ステイトクラフトによる企業活動への制限が如実に現れる可能性が高い。岸田政権で強化される経済安全保障という概念が、さらに世論で普及することになるだろう。

北京五輪後のロシアにも注目

一方で、今年はロシアを巡る動きにも着目する必要がある。昨今、ロシアはウクライナ国境近くに数万人の軍を展開させる動きを見せている。米国のブリンケン国務長官は2022年1月5日、ドイツのベーアボック外相との会談でロシアが軍事的圧力を強めるウクライナ情勢について話し合い、ロシアが軍事的侵攻をした場合は大規模な経済制裁に踏み切ると警告した。プーチン政権は北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大に強い疑念を持っており、軍事的圧力を強めることでNATOとウクライナの接近を阻みたい狙いがある。

ロシアは2014年2月のソチ五輪後にクリミア半島侵攻に踏み切った過去があるが、専門家のなかには北京五輪後に何かしらの動きを見せるのではと警戒する声も聞かれる。

経済領域での対立が懸念点に

昨年夏に行われた米軍のアフガニスタンからの完全撤退が示すように、米国のプレゼンスが各地域から薄れることで政治的空白地帯が拡大し、中国やロシアがそれを埋めようとしている。21世紀から国際社会はテロとの戦いの時代であったが、再び大国間の競争時代へと回帰している。米ソの冷戦時代と違い、米中間でも深い経済相互依存があるため軍事的なオプションは米中露も取りにくいが、その分経済領域で対立が繰り広げられる可能性が高い。日本は経済安全保障やエコノミック・ステイトクラフトとの動向をこれまで以上に重視していくべきだろう。

アンダルシア
ライター/

政治学者 専門分野は比較政治、国際政治経済。特に近年は米中関係や経済安全保障などの日本の国益を左右する研究に従事する。また、学術研究に留まらず、NHKや共同通信、朝日や日経、産経など大手メディアで解説なども行う。

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