POSTED BY オオモト ユウ掲載日 APR 2ND, 2022

入門用のセット竿で楽しむコウイカ狙いのエギング【魚別釣り方指南vol.7】

携行性に優れた竿と糸付きのリールがセットになり、主に釣り未経験者の入門用として販売されているコンパクトロッドセット。そのセットを使用して狙えるターゲットやその釣り方を紹介していこう。今回のターゲットは、堤防や漁港周りに生息する身近な軟体系・コウイカ。何ともキモカワな身体にカッチカチの甲を纏い、釣り上げると大量のスミを吐くなど憎めないこのイカは、そのおいしさから専門の遊漁船も出るほど、船釣りでは特に人気が高い。運が良ければ1kgを超える良型も期待できるので、この春はぜひチャレンジしてほしい!

目次

釣りに行く前に覚えておきたいコウイカの基本情報

コウイカは漢字で「甲烏賊」と書き、胴体に硬い甲(貝殻)を持つためその名が付けられたとされている。危険を感じると大量のスミを吐くことから「スミイカ」などとも呼ばれ、釣り上げた際には服や周囲を汚さないよう注意が必要だ。

水深100mより浅い海に生息し、海底が砂や泥に覆われた場所を好む。コウイカの仲間は関東以南の日本近海から東南アジア沿岸まで生息しており、食用として広く活用されている。よく釣れるのは秋と春で、200g〜1kgの個体が中心となる。

堤防や漁港周りで釣れるコウイカの仲間には、胴体に規則的な紋が並ぶモンゴウイカがいる。カミナリイカとも呼ばれる本種はコウイカよりも大型化する傾向があり、時折2kg級が掛かって釣り人を驚かせる。コウイカと同様に刺身や煮付け、天ぷらなどでおいしく食べられる。

また、一般的な知名度は低いが、コウイカの仲間にはシリヤケイカという種類も存在する。白い斑紋や赤茶色くなった身体の後端(頭部の先端)が特徴。上記の2種と比べて粘液を多く出すうえに模様が不気味なため、かつては漁業関係者や釣り人からあまり歓迎されなかった歴史がある。春先に浅場でよく釣れ、釣り上げると大量にスミを吐く。少々身質が硬いとされるが、食材としておいしく食べられる。

コウイカを釣るならこんな場所!

前述したように、コウイカ類は海底の砂や泥が広がる場所を好む。体色を変化させて海底に擬態し、近く甲殻類や魚類を捕食している。夜間は明るい場所に集まることもあるが、日中は海底からあまり動かないので、海底が掘れている船の通り道や、大型船が着く岸壁など水深がある場所が狙い目だ。

春は浅場に海藻が伸びる時期だが、その周りにもイカが寄っていることが多い。ただし、道糸や仕掛けが引っ掛かるリスクがあるので、初めのうちは避けたほうが安心だろう。

これを揃えればあとは釣るだけ!必要な道具や仕掛け

この釣りに使うのは、「餌木(エギ)」と呼ばれる、日本古来の疑似餌(ルアーを示す日本語)。堤防や磯からイカ類を狙う際によく使われ、エビやシャコ、魚類を模した形状をしている。鼻先に設けられた環に道糸を結び、後端に装着された剣山のようなハリ(カンナと呼ぶ)で抱きついてきたイカをかける仕組みである。

コウイカ狙いに使う餌木は、3〜3.5号とサイズ表記されたものが一般的。色はオレンジやピンク、青などから2〜3種類用意する。海底近くを狙う関係上、根掛かりで失う可能性があるため数本持っておくのが安心だ。

道糸と餌木は、クリップのような形状の「スナップ」と呼ばれる金具で接続。これを使うことで餌木の交換が簡単に行える。餌木単体で探っても釣れるが、スナップ部分に2〜5号のナス型オモリを装着すると遠投が可能となり、海中での沈みも速くなるため底付近を探りやすくなる。多少風が強くても仕掛けが浮き上がらないのも、仕掛けの操作に不慣れな初心者にとってはメリットだ。

釣り方の一連と覚えておきたいこの釣りの注意点

仕掛けを投じたら、まずは餌木を海底まで落とす。着底を確認したら、リールをゆっくり巻いては止めるのを繰り返したり、リールを巻かずに竿先を動かしたりしながら海底をズルズルと引いてくるとよい。引きずる感触が重くなる場所は海底に窪みがあったりしてコウイカの着き場になりやすいので、その周りは何度も餌木を通してみよう。たまに餌木を跳ね上げるようにしてアピールするのも効果的だ。

餌木を動かしている最中に不自然な重みを感じたら、すぐに寄せにかかるのはNG。いったん数秒止めて待ち、イカが餌木を抱えるのを待とう。その後、餌木を動かす際に明確な重みがあればコウイカがかかっている証拠。そのまま一定速度で巻き寄せ、最後は水面近くでスミを十分に吐かせてから引き上げるか、玉網を使って取り込めばOK。

コウイカ類はスミの噴出力や噴出量が特に多いので、陸に引き上げてからも数回吐くことがある。自分の服に付いてしまう場合や、周囲に迷惑をかけることもあるので注意しよう。

なお、堤防の上でスミを吐いてしまったら必ず海水で洗い流しておくこと。そのまま放置しておくと、シミのようになって釣り人の心証を悪くするので、徹底をお願いしたい。

合わせて読みたい
>>>【釣り初心者必見】マニアがおすすめ釣具や竿・餌を徹底解説!

オオモトユウ
編集者/ライター/フォトグラファー

スポーツウエアメーカー勤務、雑誌編集などを経てフリーライターに。好きなことを仕事に選び続けた結果、周囲からは「ラクをして生きている」と思われているのが悩み。四国、北海道については愛車で単独周遊済みなので、九州に照準を定めている。旅先での酒場巡りとノルウェー旅行の再開に思いを募らせる日々。

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