「テスラ」はIT先進国・米国の新進電気自動車メーカー

テスラの創業は2003年。本社はIT企業が集まるカリフォルニア州。電気自動車（EV）事業のほか、ソーラー発電事業、クリーンエネルギー事業なども手掛けています。

自動車メーカーとして、テスラはわずか10数年の新興会社。しかし知名度・実績とも、今では世界有数の電気自動車メーカーに成長しました。

2019年、テスラの世界販売台数は36万7,500台。一方、自動車メーカー世界1位のトヨタは、1,074万台（ダイハツ工業と日野自動車含む）。つまりテスラの販売台数は、トヨタの30分の1です。

しかしテスラの株価は、電気自動車（EV）の普及に伴い、急激に上昇。2020年7月1日、米国市場での時価総額は、日本円で約22兆3000億円に到達。 なお、同日のトヨタの時価総額は、日本円で約21兆7185億円。この時、テスラは初めてトヨタを上回り、自動車メーカーで世界首位となりました。

電気自動車（EV）に限ると、この時点でトヨタは世界12位ですが、テスラは世界トップであるとの見方もあります（これらの数値は、すべて朝日新聞より）。

航続距離は日産の電気自動車「アリア」の610kmに次ぐ、580kmを達成

テスラのラインナップは、これまで1,000万円超の高級車がメイン。つまり、高額所得者がターゲットでした。

しかし2016年、テスラは大容量ながら低コストバッテリー採用し、400万円台で購入可能なコンパクトセダン「モデル3」を発売（国内では2019年発売）。一般大衆向けに舵取りをしたテスラの戦略は見事に的中し、モデル3は欧州でも高い人気を獲得したのです。

モデル3の標準モデル「スタンダードレンジ」の満充電での航続距離は、448km（WLTCモード）。「ロングレンジAWD」の航続距離は、580km（WLTCモード）に到達し、日産のNEWモデル「アリア（2WD／B9モデル）」の610km（WLTCモード）に次ぐ低燃費が実現されています。

また、販売価格は2021年7月現在、440万円前後（為替レートにより変動）。日本では電気自動車（EV）には60万円（2021年7月現在）の補助金が受けられるので、実質の価格は380万円前後となるのが特徴です。

広告なし・ディーラーなし。既存の自動車メーカーとの決定的な違いはココ！

テスラの生産システムは、「下請け会社が部品を製造し、自社で組み立てる」という既存の自動車生産構造ではなく、製造から組み立てまで、すべて自社でまかなっているのが特徴の一つです。自動車の要となるボディやシャシーも、独自の手法で生産しています。

また、テスラは既存の自動車メーカーのような、「ディーラー」や「販売店」という販売網を持っていません。販売はすべて、オフィシャルサイトでのインターネット販売としています。さらに、トラブル診断や修理、バージョンアップなどもオンライン（無料）で実施されているのも特筆点です。

テレビ、新聞、WEBなどの広告を、まったく打っていないのもテスラならでは。販売促進は、すべて自社WEB、SNS、口コミ、雑誌媒体やWEB媒体の露出などに留めています。

評論家やユーザーからの評判は？

低価格のモデル3は、自動車評論家はもちろん、ユーザーからの評判も高いのがポイント。

・30km程度走行して電気代は100円以下。電気代はガソリン代よりも遥かに安い
・走行性能、乗り心地は申し分なし
・車内は広く、非常に快適

モデル3の外観は、ガソリン車のスポーツカーのようなスポーティなデザインが特徴。見る者に「羨ましい」、「カッコいい」と思わせる、ステータスの高さも体現されているのです。

ちなみに、大型モニターで「自車のハンドル・ペダル」を使った自動車ゲームも楽しめます。こうした“遊び心”を盛り込んでいる点も、既存の自動車メーカーにはなかなか真似のできない、独自の試みといえるのではないでしょうか。

運転席は基本的にハンドル、アクセルペダル＋ブレーキペダル、ウインカーレバーのみ。エアコンなどのスイッチ類はなし。操作はナビゲーションシステムも導入された、大型液晶パネルで操作するシステムです。

モデル3はスーパースポーツ並みの走りを獲得。高次元の自動運転機能も

モデル3は、モーターならではの俊敏な出足と、鋭い加速が実現されています。高性能な「パフォーマンス版」の最高速度は261km/hで、0～100mは3.3秒（ともにメーカー発表値）という、ホンダNSXや日産GT-Rなど、ガソリンエンジン搭載のスーパースポーツに迫る、スポーティかつアグレッシブなポテンシャルを秘めています。

また、テスラ3には、テスラ独自の運転支援機能＝自動運転機能も採用（国内では高速道路のみ使用可能）されており、極めて高いレベルに仕上がっています（※1）。

※1一部の国では、テスラの運転支援機能＝自動運転機能は事故等が発生しており、「まだまだ熟成する必要がある」との声も聞かれます。

100万円台の電気自動車（EV）も発売予定

テスラは「スーパーチャージャー」という独自の急速充電システムを開発・導入し、日本では岩手県盛岡市～福岡県まで、全国29カ所に充電スポットが設置されています。現況、「スーパーチャージャー」はテスラ車のみ充電可能ですが、今後は他メーカー車も充電きでる体制を整える旨を表明していますよね。

なお、2020年9月、テスラの創業者でありカリスマ経営者としても知られる、現CEO、イーロン・マスク氏は、「運転支援機能＝自動運転機能を搭載しつつ、価格を2万5,000ドル（1ドル＝100円換算として250万円）に抑えた新型の電気自動車（EV）を、2023年までに市場に投入する」と発表し話題を呼びました。

この場合、日本では補助金込みならば100万円台で買えるようになると見込まれます。テスラは今後、日本メーカーの大きなライバルとなるのでしょうか？

テスラ モデル3　主な諸元（2021年モデル）

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	北秀昭 編集者／ライター
	神戸～東京築地～横浜～兵庫姫路～大阪京橋育ち。瓦敷き職人助手、空手師範代助手、ダスキ〇のお掃除部隊等に従事しながら高校・大学を卒業後、旅行グルメの編プロを経て、車やバイクに特化した出版社に勤務。バイク専門サイト「4ミニ.net」運営。 https://4-mini.net/ 著者のプロフィールを詳しく見る

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