POSTED BY 佐藤 恭央掲載日 APR 27TH, 2021

【新型EV・アリア発売前インタビュー】日産自動車の担当者に聞いた次世代クロスオーバーの魅力とは?

「カーボンニュートラル」が提唱されるようになり、私たちのライフスタイルも大きく様変わりを遂げようとしている昨今。自動車業界においてもEV化推進への舵きりが活発になってきていますよね。そこで今回は、2021年の発売開始が予定されているEVの新型車「日産アリア(ARIYA)」にスポットを当て、日産自動車のチーフマーケティングマネージャーオフィスで活躍する山崎さんにお話を伺うことにしてみました。

目次

話題のクロスオーバーEV・アリアが発売間近に

脱炭素・脱ガソリン社会に向けて日本政府は、「2030年半ばより国内で販売する新車のすべてを電動化とする」という方針を発表しました。これは、当該時期以降は、電気自動車、モーター発電を取り入れた自動車、ハイブリッド車、燃料電池車がニューノーマルなものになっていくということを意味しています。

©日産自動車

このような社会情勢のなか、日産自動車から2021年中ごろの販売開始が見込まれているのが、日産初のクロスオーバーEVとして注目を集めている「日産アリア(NISSAN ARIYA)(以下 アリア)」です。

東京モーターショー2019で発表されたアリアコンセプト
©日産自動車

同車は、東京モーターショー2019(2019年10月開催)にてコンセプトモデルが発表されると同時に大きな話題を呼んだことも記憶に新しいですよね。

そこで今回は、電気自動車界をリードする日産自動車が放つ注目EV車「アリア」のキャラクターを探るべく、日産自動車チーフマーケティングマネージャーオフィスで活躍する山崎さんにお話を伺うことにしました。

EV×クロスオーバーがもたらす喜びとは?

日産自動車 チーフマーケティングマネージャーオフィス:山崎祥汰さん

ノーヴィス(以下、ノ):アリアはクロスオーバータイプですが、このカテゴリーとした理由や目的はどのようなところにあるのでしょうか?

山崎さん:昨今アウトドアレジャーの需要が高まっていますよね。それにあわせて自動車も多目的に使用しやすいタイプが好まれる傾向にあります。そのような市場ニーズに応えるべく、日産初のクロスオーバーEV として開発を進めることになりました。近年自動車市場においてSUVセグメントは成長を続けており、このセグメントはEV普及を加速させていくためにも重要なセグメントだと考えています。

前後輪にモーターを搭載する4WD仕様と、前輪のみに搭載する2WDがラインナップされる予定
タイヤサイズは19または20インチと、グレードによって異なる設定とされる
 ©日産自動車

山崎さん:また、ガソリン車に比べてモーター駆動を採用するEVの方が静粛性に優れるのはご存じの通りですが、実はトルクやパワーを確保しやすいのも特徴なのです。ビッグサイズの車体でもなめらかにかつ俊敏に走らせることができます。

山崎さん:そのような恩恵も手伝って、全長4595×全幅1850×全高1655mmと、Cセグメント相当のボディサイズの設定としています。弊社のエクストレイルに比べて全幅は大きいですが、全高・全長は若干コンパクトなサイズ感と表現すると想像しやすいかもしれませんよね。

荷室容量は2WD仕様が466L、4WD仕様が408L
©日産自動車 

山崎さん:EV車はパワーユニットをコンパクトにできるのも利点のひとつです。スペースを有効活用できるので、専用プラットフォームを採用したアリアでは、1クラス上のDセグメントモデル並み室内空間の広さを実現できています。もちろん、SUVとしてしっかり使っていただける荷室スペースの広さも確保しています。

ノ:荷物をたくさん積むことができると、アウトドアレジャーはもちろんショッピングなどの日常まで幅広いシーンで活躍させられそうですよね。室内が広いとストレスも感じにくいですし。

フロントから途切れずドアトリムに繋がる水平基調のインパネで広さを感じさせるインテリア
木目調のフィニッシャーの上に配された、触ると微振動するハプティクス技術を用いたスイッチや、スマホを置くだけで充電できるワイヤレス充電機能など、随所にハイテク装備が採用されている
©日産自動車 

スポーツカー由来の制御システム「e-4ORCE」

山崎さん:さらにアリアは、EVならではの特性を活かして上質な走行性能に仕上げられているのも特徴です。

ノ:上質な走りとは具体的に?

山崎さん:リーフで培ったEVのノウハウに加えて、アリアの4WD仕様では4つのタイヤの前後のトルク配分を瞬時に制御するシステム「e-4ORCE(イーフォース)」を採用しているのもトピックのひとつです。モーター出力とブレーキを協調制御することで、衝撃が少ない快適な走りと軽快な操作性を実現しているのです。日産 GT-Rなどから得た車両制御の技術や知見も活かされていますよ。

©日産自動車

ノ:早く乗ってみたいですね! 発売後は試乗することもできますか?

山崎さん:具体的な数は検討中ですが、発売後は日産ディーラー各店で試乗車をご用意させていただく予定ですので、ぜひお近くの販売店でご試乗ください。

「プロパイロット2.0」や「プロパイロット リモートパーキング」なども搭載される予定
©日産自動車

「和」を強調するグローバルデザイン

ノ:洗練されたデザインのエクステリアにも惹かれます。

山崎さん:ありがとうございます! デザインやカラーリングも注力したポイントです。イメージカラーは、“暁-アカツキ-”と呼ばれるカッパー(銅)×ブラックのツートーン仕様。この色は夜明けの意味を込めたとともに導電率の良い銅もモチーフにしているんですよ。

©日産自動車

ノ:確かに、「暁」というとおり「和」の雰囲気も強く感じますね。

山崎さん:“タイムレス ジャパニーズ フューチャリズム”というコンセプトを掲げ、日本らしいシンプルでありながらも力強く美しいデザインに仕上げました。日本の美意識に基づいたデザインですが、我々はアリアのデザインは世界中で受け入れられると自信を持っており、日本の伝統を新しい視点で捉え、世界で通用するデザインに昇華する、という意味合いも込めています。

騎士の盾(シールド)に見立てたデザインのフロントマスク
大きなラジエターグリルを必要としないEVならではのデザインの自由度の高さを物語る部分でも組子パターンが立体的に表現されている
©日産自動車

航続距離は最長610km&充電も案ずることなかれ

ノ:EV車の購入を検討する際に、充電の手間や航続距離(電費)を気にかける人も多いかと思いますが・・・。

山崎さん:アリアは430kmから最長610kmの航続距離を実現する計画です。そして、ご自宅に充電設備があれば、1日に100km以上走ってもお家に帰ってプラグを差し込み充電すれば翌朝には起きたら充電100%。ご自宅で充電できるので、ガソリン車のように燃料が少ない状態からドライブをスタートする頻度もかなり少なくなりますので必然的にガソリン車の道中での給油のような電気自動車の充電シーンもお客様が想像されるよりも少なくなってくることも考えられます。

一方、2021年4月現在、急速充電可能な充電ステーションが全国で約8,000基備えられています。実はこれは大手ハンバーガーチェーン3社の合計店舗数よりも多いんです。つまり、皆さんが考えているよりも遥かに充電しやすい環境が整えられているということです。日産の各ディーラーでも充電が可能となっていますよ。

「EV車がニューノーマルなものになるとともに充電設備などのインフラもさらに拡大されていくでしょう」と語る山崎さん

山崎さん:また、2WDモデル・4WDモデルともに、65kWhと90kWhの2種類のバッテリー容量を設定する予定です。65kWh(2WD)の場合は、満充電状態で約450kmの航続距離を実現。90kWh(2WD)では約610km走ることができるので、ロングドライブも安心して楽しんでいただけると思います。

山崎さん:ちなみに、90kWh・4WD仕様車の場合、最高出力は290kW(394馬力相当)。レスポンスが良く静かで滑らかという上質な走りがアリアの魅力ですが、かなりパワフルな運転体験も楽しめるのではないでしょうか。

※電費はWLTCモードを前提とした日産社内測定値

©日産自動車

気になる車体価格は?

山崎さん:現状では確かなことはお伝えすることはできませんが、国の補助金込みで実質500万円~になる見込みです。

©日産自動車

クロスオーバーEVという切り口で輸入車(Audi e-tronやJaguar I-pace、Tesla モデルX 、メルセデスEQC)と比較すると、価格帯としても魅力的。日産初のEVクロスオーバーであることも鑑みると納得できるのではないでしょうか。なお、アリアのバッテリーに関するメーカー保証期間は、「新車購入時から8年・走行距離16万kmまで」と設定される見込みです。

SDGsの目標の一つに掲げられている「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」。これを達成するためにも有効な手段として考えられているのがカーボンニュートラルです。近い将来、EV車はニューノーマルなことになるはず。これからの自動車との付き合い方を、アリアが私たちに示してくれるのかもしれませんね。

取材協力:日産自動車

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 [All photos by 渡辺昌彦/日産自動車]

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佐藤恭央
サトウヤスオ/ライター/編集者

出版社での編集経験を経て2006年からフリーとして独立。雑誌とWEBメディアを中心に撮影を伴う執筆などを行う。バイクや車などのモータースポーツ系をはじめアウトドア、ファッションなどのジャンルで活動。趣味はレトロゲーム集めなど。コーヒーが好きで1日に7杯は飲みます! メガネを買い漁るのが最近のストレス発散法。

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