POSTED BY 青山沙羅掲載日 MAR 3RD, 2021

コロナ発生から1年。真実のニューヨーク(後編)

アメリカ合衆国ニューヨーク在住のフリーランスライター青山沙羅が、現地のニューノーマルな生活をルポする当連載。
2020年3月コロナ感染拡大防止のためシャットダウンになって以降、大きく変化したニューヨーク。あれから1年、ニューヨークがどのような道を辿ったのか、真実のニューヨークとは。前編に続き、後編をお届けします。

目次

2020年3月7日、米ニューヨーク州のクオモ知事が、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、ニューヨーク市を含む州全域に非常事態宣言を出してから、感染者数は恐ろしい勢いで増え続け、ニューヨークは地獄の底を見ました。2020年6月8日に第一段階の経済再開できた時は、誰もが奇跡が起きたような気持ちだったのです。

■あわせて読みたい
コロナ発生から1年。真実のニューヨーク(前編)

2020年7月 エンパイアステート・ビルから上がった花火

エンパイアステート・ビルディングの展望台から花火の打ち上げ rblfmr / Shutterstock.com

シャットダウンから一歩ずつ再開していくニューヨークを祝い、独立記念日(7月4日)の花火が上がりました。

コロナ禍ゆえ人々の密集を避けるために、花火の打ち上げ場所と時間は直前まで発表されず、2020年6月29日から7月4日まで毎日5分間、市内各所から打ち上げられ、最終日はエンパイアステート・ビルディングでフィナーレ。展望台から花火があがるさまは華々しく、自宅待機を耐えたニューヨーカーへのご褒美のようでした。

ニューヨーク市は、2020年7月6日に経済再開第3段階(ネイルサロンや、マッサージセラピー、タトゥーパーラー、日焼けサロンなど収容定員の50%以下)へ、続いて7月20日に経済再開最終段階である第4段階(リスクの低い屋外での芸術・エンターテインメントなど)へ移行。ただし、ショッピングモールの店内利用・レストランなどの店内飲食・文化施設の屋内利用は引き続き禁止という風に、再開といってもごく限られたものでもありました。

New York City July 4th Fireworks Spectacular Like Never Before | NBC New York

2020年8月 5カ月間も無料だった公共バス

2020年8月 MTA公共バス
2020年8月 MTA公共バス © Sara Aoyama
2020年8月 MTA公共バス 前方
2020年8月 MTA公共バス 前方 ©Sara Aoyama

新型コロナウイルスによる非常事態宣言以降、2020年3月23日から2020年8月30日まで、ニューヨーク市ではMTAのローカルバス(各駅停車の路線バス)は無料(長距離を走るバス・急行バスなどは有料)でした。

運転手を守る(多くの運転手が感染し亡くなった)ため、乗降は後方扉のみに限られました。そのため、前方扉の運転手席横にある運賃箱で料金支払いは行われず、後方扉から誰でも無料で乗ることが可能に。

コロナ禍によるバスの減収は、4億3,100万ドル(約459億8,425万2,000円 2021年3月1日日本円換算)だそうです。

■参照記事
MTAバス乗車無料に(21日・週刊NY生活速報 15:32) 運転手を感染から守る 
MTA Announces Front-Door Boarding and Fare Collection to Resume on All Local and SBS Buses Beginning Monday, August 31 - MTA

2020年9月 マスク姿でNYFWが開催

2020年9月 マスク姿で行われたNYFW
2020年9月NYFW ショー後マスク姿のモデルたち ©Hideyuki Tatebayashi

2020年9月には、コロナ禍の中2021年春夏コレクションのNYFW(ニューヨーク・ファッションウィーク)が開催。

アメリカを代表するデザイナー、ラルフ・ローレンやマーク・ジェイコブス、マイケル・コース、トミー ヒルフィガー、オスカー・ デ ・ラ ・レンタなどが不参加を表明、参加デザイナーの9割以上のショーがストリーミング配信になるなど、例年とは違う状況の中、2〜3のショーが屋外のテラス席でごく少数のゲストを招いて行われました。

■あわせて読みたい 
【世界のニューノーマル最前線・NY】NYFWに見る、上級「マスク・スタイル」

2020年10月 半年以上ぶりの公立学校の再開

Ron Adar / Shutterstock.com

2020年3月以降、半年以上オンライン授業が続いていましたが、2020年9月末より公立小学校、中学校、高校と一部対面授業(通学)が復活しました(その後感染率が上昇したことにより再閉鎖、2020年12月に保育園〜小学校など再開)。

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【世界のニューノーマル最前線・NY】リモートクラスに戸惑う親と子ども

2020年11月 120年ぶりの投票率の高さに 米大統領選挙

2020年11月 米大統領選挙
2020年11月 米大統領選挙 ©Hideyuki Tatebayashi

2020年11月に行われた第46代アメリカ合衆国大統領選挙では、コロナ禍における郵便や期日前投票を行ったところ、最終的な投票数は1億5,500万を超え、有権者総数に占める投票率は65%以上と、120年ぶりの投票率の高さに。

その結果、歴代大統領選で初めて7,000万票超と、史上最多の得票数を獲得したジョー・バイデン氏が史上最高齢の第46第米大統領となりました。カマラ・ハリス氏は、初の米国女性副大統領に。

2020年12月 ワクチン接種が始まる

Covid-19 ワクチン接種
2020年12月14日 Covid-19 ワクチン接種 ©New York State Gov

2020年12月14日(月)、ニューヨークにワクチンが到着。アメリカでのワクチン接種第1号は、Long Island Jewish Medical Center 集中治療室の看護師 Sandra Lindsayさん。ワクチン接種は高齢者、医療従事者、エッセンシャル・ワーカー(生活に必要不可欠な業種)など対象者を制限し、感染リスクの高い順番に行われています。

ニューヨーク州のワクチンについてのサイト
COVID-19 Vaccine: Get the Facts – NY State Gov

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【世界のニューノーマル最前線・NY】知りたい!新型コロナのワクチンについて

2020年12月 NYCメイシーズデパートのホリデーウィンドウ
2020年12月 NYCメイシーズデパートのホリデーウィンドウ ©Hideyuki Tatebayashi

2020年は観光客もいない、カウントダウンも無観客の異例な年末になりましたが、メイシーズ・デパートのホリデー・ウィンドウは、「コロナ禍に活躍してくれた、救急隊員や警察官、消防士などのファーストレスポンダー(緊急事態に真っ先に対応する人)、医療関係者などエッセンシャルワーカー、人種差別撤廃を訴え平等のために行進した人たち、そしてすべてのニューヨーカーへの感謝状」を表現しました。

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【世界のニューノーマル最前線・NY】コロナ禍でもウィンドウの灯りは消さない

2021年1月 米大統領就任式

2021年1月20日 Christos S / Shutterstock.com

コロナ禍に加えて暴動警戒の緊張した状況のなか、就任式の警護に史上初となる25,000人の州兵を動員。バイデン大統領は就任式で「アメリカの団結(unity)」を繰り返しました。

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2021年2月 ワクチン接種会場の拡大

2021年2月 ワクチン接種会場 NYCクイーンズ区公立高校
2021年2月 ワクチン接種会場 NYCクイーンズ区公立高校 ©Hideyuki Tatebayashi
2021年2月5日 ワクチン接種会場 NYCヤンキースタジアム(C)New York State Gov
2021年2月5日 ワクチン接種会場 NYCヤンキースタジアム ©New York State Gov
2021年2月5日 ワクチン接種を受ける人 NYCヤンキースタジアム(C)New York State Gov
2021年2月5日 ワクチン接種を受ける人 NYCヤンキースタジアム ©New York State Gov

ニューヨーク市は、ワクチンで感染を食い止めようと、ワクチン接種会場を拡大しています。現在使用されていない公立高校(2021年3月1日現在オンライン授業のみ)や、メジャーリーグ・ヤンキースの本拠地「ヤンキースタジアム」、ニューヨーク・メッツの本拠地「シティ・フィールド」などでも、ワクチン接種が行われています。

2020年3月、コロナによるシャットダウンから、ニューヨーカー一人ひとりが感染防止に努めたことで、ニューヨークは少しずつ這い上がり、希望の光が見えてきました。それでもまだ、復活への道程は途中経過だということを肝に命じなければいけません。

2020年3月〜2020年6月のニューヨークについての「コロナ発生から1年。真実のニューヨーク(前編)」もあわせて読んでいただけるとうれしいです。

[All Photos by  New York State Gov, Hideyuki Tatebayashi,Sara Aoyama and Shutterstock]Do not use images without permission.

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青山沙羅
アオヤマサラ/ライター

はじめて訪れた瞬間から、NYにひと目惚れ。恋い焦がれた末、幾年月を経て、2009年ついに上陸。 旅の重要ポイントは、その土地の安くておいしいものを食すこと。 特技は、早寝早起き早メシ。人生のモットーは、「やられたら、やり返せ」。 プロ・フォトグラファーの夫とNYでふたり暮らし。共同著書『いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日(PIE International、2020年3月)』。

著者のプロフィールを詳しく見る

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