POSTED BY 北秀昭掲載日 JUN 30TH, 2021

災害・停電時の緊急時に！車で電子レンジ等の家電1500Wが使えるって本当？

近年、日本は地震、台風、ゲリラ豪雨による土砂崩れや河川氾濫などの自然災害により、甚大な被害を受けています。2019年の台風15号では、千葉県を中心に93万戸が停電。残念ながら「自分の住んでいる町は大丈夫」といえる確率が、年々低くなっています。そんななかで昨今、注目を集めているのが、災害や停電の際に役立つ自動車（クルマ）。「インバーター」という特殊装置を使わなくても、家庭用のAC100V電源、しかも1500Wの大容量が手軽に使える（ドライヤーや電子レンジも使用可能）自動車の普及が進んでいるのです。停電時はもちろん、屋外キャンプなどでも役立つ、「電源として使える自動車」に関するアレコレをレポートします。

自然災害の多い日本。電気供給できる車は、今や防災対策の必需品か!?
- １：電気自動車（EV＝Electric Vehicle）
- ２：プラグイン・ハイブリッド車（PHV＝Plug-in Hybrid Vehicle）
アウトドアにも役立つ1500W採用の市販車は増加中
各地の地方自治体が、日産リーフ（EV）を活用した「災害連携協定」を締結

自然災害の多い日本。電気供給できる車は、今や防災対策の必需品か!?
- １：電気自動車（EV＝Electric Vehicle）
- ２：プラグイン・ハイブリッド車（PHV＝Plug-in Hybrid Vehicle）
アウトドアにも役立つ1500W採用の市販車は増加中
各地の地方自治体が、日産リーフ（EV）を活用した「災害連携協定」を締結

自然災害の多い日本。電気供給できる車は、今や防災対策の必需品か!?

大型台風やゲリラ豪雨など、日本の夏は自然災害を受けやすい季節。特に近年は気候変動により、雨風の勢いがこれまで以上のものに変貌していますよね。「〇〇県は昔から、自然災害が少ないので大丈夫」という“過去の統計”が、あてにならなくなりました。今や日本中のどこに住んでいても、いつ何時、自然災害に見舞われるかが分からない状況です。

そんななかで注目されているのが、災害や停電の際に役立つ、給電機能を備えた自動車。外部に電源を供給できる自動車の代表格は、下記の2タイプです。

１：電気自動車（EV＝Electric Vehicle）

バッテリーの電気のみで走る自動車。

２：プラグイン・ハイブリッド車（PHV＝Plug-in Hybrid Vehicle）

エンジンとモーターを併用して走行するハイブリッド車。大容量のバッテリーを搭載。プラグイン・ハイブリッド車は、通常のハイブリッド車とは異なり、電気自動車のように、外部からの充電を可能としているのが特徴。

2012年、宮城県警察はトヨタ・プリウスPHVを12台導入。震災後、広範囲で停電が発生し、設備も海水に浸かり、電力の供給ができなくなってしまったことがきっかけ。プリウスPHVに蓄電した電力を使用し、信号機の稼動や電光表示板の点灯に役立たせました

写真の「ヴィークルパワーコネクター」を使えば、家庭でも手軽に充電できるトヨタ・プルウスPHV

2012年、愛知県豊田市立藤岡南中学校にて。東南海地震を想定した防災キャンプを実施。プリウスPHVは、灯りの確保や炊き出し用家電の電源として活躍

電気自動車（EV）やプラグイン・ハイブリッド車（PHV）のポイントは、大容量バッテリーを搭載し、そこからモーターへ電源供給しているところ。

特に世界に誇るハイブリッド車「トヨタ・プリウス」は、東日本大震災が起こった2011年以降、災害時や緊急時にも役立つ、「日常生活の電力供給」というパートが強化されました。

電力供給システムを備えたトヨタ・プリウスは、地震などで被災し、停電した避難所に送り込まれました。避難所では、湯沸かし、電子レンジの作動、簡易風呂の湯沸かしなど幅広く活躍。特に入浴後のドライヤーの使用は、濡れた髪を乾かす女性に喜ばれたことでも有名です。

例えばハイブリッド車の先駆者「トヨタ・プリウス」のプラグイン・ハイブリッド版「プリウスPHV」の場合、車内に2つのAC100Vコンセントを装備。また、付属する「ヴィークルパワーコネクター」を使えば、普通充電口からも1500Wを外部に給電できるのがポイントです。

プリウスPHVには、バッテリーから給電する通常モードに加え、バッテリーを使い切ったらエンジンを始動して給電を続ける「HV給電モード」も導入。HV給電モードの場合、ガソリン満タンで一般家庭の約2日程度に相当する電力（※注1）の供給が可能です。

※注1：HV給電モード時に、1500Wの最大出力で使い続けた場合、ガソリン満タン状態から2日程度の電力を供給可能。

アウトドアにも役立つ1500W採用の市販車は増加中

ほとんどの自動車には、タバコに火を点けるための「シガーソケット」を装備。これに「カーインバーター」と呼ばれる変換器を接続すれば、シガーソケットを家庭用100V電源とすることも可能です。しかし使用できるのは、照明器具、モニター、ノートパソコンなど、小電力となる一部の製品のみ。

一方、プリウスPHVが使用できる電力は、大容量の1500W。一度に多くの電力が必要な、ドライヤー、電子レンジ、湯沸かしポット、電気ストーブ、ホットプレートなど、ほとんどの家電を手軽に、しかも安全に利用OK。災害時や停電時はもちろん、屋外でのキャンプやバーベキューなど、アウトドアシーンでも役立つのがうれしいところです。